2011
11.22

診断推論 Starter & Booster:第0回~目次

 今回は、診断推論。患者さんの病像からどう診断を組み立てていくか。全ての医者が行うことですが、あまり研修の最初にきちんと教えられることが多くない。学んだからと言ってすぐ実力が上がるわけではないので、軽視されがち。でもとっても大事なことなんです。その推理方法の1つを、救急外来に重きを置いてお話ししようかと思います。

 診断推論の枠組みは、疾患を診断する際のOSのようなもんです。研修医になったばかりの頃は、全く新品のパソコンと同じで、OSが入っていません。それがないとパソコンは正しく作動せず、研修医は診断にたどり着く術を知らないまま。ということで、まずそれを入れなければ。今日は自分の持っているOSについてお話しますが、それが絶対という訳でなく、他の先生はその先生のOSを持っています。今回のレクチャーはその中の1つだと思って、インストールするかどうかちょっと見てみて下さい。診断にはそれ用のOSがあって、輸液には輸液の、栄養には栄養のOSがあります。その基本概念、大きな目線での枠組みを頭に入れておくことがとっても大事。

 ただ、これからのお話を見ると分かるでしょうが、診断推論は非常にファジイ、曖昧なんです。OSという表現をしたため機械的でデジタルなものを期待しちゃうかもしれませんが、”推”論という言葉が示す通り、推し量ることにより診断するのです。この記事を読むことで、曖昧な中で何を頼りにすべきか、というのが少し分かっていただけるかと思います。その中で、診断に用いるものの有用性と限界性を学んでもらえたら、と感じています。

 そして、診断推論は多くは”言葉”によって構成されています。診断の中で最も重要なのが病歴という事実からもそれを確認できるでしょう。このレクチャーではその”言葉の重要性”にも重きを置いています。

 診断というのは超絶技巧を必要としません。アートではないのです。自分自身の中で再現性が保たれ、かつ他の研修医も出来るような普遍性のあることが求められます。ヒラメキや重箱の隅をつつくような知識はあったら面白いかも知れませんが、それは共有しづらいもの。地味で愚直かもしれないけれども、自分の中で納得がいき、そして他の人にも出来る。そんな診断というのが一番大切だと思います。

 今回紹介するのは、そのための第一歩だと思ってください。基本的な事項を共有できるように伝えられれば良いなと考えています。

 各項目について記事にしていきます(ここではリンクを貼っていきます)。
・前座:症状と疾患→コチラ
・鑑別を行う場所→コチラ
・「主訴」の設定→コチラ
・鑑別の系統アプローチ→コチラ
・系統アプローチから見るミスの原理→コチラ
・鑑別の感覚的確率アプローチ→コチラ
・病歴前確率を知る→コチラ
・診察前確率を知る→コチラ
・検査前確率と検査後確率を知る→コチラ
・感度と特異度、そして尤度比→コチラ
・まだあるミスの原理→コチラ
・疾患そのものを知ると言う大前提→コチラ


☆参考文献
誰も教えてくれなかった診断学(和書で初めてと言って良いくらい、診断学について分かりやすく書かれた本)
The Patient History(ティアニー先生が監修している問診の本)
考える技術(症例を用いて実際に考えることで、診断への道筋を学ぶ良書)
Learning Clinical Reasoning(薄めですが読むのは難しい。でも得るものたくさん)
クリニカル リーズニング ラーニング(上記の和訳。訳されていても難しい)
池田正行先生のサイト(ステップに区切る確率の考えを学びました)
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