2011
01.05

感染症に強くなろう!!

Category: ★本のお話
 学生の頃にここで感染症の勉強で使っていた本を紹介しましたが、研修医として働いてからもどんどん良いのが出てきました。改めて、ここで紹介。

 でもその前に、なぜ自分はしつこく感染症のことを言うのか??

 どの科に行っても感染症は付いて回る。自分の属している精神科でも摂食障害患者さんに入っているCVカテの感染やNGチューブ留置による副鼻腔炎などはきちんと見つけなければならない。

 こういったことも理由の一つ。でも、最近はより強い理由があるんです。それは、、、


感染症に強くなれば、内科一般にも強くなれる!


 感染症の占める割合が高いから、ということではありません。感染症を考える際、そこには一定の「ロジック」というものがあります。それは青木眞先生や大曲貴夫先生が繰り返し述べられているもの。そのロジックを見てみましょう。

①患者背景を理解する
 ・年齢や基礎疾患
 ・曝露
  →微生物を推定する
②感染臓器を考える
 ・診断過程が進めやすくなる
 ・重症度を把握できる
 ・どのような微生物が原因か予測できる
 ・経過観察に役立つ
③原因微生物を探す
 ・微生物の推定:患者背景、感染臓器から
 ・微生物の同定:検体提出、グラム染色や培養検査などで微生物の絞り込み
④抗菌薬を選択する
 ・empiric:ターゲットを推定し、それに対して有効な抗菌薬を
 ・definitive:起因菌と感受性結果により抗菌薬を再選択
⑤適切な経過観察
 ・各疾患の自然経過の理解
 ・よくならない場合の仕切り直し、対処法

 感染症診療をきちんとこなすということは、この流れをきちんと捉えて常に診療していることにほかなりません。そして上述のロジックを良く見てみると、ちょろっと言葉を変えるだけで、内科の考え方にも繋がるんです!

 患者背景を考慮に入れ、症状から原因臓器を推理する。診察、検査で更なる原因を追求し診断。そしてそれからの経過観察。治療が上手くいかないと考えた時の理由を思索。

 この考え方は、内科診療の原則であるとも言えそうなのです。

 だから、感染症の勉強を疎かにしてはいけません。感染症診療の考え方は、内科診療のベースなのです。

 というわけで、教科書を紹介していきましょう。


・レジデントのための感染症診療マニュアル 
 机の上に置いておきましょう。困ったときの強い味方。

・感染症診療のロジック 
 最高の感染症のテキストだと密かに思っています。原則が身につく!イチオシ!!

・抗菌薬について内心疑問に思っていることQ&A 
 題名のまんま。疑問に思っていることが氷解します。

・絶対わかる抗菌薬はじめの一歩 一目でわかる重要ポイントと演習問題で使い方の基本をマスター 
 最低限、抗菌薬についてこれくらいの知識は必要。

・がん患者の感染症診療マニュアル
 患者背景に重きが置かれています。一般的な感染症マニュアルとしてもgood!

・サンフォード 
 定番。正しい抗菌薬の投与量・投与期間を学びましょう。日本語訳が使いやすい。


 基本的に研修医はこれだけで何とかなると思います。特に「感染症診療のロジック」は素晴らしいので、ぜひ読んで下さい!

 その他には、、、
・感染症レジデントマニュアル
・抗菌薬の考え方、使い方ver.2
・感染症外来の帰還
・見逃したらコワイ外来で診る感染症
・感染症入門レクチャーノーツ
もオススメ。

 研修医の早いうちから感染症に詳しくなっておくことが、特に内科志望の人には重要だと思います。若い衆がんばってー。


 c.f. 「見逃したらコワイ外来で診る感染症」では、膀胱炎にサワシリン(アモキシシリン)を処方例として掲載していますが、たまに失敗しますね。。。自分は『ホスミシン1g×3/dayを2日間』を第一選択で使ってます。バクタも良いけど、何かと日本では使いづらい印象。キノロン?もっての外だと思います。

 c.f. 2011年中に出版される予定の「感染症治療ガイド」の中で、単純性膀胱炎の第1選択がキノロンになりそうです。理由が「アメリカと違って日本では耐性率が高くない」からだそうです。そんなんでお墨付き与えてどんどん使ったら、将来どうなるんでしょう??今は高くないかもしれないですが、これで乱用されたら大変になりますよ。アメリカさんはキノロンを第2選択にしており、第1選択にはホスホマイシン、ST合剤、ニトロフラントインという昔ながらの抗菌薬。ホスホマイシンとニトロフラントインが復活しているのが味わい深い。個人的には、膀胱炎にキノロンはやっぱりやり過ぎだと思います。(Nov.1.2011)
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コメント
m03a076d先生、はじめまして。
blogの教科書レビューコーナーをいつも参考にしています。
感染症の教科書について先生にお伺いしたいことがあります。
現在、臨床科目を勉強しているのですが、感染症の教科書選びに迷っております。
j.linksdot 2011.10.04 22:49 | 編集
イヤーノートの感染症該当箇所を読んで対策をしていたのですが、分量が非常に少なく、またあまり体系的に感じられない(各種細菌からといった切り口でしか書かれておらず、詳細に書かれていない)ため別の教科書を探しています。
先生のブログを参考に、「レジデントのための感染症診療マニュアル」「感染症診療のロジック 」を購入しようと考えているのですが、「レジデントのための感染症診療マニュアル」はアマゾンでのレビューに賛否両論があります...(汗)
怪書と書かれている方までおり、学生が手を出すべきものなのか迷っております。
j.linksdot 2011.10.04 22:49 | 編集
アマゾンレビューに加えて、国試対策的な意味でも、イヤーノートや病気がみえるといった薄い教科書にしておくべきなのかと考えています。(私の場合は、イヤーノートはもっているので病気がみえるなどの教科書にしておくべきなのでしょうか?)
イヤーノートの感染症範囲程度(といったら語弊がありますが...)の知識で十分なのでしょうか?(むしろ学生が、レジデントのための感染症診療マニュアルなどを読んでいると国試的にはよろしくないのでしょうか?)
j.linksdot 2011.10.04 22:50 | 編集
細菌学と感染症について
所謂細菌学の教科書(戸田細菌学やリッピンコッド、医科細菌学など)の詳細な細菌学的な知識、例えば病原因子や病原遺伝子獲得などなど、、、は、臨床に入ってからは使う事はないのでしょうか?
というのも、基礎医学から臨床医学への移行するにあたり、感染症学と細菌学の違いに戸惑っております。
極端に言うと、全く違う学問のようにも感じます。(言い過ぎかもしれませんが。。。)
私の大学は、微生物学と免疫学に重点が置かれておりかなり細かな知識を学ばされたのですが、感染症の授業にその知識があまり使えないように感じています。(臨床的な問題に対して、微生物学の知識をあまり生かす事ができない。)
臨床医になるとしたら、微生物学で学んだ知識にこだわらず、一から勉強し直すつもりで感染症を学ぶべきなのでしょうか...
お忙しいところ申し訳ありません。
j.linksdot 2011.10.04 22:52 | 編集
※一度に投稿できなかったので、分割して投稿しました。
鬱陶しい事になってしまい申し訳ありません。。。
後で削除を行います。
j.linksdot 2011.10.04 22:52 | 編集
>j.linksさん 
はじめまして。削除しなくて結構ですよ。
学生さんだとすると、青木先生の本は早いかなと思います。昨今の日本の感染症テキストはほとんどこの本がベースです。机の上に置いて、臨床で出会った感染症のところを必ず参照。ということで、研修医になってから買いましょう。
「ロジック」も学生さんには少し早いかもしれません。実際臨床現場に出てから読むと素晴らしさが分かる本です。むしろ現時点では「感染症レクチャーノーツ」で臨床微生物学を眺めた方が分かりやすく、架け橋になってくれるんじゃないかなと思いますよ。
国試に限って言えば、みんなと同じ勉強をしましょう。学生的でない教科書に手を出すよりは、学生らしく勉強した方が効率が良いです。
いわゆる学生の勉強する微生物学に出てくるような知識は、自分はかなり無くなりました。。。専門医になるのなら必要な知識となるのかもしれませんが。もちろん下地にはなっていると思うのですが、実地臨床ではなかなか表に出てこない知識ですよね(リッピンコットはclinicalな印象はあり、良くできてます)。現場に出たら"感染症"のテキストで勉強しましょう。
m03a076ddot 2011.10.05 00:40 | 編集
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