2009
09.19

医療を考えよう

 ご存じのように、現在の日本は大変な医師不足。数は増えてはいるものの、残念ながら残念な状況。これを機にちょっと医療について考えてみましょう、というのが今回の目的です。

 最初に色々数字を載せるのも申し訳ないのですが、一応出しておきます。

 OECDの「ヘルスデータ2009」というのがあります。日本の総医療費はGDP比8.1%(2006年)で、加盟30カ国中21位と前年と変わらず下位に(数年前にあのイギリスにすら抜かれた...)。OECD平均は8.9%(07年)となっています。医療費増えてるから抑制しよう!とする政府の見解には納得できません(もっと公共事業減らそうよ)。ちなみにこの医療費、パチンコ業界とほぼ同じ、葬式産業の2倍程度の規模でしかありません。お葬式に費やすお金が日本の総医療費の半分もあるとはね。。。

 1人当たり医療費も、日本は2581ドル(06年)でOECD平均の2964ドル(07年)を下回り、30カ国中21位。
日本の1人当たり医療費は00-06年に実質ベースで2.2%増加していますが、これは00-07年のOECD平均3.7%を下回っているとのこと。

 人口千人当たりの医師数は2.1人(06年)で、OECD平均の3.1人(07年)をはるかに下回り、30カ国中27位!2020年には最下位に転落するんじゃないかと言われています。

 ちなみに病床数は滅茶苦茶多いんです、日本って。ただでさえ少ない医者が、多い病床によって更に分散。。。看護師さんの数自体は先進諸国と比べて遜色ないレベルですが、やっぱり病床数のせいで薄まっちゃうんです。



 これを踏まえた上で、日本の医療はどうなのか?を見てみることにします。まず、医療は「料金、質、かかりやすさ」の3つが重要と言われていて、皮肉なことにこの3つを全て満たす事はほぼ不可能とも言われています。

 例として、アメリカ・イギリスを出してみましょう。

 まず、マスコミが崇めたてるアメリカ様の医療は?アメリカはお金さえあれば非常に質の高い医療を受ける事が出来ます、お金さえあれば。お金のない人に医療は顔を向けてくれません。つまり質しか保証されていませんし、お金のない人には3つ全てが満たされないと言うことです。日本では「ちょっと具合悪いなぁ、風邪かなぁ。病院でも行くか」となるのが自然な流れですが、アメリカでは不可能。それだけで何万円もとられちゃいますよ。マスコミは良くアメリカを引き合いに出して「日本の医療は駄目だ!アメリカは凄い!」なんてちゃんちゃらおかしいこと言ってくれますが、アメリカの素晴らしい医療の質(しかもそれは特殊医療)は弱者切り捨てによってなされています。逆に言うと、切り捨てなければその質を保つには不可能。

 イギリスさんの医療はどうでしょう?料金と質は良いらしいですが、全くもってかかりやすくありません。家庭医が普及していますが、その家庭医にかかるにも予約とってかなり待って、そしてもっと大きな病院には家庭医を通してからじゃないと行けないし。。。日本の様なフリーアクセス(大学病院も初診でかかれる)ではありません。救急車で病院に行っても何時間も待たされます。CTも数が少なく、救急でなかなか使えません。エコー?そんなものアナタ。。。自分も救急ではエコーを頻用していますが、そんなことできるのは日本くらいです(アメリカよりはヨーロッパの方が普及してますが)。

 では、日本はどうか?日本では世界平均と比べると料金も安いし、好きな時に好きな病院にかかれますし、質もある程度はO.K.です。良く批判される『3時間待ち3分診療』ですが、はっきり言って

具合が悪くなったその日のうちに病院で診てもらえる

というのは世界的に見て異常なほどの速さ。日本は恵まれすぎているような気がしてきます。冒頭に数字を出しましたが、医療費は先進国中最も安い。世界に誇る医療制度があるんですよ(崩壊寸前ですけどね)!!

 ナゼそんなことが可能かというと、医療従事者の底力なのです。我々は確かに普通の人よりはお給料が高いです。でも世界標準からすれば安い給料で長時間働いているのが実情。ヒラリーさんが「日本ってなんでそんなに良い医療なの?」と思い視察に来て、その事実を知った時は「素晴らしいと思う以前に呆れた」とおっしゃって日本の医療制度導入を完全に諦めたそうです。それくらいに日本の医療従事者はせっせこせっせこ働いているんです。

 そーゆーところを見もしないでマスコミさんはこっちを敵みたいに報道しちゃって、国民の皆さんもマスコミの言うこと信じちゃうもんだから。。。医療を粗末に扱う傾向にあります。ちょっとは自国の医療の素晴らしさを報道してくれ!WHOは日本の医療を世界最良と評価してくれているんですよ、実は。

 恐らく、これからは今までの医療の質を保つのは困難。その質の下がり幅をどれだけ小さくできるか、それにかかっていると思います。でも質が低下したらまたマスコミは医者を槍玉に挙げるのかしら…。


 ちょっと古い(2005年)ですが、参考になるサイトがあるのでご紹介。

知って欲しい医療の現実 ―四つの誤解―

 覗いてみて下さい。 すごく分かりやすいです。
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コメント
「コミットメントの力」という本で、イギリスとブラジルでは医療費が無料だと知りました。
イギリスとブラジルでは状況は違うんですけど、本を読んだ限りでは、イギリスほど利用者に優しい制度はない!イギリスってすごい!と思い、目から鱗でした。1冊の本からの情報なので偏っているかも知れません…
私は医療費無料はすごくいいな、と思いますが医療者側からすれば、コンビニ受診が増えたり…大変なことの方が多そうにも思います。
日本の医療者をもっといたわって欲しい、と私も思います。
働きやすい環境、というのでしょうか。
あおdot 2009.09.20 14:43 | 編集
イギリスは確か無料ではないはずですが、その本では何らかの特殊例を扱っているのかもしれませんね。日本人はもともとすぐに病院にかかる性質があり、医療費が無料になるとそれはそれは恐ろしいことになりそうです。財源も難しそうですし、現実的ではないような気がします。
本文の繰り返しになりますが、日本の医療費は先進国中で最も安く、上がりこそすれこれ以上下げるのもどうかなぁという印象です。すべきことと言えば、”総医療費を上げる(国の財源)・医者の数を増やす・病床削減・患者さんのマナー向上・マスコミの医療に対する誤解を解く”といったところでしょうか。マスコミに関しては、誤解というよりも意識して「医者=敵」という構造を作りたがっている感も否めませんが。。。
m03a076ddot 2009.09.23 11:41 | 編集
すみません、著者が医療費タダの例として、ブラジルと、「著者が滞在していた80年代のイギリス」を例として挙げていました。制度が変わったのかも知れません!

以下本文より

民政移管後の新しい憲法のもとでブラジルは医療費を無料にしたのですが1980年代後半から世界中で医療費が従来無料であったところも有料化するという流れにある時期に世界とはまったく逆方向をしめしたと言えます。

中略

イギリスでも医療費が無料というのを経験したことがあります。

中略

私が住んでいた1980年代末から1990年ごろのイギリスの公的なクリニックでは住所と名前しか聞かれませんでした。
あおdot 2009.09.26 23:55 | 編集
日本では不法滞在者は病院には行けないけど、イギリスでは行くことができた、という、医療と人権の絡みについて言及されています。

もうちょっと抜粋して書きたかったけど、携帯からで文字制限があるんですね(;_;)
あおdot 2009.09.26 23:58 | 編集
なので、確かに日本で無料にしたら大変な事態になるのは分かるのですが、究極の理想(あくまで理想…)は医療費タダかなぁ、と思ったりします。当時のイギリスやブラジルと、現在のアメリカの中間にあるのが日本の医療保険ですよね。

患者さんのモラルは、=日本国民全体のモラルですよね。
報道は歪んでいるなぁとよく思います。政権が変わってから報道の仕方が変わりましたし…医療のことも歪めずに捕らえてほしいですね。
あおdot 2009.09.27 00:08 | 編集
増税なしで医療費がタダになれば国民にとって良いことかもしれませんね。ただ、日本人は病院との距離が非常に近いので、無料になればなったで押し寄せてきそうです。。。病院は満員御礼で待ち時間が増える→一人にかける時間を少なくせざるを得ない→患者さんの不満が多くなる→医者の労多くして実り少なし。。。

どーしてもそういう考え方になってしまいますね、なんともはや…。
最近はモラル低下が著しいですし、この国の将来が心配です。
m03a076ddot 2009.09.29 18:51 | 編集
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