2009
03.03

プロカルシトニンはプライマリで価値あり?

 プロカルシトニンが最近注目されています。

 感染において上昇する炎症マーカーの1つでして、汎用(乱用?)されているCRPよりも感度・特異度が高くなっているとのこと。

 Infectious Disease Clinics of North Americaのものを引っ張り出してみましょう。

 細菌感染と非感染性疾患の鑑別では

プロカルシトニン:感度88%、特異度81%
CRP:感度67%、特異度67%

 CRPのヘタレさが出ていますね。。。感度も特異度も7割行かないなんて…。

 細菌感染とウイルス感染では、

プロカルシトニン:感度92%、特異度73%
CRP:感度86%、特異度70%

 特異度では両者とも似たり寄ったりといたところでしょうか。

 この結果からも、プロカルシトニンの方がCRPよりも使えそうだな、という感じがします。ただ色々調べたら、文献によって感度と特異度にバラツキがありました。これは結構プロカルシトニンに肯定的な部類。

 また、プロカルシトニンは感染症の重症度に相関関係があるので、感染の状況を追えるというのも強み(CRPでは裏切られますね…)。ステロイドなどにも左右されないらしいですし。

 そして、上手く利用すると誤った抗菌薬使用を避けられるのでは?と注目の的。Archives of Internal Medicineからの論文(2008年)ですが、プライマリケアでの急性気道感染症で、このプロカルシトニンを使って抗菌薬の使用を減らせないか?という研究がスイスからありました。


Procalcitonin-Guided Antibiotic Use vs a Standard Approach for Acute Respiratory Tract Infections in Primary Care


 カットオフを2.5μg/Lにして、これを超えた値を示した患者に投与したグループと、医師の判断で投与したグループで、予後に差がなかったとしています。そして抗菌薬の投与は72%(!)減少したとのこと。

 厳密なカットオフ値や、どの様な感染症に対して有効かなどはこれからの研究によるのでしょうが、少なくともCRPなんかよりは使えそうな気がします。

 でも敗血症関連の論文では、あんまりパッとした数値が出ていません。

 2007年のLancetからメタ分析。


Accuracy of procalcitonin for sepsis diagnosis in critically ill patients: systematic review and meta-analysis.


 プロカルシトンが高値の場合、この敗血症(疑い)は細菌感染によるものか?→陽性尤度比3.03、陰性尤度比0.43

 う~む、LR+が3以上だから役に立ちますけど…。もっとこう、LR+14!とか出て欲しかった…。

 もっとカットオフ上げなきゃダメかな。。。でもそれじゃ感度下がるし。期待しすぎたこっちが悪いか。

 といっても、これはICUセッティング。プロカルシトニンは熱傷や外傷、外科手術、膵炎などなど、非感染症でも上昇します。こういう患者さんが紛れていたため鈍い結果になったものと思われます。

 一般的な感染症であれば良さそう。しかし、日本で発売されたPCT-Qという診断キットは今のところ敗血症にのみ保険適応があるので、今はプライマリでの使用はムリ。


 でも時代が変わったなぁと思わせるのは、今読んでいる感染症の教科書でフツーにプロカルシトニンの文字が出てきたこと。学生も色んなことを知っていかねばならないのですね。



 この教科書には敗血症に凝固系も絡んでいるとか、ステロイドを使うとどうかとかもキチンと書かれています。後これは知らなかったのですが、Drotrecogin αなるもの(Protein C製剤)があるそうで、きちんとFDAからsevere sepsisの補助治療として認可されてるとのこと。死亡率を30.8%→24.7%までに減らした優秀な子です。高いけど。


 プロカルシトニン。敗血症での診断価値は際立つものではなかったですが、CRPよりは有用性があり、一般的な感染症ではこれから活躍してくれそうな予感(日本では保険適応になることが先ですが)。他のマーカーとうまく組み合わせるなど、これからのエビデンスの蓄積に期待大です。


★追記:このブログではプロカルシトニンについて何回かまとめています。是非他の記事も見てみて下さい。
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