2011
12.11

感染症診療 Starter & Booster:第5回~忘れちゃいけない!嫌気性菌について

目次→コチラ

 さて、お次は嫌気性菌が登場します。ここで言う嫌気性菌は”偏性”嫌気性菌のことで、酸素が大嫌いな輩。こいつらもグラム染色で陽性/陰性・球菌/桿菌と分けることが出来ますが、多くのテキストではその分類はさて置き、常在を横隔膜の上下で分けています。

・横隔膜より上は、β-ラクタマーゼ非産生のPeptostreptococcusがメイン
・横隔膜より下は、β-ラクタマーゼ産生のBacteroides fragilisがメイン


 実はさっきのグラム陽性/陰性で分けたように、嫌気性菌でもグラム陽性の連中は口腔内(体表)に多く、グラム陰性の奴らは腸管内(体内)に多いんです。でもそういう分類をして詳しく知るって事はしていません。嫌気性菌には嫌気性菌用の抗菌薬がきちんとあり、また嫌気性菌による感染症は通常の菌の感染症とは一味違うので、菌を全てグラム染色で分けるよりは嫌気性菌として1つのグループにしましょう。そっちの方が臨床的に有用なんです。

 更にその中で抗菌薬を選択する際の目安として、上述のように横隔膜上下で分けます。β-ラクタマーゼというβ-ラクタム系の抗菌薬を分解する酵素があるんですが、その産生能がここで別れるので、使える抗菌薬が変わってきます。

 そして、感染形態と治療の大事なポイントがここで出てきます。

・混合感染
・膿瘍
・培養


 この3つ。順に説明していきます。

 一般的に感染症と言うのは原因菌が1つと想定しますが、嫌気性菌による感染症は混合感染で、嫌気性菌単独の感染ではなく色々な菌と混じって感染を起こすのです。当然、グラム染色でも色々な菌が見え、これをpolymicrobial patternと言います。色んな菌が見えたら嫌気性菌も絡んでいるかも?と考えることも出来ますね。

スライド4

 そして、膿瘍を作る点。膿瘍には抗菌薬が十分量到達しないので、治療は積極的に切開やドレナージを併用します。外科的な視点が必要になるんですね。
 
 最後に、培養でなかなか出てこないと言う点。血液培養なら話は別ですが、胆汁や腹水などを採取して培養に出しても、嫌気性菌はあまり顔を出してくれません。なので、培養で嫌気性菌が出なくても、臨床的に嫌気性菌が一枚かんでいるな、と思ったら嫌気性菌をカバーする抗菌薬は使用し続ける必要があるんです。

 今回は嫌気性菌について、ざらっと学んでみました。
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