2009
07.19

どっちの黄疸?

 黄疸が起こる原因としてはいくつか挙げられますが、重要なのは肝細胞性のものと閉塞性のもの。この2つを鑑別するには血液検査やエコーなどがあります。しかし、身体所見でもアタリを付けることが出来ます。

Weight loss:感度10-49%、特異度21-97%、LR+NS、LR-NS
Spider angiomata:感度35-47%、特異度88-97%、LR+4.7、LR-0.6
Palmar erythema:感度49%、特異度95%、LR+9.8、LR-0.5
Dilated abdominal veins:感度42%、特異度98%、LR+17.5、LR-0.6
Ascites:感度44%、特異度90%、LR+4.4、LR-0.6
Palpable spleen:感度29-47%、特異度83-90%、LR+2.9、LR-0.7
Palpable gallbladder:感度0%、特異度69%、LR+0.04、LR-1.4
Palpable liver:感度71-83%、特異度15-17%、LR+NS、LR-NS
Liver tenderness:感度37-38%、特異度70-78%、LR+NS、LR-NS

(Evidence Based Physical Diagnosis:2nd editionより)

 以上より、黄疸が肝細胞性によるものである確率を上げるのは、Spider angiomata, Palmar erythema, Dilated abdominal veins, Palpable spleen, Ascitesの5つで、後3者は門脈圧亢進の所見。特にPalmar erythemaは確率を45%近く押し上げ、Dilated abdominal veinsに関してはグゥの音も出ません。

 そして肝細胞性という確率を下げるのはPalpable gallbladderのみ(LR+0.04)であると分かります。換言するとPalpable gallbladderは閉塞性であるとの判断材料(LR+26!ほぼ確診できそう)に。

 そして体重減少は全くアテにならず、肝臓を叩いて痛くても、肋骨弓下から4-5横指触れても助けになりません。
最初からプローブ当てるのも構いませんが、こういう所見で類推をしながら当てると画面を見る眼も変わって来ますね。診察一般に言えるように、これらの所見も感度は低いことが欠点でしょうか。

☆補足情報
 Spider angiomata(クモ状血管腫)は顔と頚に最も出やすく、肩・胸郭・腕・手がそれに続きます。手掌や頭皮、臍より下部はマレとされています。

 Palmar erythema(手掌紅斑)は小指球や大指球で良く目立つとのこと。

 Dilated abdominal veinsは、門脈圧亢進では「メデューサの頭」として教科書に載っています。腹壁静脈の拡張は他にもsuperior vena cava syndromeやinferior vena cava syndromeにおいて認められますが、この場合は腹壁の外側に出る傾向があります。この静脈の拡張が大静脈閉塞によるものなのか、それとも門脈圧亢進によるものなのかを判断する材料として昔から行われてきたのが、「どの方向に静脈血が流れているのかを見る」というのがあります。下大静脈閉塞では頭に向かって、門脈圧亢進では臍から離れる方向に、コレを見ると良いというのが通例。ですがMcGee先生は、この検査法は頼りにならんと仰っています。その理由としては「拡張した静脈はしっかりした弁に欠けているため、門脈圧亢進だろうと大静脈閉塞だろうと、血液をどちらの方向にも流すことを医者側は”demonstrate”できる」ため。ナルホド。

 ちなみにビリルビン濃度が結構高くなると(6とか8)、鼓膜まで黄色くなるそうです。
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