2009
02.12

肺炎を見つけてみよう!

 蹄の音を聞いたらやはりウマだったの代表格、肺炎。コモン中のコモンであり、日本人死因の第4位でもある疾患です。

 McGee先生の本には、その肺炎に対する身体所見の章も取り上げられています。急性発熱・咳・痰・呼吸困難などを呈した、つまり病歴から「肺炎っぽいな」と考えられる6000人以上の所見から、以下のエビデンスは出されています。

Detecting Pneumonia
Cachexia:感度10%、特異度97%、LR+4.0、LR-NS
Abnormal mental status:感度12-14%、特異度92-95%、LR+1.9、LR-NS
Temperature>37.8℃:感度27-69%、特異度49-94%、LR+2.0、LR-0.7
Respiratory rate>28/min:感度36%、特異度82%、LR+2.0、LR-0.8
Heart rate>100/min:感度17-65%、特異度60-92%、LR+1.6、LR-0.8
Percussion dullness:感度4-26%、特異度82-99%、LR+3.0、LR-NS
Diminished breath sounds:感度15-49%、特異度73-95%、LR+2.3、LR-0.8
Bronchial breath sounds:感度14%、特異度96%、LR+3.3、LR-NS
Egophony:感度4-16%、特異度96-99%、LR+4.1、LR-NS
Crackles:感度19-67%、特異度36-94%、LR+1.8、LR-0.8
Wheezing:感度15-36%、特異度50-85%、LR+0.8、LR-NS

 これから分かることは、Egophony, Cachexia, Bronchial breath sounds, Percussion dullnessがLR+3.0以上を示しているので、まぁまぁ有用。思ったよりも聴診が威力を発揮しないんですね。。。肺胞呼吸音の気管支呼吸音化が何とかLR+3.3ではありますが、Cracklesはちょっと…っていうのがオドロキです。そしてsore throat(ノドの痛み)がないことはLR+1.8で、rhinorrhea(鼻水)のないことがLR+2.2となっています。鼻水なしに負けるクラックルって。。。(クラックルのために付言しておきますが、肺線維症やCOPDを見つけるにはとてもとても有用なんですよ)

 全体を見て、個々の所見では「ぐっ」とくるものがあまりありません。ということは、やはりコンボの出番(Heckerling scoreとして知られています)。

①Temperature>37.8℃
②Heart rate>100/min
③Crackles
④Diminished breath sounds
⑤Absence of asthma

の5つで勝負。すると…

0 or 1 findings:感度7-29%、特異度33-65%、LR+0.3、LR-…
2 or 3 findings:感度48-55%、特異度…%、LR+NS、LR-…
4 or 5 findings:感度38-41%、特異度92-97%、LR+8.2、LR-…

 よって、このスコアで4 or 5 findingsは素晴らしいLR+です。0 or 1 findingsがLR+0.3なので、検査前確率が低ければ胸部X線を省略することも出来そう。感度が低いのは致し方のないところですが、やはりコンボにするとLRは良いカンジになってきますね。

 他のスコアリングにはDiehr's threshold criteriaがあります↓

Diehr’s threshold score
Rhinorrhea=-2; Sore throat=-1; Night sweats=1; Myalgias=1; Sputum all day=1; Respiratory rate>25/min=2; Temparature≧37.8℃=2
≧3 points:LR+14
≧1 point:LR+5.0
≧-1 points:LR+1.5
<-1 points:LR+0.22

 こんな感じ。問診とバイタルだけでこんなに絞れるのは凄いとしか言いようがありません。きちんと追試が行われているかどうかは寡聞にして知りませんが。。。

 ちなみに、肺炎患者さんの重症度判定ではPORT study(PSI)が有名で入院の適応などに良く使われていますが、CURB-65の方がカンタンで外来で使いやすい(日本ではそれを参考にしたA-DROPがあります)。大切なのは、そのどちらにおいても血液所見で「CRPと白血球数」が判定に用いられていないこと!これらは「意味がない!」と分かっているんです。患者さんの状態が悪いのに「CRP<0.3だから」抗菌薬切るとか、元気でぴんぴんしているにも拘らず「CRPまだ高いからな…」という理由でダラダラ投与するなんて愚なことは避けましょう。きちんと臓器特異的なマーカーを使うことが感染症診療で重要なことだというのが、これらのスコアからも分かりますね(それには病歴と身体所見!)。


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