2011
07.20

精神疾患でのラモトリギン

 ラモトリギン(ラミクタール®)が、日本でも双極性障害の治療薬として承認されました。

 維持療法への新たな選択肢の1つ。中でもうつ病優勢であれば第一選択としてCANMATやBAP、TMAP2007年改訂版などでも支持されています。WFSBPにおいては、双極I型で急速交代なしの時、うつ病優勢ならエビデンスレベルA、急速交代ありの時、うつ病優勢ならエビデンスレベルDとして、双極II型で急速交代ありの時、エビデンスレベルCとして掲載されています。

 特に現在使われているリチウム(リーマス®)やバルプロ酸(デパケン®/セレニカ®)は催奇形性が確認されているので、妊娠可能年齢の女性には気分安定薬の使用を控える傾向にあります。ラモトリギンはそれらよりも危険性が低いと言うことで、貴重な代替薬となりえます(註参照)。また、体重に対する影響がないというのも特に若年女性にとってはアドヒアランスという点でも特記すべき事項でしょう。しかもリチウムやバルプロ酸はうつ病エピソードの予防に対し、少し力が弱いところがありました。ラモトリギンは躁/軽躁エピソードの予防は苦手ですが、うつ病エピソードの予防に優れているという点が特徴です。

 単剤としてもリチウムと同等の再発予防効果があるのではないか、特にうつ病エピソードに効果的ではないかと言われています。使用量ですが、維持には200mg/dayが適しているのではという研究結果があります。

 併用療法ではリチウム+ラモトリギンがリチウム単剤よりも抗うつ効果が増強され、再燃or再発までの期間が延長されることが示されています。

 バルプロ酸との併用も有望視されてはいますが、これは注意が必要。ラモトリギンのクリアランスが低下し、血中濃度増加、半減期延長が生じます。逆にカルバマゼピンやフェニトイン、リファンピシンとの併用ではラモトリギンの代謝が促進されてしまいます。

 注意点としては、皮疹。これが出たら即中止が必要です。よって、少ない量からじわじわ時間をかけて上げて行かねばならず、もどかしい印象を与えます。決して急性期治療に用いるものではありません。皮疹のリスクファクターとしては

・Cytochrome P450 inhibitors(バルプロ酸など)との併用
・急速な増量
・患者への皮疹に関する教育の欠如
・12歳未満
・他の抗てんかん薬による皮疹の既往

などが挙げられています。自分は皮疹が怖いので、バルプロ酸と併用していなくても25mg隔日投与から開始しています。日本での皮疹発生率は7%ちょっとという報告ですが、自分の勤めている病院ではもっと多い印象。みんな使い方を順守してるんですけどね。。。看護師さん受けも悪く、「ラミクタール使いますんで」というと


工エエェェ(´ロ`ノ)ノェェエエ工


 こうなります。。。

 後述のように効果は双極性障害のみにとどまりません。そのため皮疹が出ないように注意して注意して使うんですが、それでも。25mg隔日投与から開始すると述べましたが、そんな態度で臨んでも出たことが1回ありまして。その時ばかりは開いた口がふさがらなかったですわ。

 ラモトリギンについては、これから肯定的/否定的なものを含めてどんどんエビデンスが蓄積されていくと思います。個人的には、妊娠可能年齢の女性に維持療法を行う際に使用可能(ベネフィットが上回る場合)というところがありがたいです。

 ここからは全くエビデンスありません。独り言として。。。双極性障害の患者さんに使っていると、25mgくらいで引っ張ってると、それでずいぶんと良くなる人もいます。販売元のグラクソスミスクラインのMRさんに「25mg/dayじゃダメ?」て聞いてみましたが、やっぱり維持には相応の量をお願いしますとのこと(そりゃMRさんは添付文書以上のことを言ってはいけませんからね)。双極性障害のうつ病相そのものには25-75mgくらいでも効果ありな印象はあります。維持となると違うんでしょうかね。後は適応外使用ですが、単極性うつ、それも結構強いうつにちょろっと増強で使っても効いてくる印象。妄想を伴うようなうつ病にはサインバルタと併せて処方すると何とか浮上してくれます。統合失調症で、無為自閉になってしまった患者さんとか抑うつが強くなった患者さんにもちょろちょろっと使うと、ちょろちょろっと活動的になります。でも統合失調症では失敗することの方が多いかしら(ハイパーになっちゃう人が結構…)。全般性不安障害や強迫性障害といった神経症圏内にも増強として使用でき、器質的なもの、例えば発達障害とか頭部外傷後とかレビー小体病とか、そういう患者さんの気分を安定させたり幻覚を軽くしてくれたり、そんな手応えがあります。結構フシギな薬剤だな、、、と思ってます。何だこのオールラウンダーは。使用量についてはほとんど25-50mg/dayくらいにしています。多分、器質的なキズに効いてくれるんでしょうね。純粋な統合失調症は内因性(古い言い方ですが)。



註(2011年11月7日記載):妊婦への使用ですが、オーストラリア基準では、ラモトリギンがB→Dに格下げされ、これで気分安定薬は全てDになりました。FDAは変わらずCのままで、気分安定薬の中で唯一のCとなっており、他はDです。

補:ラモトリギンの副作用で「無菌性髄膜炎」がありました。2010年にFDAも警告しています。恥ずかしながら自分はその副作用を知らず、同期が入院患者さんで使用していてその患者さんが発症し、知るところとなりました。患者さんは発熱があって頭痛がありながらも結構元気が良くて、新聞も読んじゃってました。ただ、首が硬くてうつむくことが出来ませんとの訴えあり。新聞も異様に良い姿勢で読んでました。。。sickな印象が乏しいというのはやはり薬剤性の特徴でもありますね。
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