2011
10.14

懐かしの本が改訂されました

Category: ★本のお話
 昨日本屋さんを覗いたら

問題解決型救急初期診療 第2版

が出ていました。懐かしいですね、田中和豊先生のこの本は学生~研修医1年の頃よくお世話になったものです。改訂まだかな、と待ちわびながら自分は研修2年間が終わってしまいましたが。。。

問題解決型救急初期診療 第2版問題解決型救急初期診療 第2版
(2011/10/08)
田中 和豊

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 で結局、



気付いたら買ってました



 もう精神科だから使わないのは分かっているんですが、つい。。。

 この本の特徴は各主訴に対するアルゴリズムが徹底されているところ。例えば腰背部痛のページを見ると

STEP1 外傷性か?非外傷性か?
・外傷性ならば、背部外傷
・非外傷性ならば
STEP2 整形外科疾患か?否か?
・整形外科疾患(98%)ならば、整形外科的診察
・整形外科疾患でない(2%)ならば、局所性疾患か?全身性疾患か?

と記されています。鑑別疾患も十分量記載されていて、使い勝手が良いと思います。突っ込みどころとして「整形外科疾患か?否か?ていうのが分かれば苦労しない」と後輩の研修医が言ってましたが、それはまぁ、ご愛嬌。確かに胸痛の項目でも

・鉄則:急性冠症候群を否定する
STEP2 心血管系(16%)か?非心血管系(84%)か?

とあります。すんなりACSを否定出来ないのが難しく、それ以外の心血管系かどうかというのも判断に困ることだってあります。

 しかしきちんとそこの病歴や診察項目などから材料を探せるようになっているので、しっかり読んでいきましょう。

 この本に載っているアルゴリズムの様にクリアカットにならないのも現実。それは著者の田中先生もご存じのことで、単純にホイホイとは行きません。しかし、そういうファジィさを抱えながらも適切な鑑別の仕方をアウトプットしたことは凄いなと思います。研修医もこのアルゴリズムを頭に入れることで、見逃しが少なくなるんじゃないかと思いますし、そのファジィなところに着目してもっと自分で勉強して掘り下げて行くことも大事。どんどん視野を広げていきましょう。ちなみにACLSも2010年版。

 ただ、この本は残念ながら抗菌薬の使用方法は「???」と思うところが少なくありません。1つ例を出してみましょう。

 細菌性咽頭炎の治療で、伝染性単核球症の可能性があるのでアンピシリンは使わないとしているのは構わないのですが、経口抗菌薬に

ジスロマックあるいはジェニナック

と。これはどうかしらと思います。日本のヨウレン菌はマクロライド耐性が70-80%という恐ろしい数字ですから、効かないでしょう。後は、咽頭炎ごときにキノロンを使うのは、感染症屋からするとご法度的治療。

 アミノペニシリンが怖いなら第1世代セフェムやダラシンとかが良いと思いますが。それ以前に迅速キットでヨウレン菌陽性になったら、どんとサワシリン使うのが適切。

 それと、β-ラクタマーゼ配合アミノペニシリンではユナシン錠を例として使ってますが、これに含まれているアンピシリンは経口では安定しないので(サルモネラの腸炎くらいです、使えるの)、アモキシシリンの入ったオーグメンチンを使うべきでしょう。そのオーグメンチンも、サワシリンを1-2錠噛ませて使うと下痢の副作用が少なくなります。

 他にも抗菌薬の「その併用は何だろう?」と首をかしげるところが多いです。

 ですので、総じて良い本で自分も好きなのですが、抗菌薬の使用だけはこの本を真似てはいけません。きちんと別に勉強しましょう。キノロンなんて無くても外来はやっていけます。

 あと精神科的には、ベンゾジアゼピンの例でこの本はデパス使ってますが、筋弛緩作用が強いので、救急外来で抗不安目的として使うならワイパックスやソラナックスが良いと思います。高齢者にデパス出したらすっ転んで大腿骨頚部骨折して寝たきり、なんていうことになったら夢見が悪いですし。。。
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コメント
管理人閲覧コメントを下さった方、ありがとうございます。
懐かしく思い出してしまいました。確かに遠くになった印象はありましたが、コメントを読んで非常に嬉しく思いました。

わざわざコメントありがとうございます。
m03a076ddot 2011.10.20 18:11 | 編集
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