2011
09.23

小児の発熱:頼りになる血液検査項目は?

 子どもの発熱。

 救急外来でも私たちを悩ます症候の1つです。重症感染症をきちんと見抜かねばなりません。

Diagnostic value of laboratory tests in identifying serious infections in febrile children: systematic review

 6月のBMJからですが、バイオマーカーをうまく組み合わせ主に救急外来にて小児の発熱で重症感染症の診断精度を高められないか?というシステマティックレビューです。

 この中で最も診断的価値が高かったものはCRPとプロカルシトニンでした。CRPのpooled LR+ 3.15、pooled LR-0.33となっています。

 重症感染症をrule inするためのカットオフ値は、プロカルシトニン2ng/mL(2研究にて。LR+3.6-13.7、LR-0.54-0.58)、CRP 80mg/L(1研究。LR+8.4、LR-0.57)が勧められています。日本ではCRPの単位がmg/dLなので、ひと桁小さい8mg/dLということになります。重症感染症をrule outするには、プロカルシトニンは0.5、CRPは20(日本では2です)をカットオフにする必要があるとしています。また、これら2つのマーカーは値が上昇するまでのタイムラグに違いがあるので、組み合わせることで効果をより発揮するのではないかともされています(cost effectiveかは疑問だがという但し書きもありますが)。

 WBCは、rule inにおいてはある程度は役割を持つかもしれないとしています(LR+0.87-2.43)が、炎症性マーカーに勝るものではないとのことでした。rule outには価値が無い(LR- 0.61-1.14)と著者らは言っています。

 ベストパフォーマンスは、CRP、プロカルシトニン、検尿の組み合わせであり、LR+4.92、LR-0.07と結論付けられました。

 プライマリケアでのセッティングや、上記のマーカーの値の評価、バイタルサインなども含めて検討の余地があるとしています。

 この論文ではさらっと検尿と言ってくれていますが、なかなか取るのは難しいですね。。。採尿バッグはコンタミも多いので解釈には注意が必要です。クリーンキャッチもありかもしれませんが、乳幼児ではまず無理なことがほとんど。恥骨上穿刺は良い方法だとは思いますが、暴れられたら危険。カテーテルが無難でしょうか。

 あと言っておくことは、これらのエビデンスも前もって重症感染症を疑うことで活かされます。検査前確率が重要であり、その確率は小児の場合は観察(Pediatric Assessment Triangleと呼吸数含めたバイタルサイン)によって大部がなされるというのは覚えておきましょう。

 以下に、研修医時代自分の使っていたPediatric Assessment Triangle (PAT)と以下の流れを示しておきます。

★PAT
 最初の評価はPAT(Pediatric Assessment Triangle)を用いて行います。Appearance、Breathing、Circulationの3点を、パッと見で判断(PATなだけに?)。見るポイントは

☆Appearance 外観・見かけ
TICLSと覚えます。
 Tone筋緊張
 Interactiveness周囲への反応
 Consolability機嫌
 Look視線
 Speech発語、啼泣
この外観は、酸素化、換気、脳循環、安定性、中枢神経機能の適正さを反映します。

☆Breathing 呼吸仕事量
 体位
 胸部/腹部の動き
 呼吸数
 呼吸努力
 呼吸の音
この呼吸は、気道、酸素化、換気の適正さを反映します。

☆Circulation 循環・皮膚色
 Pallor蒼白
 Mottlingまだら
 Cyanosisチアノーゼ
この循環は、心拍出量、主要臓器への灌流の適正さを反映します。

 これらのTriangleから、具合がわるいか、それほどでもないかを判断します。具合が悪い!と思ったら、気道・呼吸・循環の迅速評価に入り、問題が発見されたらその時点で対応。それほどでもないかなーと思ったら、系統的評価(一次評価から三次評価まで)に入ります。

★一次評価~問題が見つかれば、その時点で治療を開始
ABCDEで評価します。
 Airway:開放されてるか閉塞されてるか?
 Breathing:息の仕方は?呼吸数は?SpO2は?
 Circulation:心拍数は?Capillary Refill Timeは?末梢の冷感は?血圧は?
 Disability:AVPUやGCSで評価を
 Exposure:服を脱がせて全身観察を。体温は?

★二次評価(身体診察とSAMPLE)
SAMPLEは以下。
 Signs & Symptoms:主訴に関わる症状や徴候
 Allergies:アレルギー
 Medications:薬剤
 Past history:既往歴、関連病歴
 Last meal:最後の経口摂取
 Events:現在の疾病や受診に繋がる状況

★三次評価
各種検査。
三ヶ月未満の発熱なら全員採血。ほぼ胸部レントゲンもルーチン化。
腹痛なら超音波と浣腸は大きな武器。
尿検査は難しいですね。採尿バッグ使うとコンタミ多いし。。。ちなみに、、、
1歳以下・熱発>39℃・感染源不明・2日以上発熱が持続
この4項目のうち2つ以上当てはまれば尿路感染の感度95%と言われています。

★子どものバイタル
 心拍数(HR)と呼吸数(RR)は必ず取りましょう。発達によって基準値が変わってくるのが面倒ですが、専門書にきちんと基準値が記されているのでコピーしてペタッとノートに貼りましょう。名大病院救急外来では、自分がひっそりと各治療室の机に貼っておきました。。。なかなか年齢別に覚えられなかったので、カンペです。

★ついでに血培の量
 ルーチンでの嫌気ボトルは必要ない。最低1mLの血液は欲しい。
体重1kg以下:2mLを1セット(計2mL)
1.1-2kg:2mLを2セット(計4mL)
2.1-12.7kg:3mLを2セット(計6mL)
12.8-40kg:10mLを2セット(計20mL)
それ以上:成人と同様。

 子どもは大人と勝手が違うので取っ付きづらいところがあり、苦手な研修医が多いと思います。PATとバイタル測定は必ず行うようにして、ん?と思ったら無理して帰さないのが大事だと思います。鑑別も大人と変わってきますし、子どもの症候はそれなりの時間をかけて勉強するのは言うまでもありません。
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