2011
10.08

Evidence Based Psychopharmacotherapyを学ぶために

Category: ★本のお話
 自分の属している精神科の教授は、受容体・遺伝子など精神薬理学や精神生物学を専門としています。

 なので、薬物療法については「なぜこれを選んだか?」ということについてきちんとした論理をこちら側が持つ必要があります。仮にそうでなくても、今の精神科はお薬あっての精神科。本当に有難いですし、きちんと使えるようになるためにも、勉強は欠かせません。

 そこで、コチラをご紹介。

モーズレイ処方ガイドラインモーズレイ処方ガイドライン
(2011/01)
David Taylor、Shitij Kapur 他

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 「モーズレイ処方ガイドライン 第10版」です。

 新しいエビデンスに基づいた、お作法的な治療が出来るようになります。どんな受容体にくっついてどういう作用をするのか、という内容には乏しいですが、代表的な精神疾患のメインストリームとなっている治療内容や、補助療法のエビデンスなども詳しく掲載されています。

 統合失調症のページではクロザピンの項目に多くを割いています。

 他科診療の現場でちょっと困る腎障害や肝障害がある患者さんではどうすればいいのか、というところにもきちんと答えてくれます。

 抗うつ薬のスイッチングも詳しい。

 イギリスの本なのでNICEガイドラインの引用が多いですが、きちんとSTAR*Dの解釈もしてくれています(そりゃそうだ)。

 ただ、日本とは使用用量や使用薬剤の種類などが異なるため、そこは注意が必要です。親切なことに翻訳者からの注釈が付いてくれています。

 抗精神病薬の副作用でDVT/PEがあること、デュロキセチンやミルタザピンは"痛み"にも効果があること、ミルタザピンとオランザピンには"制吐"の作用があること、と言ったところの記述が無かったので、そこは惜しいなと思いました。

 でも総じて非常に良い本。まさに実践的で惚れ込んでいます。そこに書き込んだり、各受容体の親和性などの配布プリントを貼り付けたり。絶賛カスタマイズ中。

 自分は確か5月か6月くらいに買いまして、1年目精神科レジデントの間で流行らせようと画策して5人ほど買ってくれました。皆さん好評価。

 少しでも良い治療が出来るように、患者さんの利益となるように、お勉強は大事です。

 ちなみに自分は治療に漢方を噛ませることがあります。抗うつ薬を初めて処方する時には六君子湯プラスしたり、スイッチング中は補中益気湯プラスしたり、症状が生理で変動するなら加味逍遥散プラスしたり。エビデンスは無いですけどね、、、。でも何となく効いてくれている様な気がしないでもないです。
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コメント
先生のブログ、よく拝見させて頂いてます。
昨日ちょうど、本屋で見つけたので買いました!
ナジール・ガエミ先生の「気分障害ハンドブック」と併せて読むとよい感じです✨
自身が双極性の精神科医dot 2016.12.18 09:59 | 編集
>自身が双極性の精神科医先生

ありがとうございます。
モーズレイは本当によく出来た処方ガイドラインですね。
ちなみに現在は第12版で、大塚製薬は会員制サイトで日本語訳の内容を公開しております。
『気分障害ハンドブック』も名著ですね! とてつもなく実践的で、下手な教科書よりもしっかりしたつくりだと思います。
m03a076ddot 2016.12.19 14:25 | 編集
大塚製薬の会員制サイト,長らく放置してしまっていました(笑)

12版,買ってしまった・・・orz

MRさんはやたらポカ○やカロリーなんとかをくれようとしてましたが,モーズレイの方が嬉しかったですね。

今後とも先生のブログでは勉強させて頂きますm(_ _)m
自身が双極性の精神科医dot 2016.12.20 12:59 | 編集
自身が双極性の精神科医先生

ありがとうございます。
製薬会社さんのサイトってあまり見ないですよね…。
モーズレイは臨床でもとても役に立つ本で、若手の精神科医が全員コレを勉強したら薬物療法の質が上がるだろうなぁと想像しています。
雑雑としたブログですが、お暇な時にでも覗いてみてやってくださいまし。
m03a076ddot 2016.12.23 09:08 | 編集
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