2010
08.08

救急は難しい!

Category: ★本のお話
 「先輩、救急どうやったら自信持ってできますかねー」

 こんな質問を1年次の後輩から受けることがあります。

 救急を上手くこなすには、やっぱり勉強。それと場数を踏むこと。この両方が大事。あまり答になってないと言われそうですが、それ以外には思いつきません。

 とにかく場数をこなせ!換言すれば習うより慣れろ!というスタンスもありますが、そうではなくて


習って慣れろ


 これが重要なんじゃないかなと思います。海図を持たないで航海へ出るよりは、信頼できる海図のあった方が絶対に安心(Osler先生のパクり)。

 その地図は、上級医に教えてもらったり本で調べたりして得た知識。2年次に聞いてもらっても全く構いません。上級医の知らない、現場での知識は意外と2年次が持っていたりします。1年次の最初の頃は救急外来のベッドの柵の下げ方も知らない(自分も最初はガシャガシャやっても下がらん柵にイラッとしました…)。それを上級医に聞いても「いや、知らねぇよ」で済まされます。入院時の検査オーダーとか、どのお薬がどこにあるかとか、「現場ならでは」は2年次や看護師さんが先生です。地味ですけどね。

 本に関してはちょくちょく救急関連で紹介してきたものを読んでもらえれば、と思います。

 辿るのめんどくさいと言われそうなので、ちょっと追加してここにまとめると、、、
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誰も教えてくれなかった診断学(救急に限らず総論、を学びましょう)
診察エッセンシャルズ(症候学!最もお気に入りな本。今は第2版)
問題解決型救急初期診療(結構古くなってしまいました。。。アルゴリズムを学ぼう)
問題解決型救急初期検査(各種検査異常に対しての動き方。病棟でもO.K.)
Step beyond resident(林先生の本。今は1-5まで出てます)
もう困らない救急・当直(jmedシリーズ。最初の一歩を踏み出せるようになります)
見逃したらコワイ外来で診る感染症(jmedシリーズ。感染症は大事!読みやすいです)
ERの裏技 極上救急のレシピ集(これも林先生の本。これ読んで顎関節脱臼の整復やったら見事に成功。おぉ~っと感心してしまいました)
マイナーエマージェンシー(Minor Emergenciesの和訳。喉に魚の骨が刺さったとか眼に何か入ったとか耳に虫が入ったとか爪剥がれたとか。。。そういうマイナーなことに対しての処置も書かれています。名大では救急外来に1冊置いてあるので心強いです)
Evidence Based Physical Diagnosis(McGee先生の本。診察にもエビデンスを!というコンセプトで面白いです。「マクギーの身体診断学」として和訳あり)
Rational clinical examination(McGeeの親本的存在。和訳出ちゃいました。。。「JAMA版 論理的診察の技術」)
急性腹症の早期診断(Cope先生の本で、初版が1921年という化物。原著はちと英語が難しい。。。一人のエキスパートの経験による腹部の病歴/診察が、今のエビデンスで多くが肯定されてます。ExperienceとEvidenceの一致って何だかロマンを感じますねー)
ここまでわかる急性腹症のCT(撮ったは良いけど読めません、は困りもの。この本は読んでおきましょう。今は第2版)
消化管エコーの診かた・考えかた(これは趣味かも。実質臓器のエコーに慣れたら消化管も勉強してみましょう)
新超音波検査 消化管(写真がキレイ。上の補佐に)
小児救急のストラテジー(初期評価から三次評価まで、体系的な子どもの診方を学びましょう)
臨床医のための小児診療ハンドブック(日経BPより。コモンな主訴に対してのアプローチが書いてあります。薄くて読みやすいし、処方例も結構載ってます)
こどもの皮疹診療アップデイト(CBRより。皮膚科苦手ですが、典型例は押さえたい)
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 こんなものかしら。ここに載せたものはいちおー眼をきちんと通してます。読んだ上で紹介してますので。後は、救急外来に置いてあるERマガジンを暇な時にペラペラとめくりましょう(名大限定になってしまいますが)。

「じゃー、こんだけ読めば自信付きますか?」

 付いてしまうかもしれませんが、自信は付けない方が良いです。

 ここは人によって見解の分かれるところだと思いますし、感覚で言うと自信にも良い自信と悪い自信があるような気がして(自分が持たないようにしているのは『悪い自信』。じゃあそれって何?と言われても返答に窮するところがありますが)。

 自分は、研修医は特に救急外来の診療に於いて絶対に自信を持つべきではない、と考えています。常に不安と恐怖は持っていて損はありません。自分も含め、研修医の経験患者数なんてたかが知れているもの。その程度で自信を持ってはいけない。


そんなにビクついていてはいつまでたっても独り立ちできんよ


 確かにそうかもしれません。でも研修医の自信は、ミスと背中合わせであることも否めないと思うのです。自信を持って、更には独りよがりになるのが最悪のパターン。チームの連携も何も生まれません。
自信を持ってしまうのなら、早めに持ちましょう。そして、一回伸びた鼻をポキっと根元から折ってもらいましょう。

 自信を持ちかけて失って、その繰り返しで医者として成長していくんだと考えています。


追加:問題解決型救急初期診療の第2版が出ましたね。ただし、抗菌薬の使い方はちょっと「??」と思ってしまいます。きちんと別個に勉強しましょう。

追加:亀田総合病院のマニュアルが出ました。”KAMEDA-ERマニュアル”はすべきことが簡潔に記されていて、パパッと動けます。”総合診療・感染症科マニュアル(亀マニュ)”はサスガ亀田と思わせる内容。”買い”ではないでしょうか。
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コメント
たくさん本を読まなきゃならないんですね><
救急のお勉強でもそんなに必要なら、内科とか外科とかを合わせるとすごいことになりそう...。お金がどんどん無くなりそうですね
りんdot 2010.08.13 18:51 | 編集
>りんさん 
自分は臆病者なので、読むテキストの量が多くなっているような感じ。でも最近はあんまり勉強してないんですよね。。。夏バテで。救急外来も一年次がいい感じに成長してくれて、彼らに任せてしまうこともしばしば。人間楽をしだすと転がり落ちるのは早いな、、、と実感してます。
m03a076ddot 2010.08.14 13:14 | 編集
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