2009
02.19

「腰が痛いんですけど→じゃあMRI撮りましょう」はダメ!

 Agency for Healthcare Policy and Research(AHCPR)の出しているガイドラインは、red flagsのない急性腰痛発症1ヵ月以内の画像検査を否定しています。

 red flagsって何?という方のために。。。もちろん、どっかの党に関わることではありません。今回の例では「重篤な基礎疾患、癌や感染症、馬尾症候群などを示唆する病歴や臨床的特徴」のことを指す言葉として使われています。

 具体的には…

~Red Flags for Acute Low Back Pain~
History
Cancer
Unexplained weight loss
Immunosuppression
Prolonged use of steroids
Intravenous drug use
Urinary tract infection
Pain that is increased or unrelieved by rest
Fever
Significant trauma related to age (e.g., fall from a height or motor vehicle accident in a young patient, minor fall or heavy lifting in a potentially osteoporotic or older patient or a person with possible osteoporosis)
Bladder or bowel incontinence
Urinary retention (with overflow incontinence)
Physical examination
Saddle anesthesia
Loss of anal sphincter tone
Major motor weakness in lower extremities
Fever
Vertebral tenderness
Limited spinal range of motion
Neurologic findings persisting beyond one month

といったものが挙げられています(多いね…)。

 red flagsのない患者さんでは、重篤な病態の頻度が少なく、画像診断と臨床症状の相関が弱いこと、急性腰痛は自然に治りやすいこと、画像診断が治療決定に役立つというエビデンスがないことなどが明らかになっていて、先のガイドラインはそれを根拠にしています。

 とはいうものの、プライマリケアにおいて腰痛の患者にMRIなどを行うことは和洋を問わず頻繁でして、患者さん側もそれを望んでいることも事実。

 そこで2009年2月7日のLancetに投稿された論文の出番(挙げるのケアネットに先越された…)。

Imaging strategies for low-back pain:systematic review and meta-analysis


 腰痛、腰椎機能を主要評価項目とした以下6つのトライアル(イギリス3、アメリカ2、インドネシア1の計1804例。10報告)のメタ解析。

4つのトライアルで「すぐレントゲンvs.通常ケア」
1つのトライアルで「すぐMRIやCT vs.通常ケア」
1つのトライアルで「ランダム化して臨床的に必要な場合のみと、全ての患者にすぐMRIとの比較」

 プライマリエンドポイントはQOL、精神的健康状態、VASベースでの患者自身による全般的な改善度、患者満足度。

 即画像診断施行群と非施行群で、短期的(3ヵ月以内)および長期的(6ヵ月-1年)に行われた解析の両者にて、プライマリアウトカムに有意な差は認められませんでした。そのほかのアウトカムについても有意差を認めたものはなし、と。

 トライアルの質・画像診断方法の違い・腰痛の期間は結果に影響を与えていないものの、解析はトライアル数が限られているため、限界が存在しますね。

 また、今回の解析結果はプライマリケアにおける急性・亜急性の腰痛に十分に適用できるものであったとしています。

 著者の結論としては「red flagsのない腰痛患者に対し画像検査を行ってもアウトカムは改善しない。そういう急性・亜急性の腰痛に対して、画像検査をすぐ行うべきではない。また不要な画像検査を避ける一方で、患者の要望を満たし満足度を向上させる評価法や患者教育を確立しなくてはならない」とのこと。

 患者教育という点で日本は非常に遅れている感が否めません。風邪でも執拗に抗菌薬を迫ることは多々あり、マスコミの質の悪さもそれに拍車をかけていると思われます(リレンザは安全だ、と異様にプッシュするワイドショーがあったり…。リレンザもタミフルとおなじ副作用があると添付文書に書いてるんですがね)。ドイツでは「風邪→抗菌薬」はダメだよと国を挙げて指導し、成功しています。羨ましい。

 もう医者のみに改善を強いることでは事態は好転しないように思えてならないのですが、どうなんでしょう。。。
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