2008
10.07

小児科卒試。。。

Category: ★学生生活
 まとめがやっと終わった!明日(といっても、もう今日)試験でしょ。さっさとプリントアウトして学校で覚える!
今年の小児科卒試は、予め教授が出る問題を指定しました。


 9つの分野から3題、そして過去問から1題、かつ過去問を捻ってor5年の時の講義プリントから1題


 お、こりゃラッキーだ。と思って少々油断したのが、ここまで追い詰められた原因。前もって出すとこピックアップしてくれるなんて優しいじーちゃんだ、と感心して、実際回答を作り出すと


あれ、これってかなりの範囲が…


 リソソーム病とか、どこまでやれば良いんでしょう。。。感染症だって、白血病だって、ネフローゼも…。つまりは、問題指定しても勉強する分量は減らない、と(というかむしろ増えた…)。やるなじーさん。。。

 ということで目測を誤った自分は、試験前日になってようやく9つの分野のWord打ち出しが完成したのでした。これから覚えるという作業、そして過去問を洗うという作業も。。。疲れた…、でもやらねば。

 で、せっかくまとめたのでオープンソース。見直していないので誤字や間違っている所があるかもです。。。


~H20 小児科卒試~

☆新生児の生理
新生児期とは生後28日未満を指す。
呼吸:腹式呼吸であり正常でも速く、60/min以上を異常とする。
循環:卵円孔は生後数分で機能的に閉鎖する。動脈管は生後15-30時間で機能的に閉鎖する。血圧は70/40mmHg位が正常。出生直後は生理的肺高血圧の状態である。よってその時期の心雑音はL→Rシャントによるものではなく、大動脈弁や肺動脈弁の異常を考える。
脈拍:正常で120/min前後である。
体温:環境温度に影響を受けやすい。37.5度までは正常と考えられる。
消化:殆どの新生児は生後24時間以内に胎便を排泄する。
体重:生理的体重減少(体重の10%以内)を示し生後3-4日で最低体重となるが、7-10日後には出生時の体重に戻る。
腎機能:成人レベルに達するのは生後1年くらい。新生児は濃縮力も不良なため脱水になりやすく、水負荷により浮腫をきたしやすい。
免疫:IgMは低値であり、Gram陰性菌の感染を受けやすい。
血液:少なくともHbは13.5g/dl以上あるべき。生後5日からはリンパ球優位となる(生後2週で明らかなリンパ球優位)。血小板の値は成人と同じ。
出生直後:Apgarスコアで評価。APGAR(Appearance, Pulse, Grimace, Activity, Respiration)を見る。生後1分と5分後に採点。5分後が神経学的予後と特に相関する。5分後で3点以下では、新生児期に死亡する危険が高い。
反射:新生児期では原始反射が出現している。rooting, sucking, tonic neck, Moro, 踏み出し、自動歩行、把握、背反射などがある。これらは神経髄鞘が形成される4ヶ月頃から消失し始め、殆どは6ヶ月までには完全に消失する。Babinskiは錐体路の髄鞘完成まで時間がかかることから、生後1年頃までは陽性となる。

☆RDS
肺サーファクタント欠乏により発症する未熟児の進行性呼吸不全である。ハイリスクとしては男児、短い在胎期間、低出生体重児、母体糖尿病、陣痛発来前の帝王切開、周産期仮死、双胎第2子、甲状腺ホルモン低値など。症状には多呼吸、陥没呼吸、呻吟、チアノーゼが生後間もなく出現し、2-3時間のうちに増強する。CXRで両肺野に広範なreticulogranular shadowを示し、これにair bronchogramを認める。治療では肺保護戦略とopen lung strategyに則る。PaCO2が60mmHg以上であればサーファクタントを経気管的に投与すると症状は劇的に改善する。強いアシドーシスがあれば重炭酸Naを投与。輸液は5-10%ブドウ糖をベースにCaを加える。

☆変性神経疾患
~リソソーム病~
Gaucher病:βグルコシダーゼ(グルコセレブロシダーゼ)の欠損により発症する、最も頻度の高いリソソーム病。ARの遺伝形式。グルコセレブロシドが主に細網内皮系の組織に蓄積して発症し、肝脾腫を来たす。骨髄へのGaucher細胞浸潤のため骨痛や骨折が診断のきっかけとなることも。脾機能亢進のため汎血球減少が認められる。よって白血病がDDxに挙げられ、骨髄検査をする。白血球あるいは線維芽細胞のβグルコシダーゼ活性低下、遺伝子解析により診断を確定する。治療は酵素補充療法(高価!)、骨髄移植、米国では遺伝子治療が行われている。いくつかの病型があり、乳児劇症型もあれば成人期まではっきりした症状を呈さない軽症のモノまで様々。
Niemann-Pick病:スフィンゴミエリナーゼの異常により起こる。ARの遺伝形式。スフィンゴミエリンとコレステロールが肝臓、脾臓、骨髄などの細網内皮系、そして神経にも蓄積する。A・B型では骨髄にNiemann-Pick細胞を認め、コレステロールを含む(bubbly appearance)。またA型には所見として有名なcherry red spotがある。診断は白血球、線維芽細胞の酵素活性測定、遺伝子診断。有効な治療はなく、骨髄移植を試みるが神経症状には無効。
Tay-Sachs病(GM2ガングリオシドーシス):βヘキソサミニダーゼAの欠損により、神経細胞にGM2ガングリオシドが蓄積する。ARの遺伝形式を取る。人形様顔貌、睫毛は長く、髪は細く、透き通るような皮膚で、生後3-6ヶ月頃より筋力低下、聴覚過敏が始まり、一歳半過ぎより痙攣、筋緊張亢進、除脳硬直を起こし、3歳までに死亡する。経過中、90%にcherry red spotを認める。肝脾腫はない。診断は羊水による出生前診断が可能。
異染性白質ジストロフィー:アリルスルファターゼAの欠損により発症。ARの遺伝形式。スルファチドが髄鞘に蓄積し、歩行障害、精神発達遅滞などの神経症状を呈する。cherry red spotを認め、視神経萎縮も見られる。診断は頭部MRIで著明な脱髄所見(大脳白質のT2延長病変がびまん性あるいは錐体路に一致して検出される)を認める。確定診断は白血球または線維芽細胞での酵素活性欠損を証明し、尿の脂質分析で多量のスルファチドを検出する。髄液では蛋白細胞解離を見る。
Krabbe病:ガラクトセレブロシダーゼの欠損によりサイコシンが神経に蓄積する、ARの疾患。急速に進行する神経障害(精神発達遅滞、視神経萎縮など)で、乳幼児発症例では1年以内に除脳硬直となり死亡する。サイコシンの蓄積したオリゴデンドログリアを貪食したマクロファージやミクログリアをgloboid cellという。診断は頭部MRIが有用で、著明な脱髄所見を認める。確定診断は白血球や線維芽細胞中の酵素活性測定。治療は造血幹細胞移植。
Fabry病:αガラクトシダーゼの欠損により、全身にセラミドトリヘキソシドが蓄積するX-Linkedの疾患。発症は思春期以降に多い。発熱、血管腫、四肢の疼痛、角膜の渦巻状混濁、低汗症、腎障害、心筋障害などを見る。診断は白血球や線維芽細胞中のαガラクトシダーゼ活性低下を見る。治療は酵素補充療法、腎障害に対する透析など。
mnemonics~FABRY’S→Foam cells in glomerulus, tubule/Febrile episodes/Alpha galactosidase A def./Angiokeratomas/Burning pain in extremities/BUN elevation/Boys
/Renal failure/YX genotype/Sphingolipidosis
GM1ガングリオシドーシス:βガラクトシダーゼ欠損による、中枢神経系にGM1ガングリオシド,骨を含む全身臓器にケラタン硫酸、オリゴ糖の蓄積が起こるARの疾患。乳児型はガルゴイリズム、骨変形、肝脾腫、知能障害、錐体路障害、眼底にcherry red spotがみられる。有効な治療法はなく、予後不良。診断は白血球や線維芽細胞中のβガラクトシダーゼ活性を測定する。
~銅代謝異常~
Wilson病:ATP-7Bの異常による、肝におけるセルロプラスミンの生成障害によるARの疾患。肝硬変・錐体外路症状・Kayser-Fleischer ringを三主徴とする。35000-45000人に1人の割合で発症。発症年齢は3-50歳と幅広いが、ピークは10-11歳。小児期、特に10歳以前は殆どが肝型Wilson(黄疸、腹水、肝硬変)であり、この時期にKayser-Fleischer ringは見られない。思春期頃から神経型Wilson(筋強直、不随意運動、言語障害、振戦、羽ばたき振戦などの錐体外路症状)の頻度が高くなってくる。他の症状としては近位尿細管障害・溶血性貧血・関節炎など。小児の肝硬変では本症を疑うことが大切(米国ではA1AT def.も考慮)ではあるが、幅のある発症年齢のため、成人であれ原因不明の肝機能異常、神経障害、精神障害、血尿、関節炎などでは本症も考慮しなければならない。検査では血清セルロプラスミン低下、血清Cu低下、尿中Cu排泄増加、汎アミノ酸尿など。頭部画像では基底核の変化が特徴である。可能なら肝生検を実施。治療はD-ペニシラミンやトリエンチンを投与する。2008年1月に亜鉛製剤の投与が承認された。肝不全に至れば肝移植を考慮。
Menkes病:ATP-7A異常のため細胞内Cu輸送が障害され、特に腸管でのCu吸収障害、腎でのCu排泄障害が見られる、X-Linkedの疾患。生後間もなく神経精神症状をきたし、同時に全身の血管形成異常、骨異常(骨粗しょう症)、毛髪異常(kinky hair)も認められる。検査では、X線で骨粗しょう症所見、血液でCu低下、セルロプラスミン低下、尿中Cu排泄低下(Wilsonでは上昇!)。治療はCuの皮下注or静注があるが、予後は不良であり、多くは10代で死亡する。
WilsonとMenkesの1番の違い→Menkes病・Wilson病では、銅のトランスポーターであるATP-7A/ATP-7Bの欠損のために神経症状を生じる。ただし、この2つの疾患の病態生理は全く異なっている。Menkes病/ATP-7Aの欠損では、消化管からの銅の吸収がうまくいかないので銅の欠乏による神経症状を呈すのに対し、Wilson病/ATP-7Bの欠損では細胞内での銅の輸送がうまくいかないので、銅の蓄積による神経症状を呈す。

☆自閉症・ADHD
自閉症:社会性の障害である広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)の中心である。日本では1000人に1-2人の割合で生じているが、どこまでを自閉症の範囲とするかによって発生率は大きく異なる(男性の方が多い)。生来の社会性のハンディキャップを持つ発達障害であり、主な精神病理は、対話の際に雑多な情報の中から目の前の人間が出す情報に自動的に注意が絞り込まれる機能がきちんと働かないこと、一度に処理できる情報が非常に限られていることの2点である。基本症状はウィングの3症状と言われ
1. 社会性の障害:自分の体験と他人の体験とが重なり合うという前提が成り立たない。逆転バイバイなど
2. コミュニケーションの障害:社会性の障害の上に言葉が発達している。疑問文で要求を表す、オウム返しなど
3. 想像力の障害とそれに基づく行動の障害:一定の安定した刺激を作り出して感覚遮断を行い、押し寄せる情報(外界)に対するバリアーを作る。自己刺激への没頭など
である。
それ以外の重要な問題として、知覚過敏性の問題がある。これはタイムスリップ現象によって、徐々に鍵刺激によって生じる心理的な問題に移行してゆく。知的障害は、最重度のものから正常知能のものまで幅広い。自閉症の世界を知るには、ドナ・ウィリアムズの自伝『自閉症だったわたしへ』がオススメ。
ADHD:軽度発達障害で、行動のコントロールなど脳のある領域の働きと他の領域の働きとの連動に際して障害を生じるタイプであり、多動・不注意・衝動性を三大症状とする。また、成長すると多くに反抗挑戦性障害を合併する。重要な点は、そもそも子どもは多動な存在であるということ。上記の3症状をはっきりと示す中で治療を要する適応障害に至るものは、1/2-1/3程度に過ぎない。年齢と言う要素もあり、また許容される多動のレベルは国や文化によって大きな違いがあり、ADHDの罹病率が国で多く違うのは、これによるところが大きい。わが国では3-5%程度であろうと推測される。ADHDはDSM-IVやICD-10では発達障害に含まれてはいない。しかし、わが国では発達障害症候群の1つとして以前から考えられており、2005年の「発達障害者支援法」では発達障害の中にADHDを明確に含めており、そうすることで治療・教育に有意義となる。
発達障害の治療とは治療教育である。ADHDにおける薬物療法(コンサータ 注:リタリンは使えなくなりました)のように、医学治療が主体を担うことがあるものの、そのADHDにおいてすら、最も重要なのは二次的障害を残さないための治療教育の部分である。その教育の場を選ぶ際に大切なのは、授業に参加できるかどうかという点である。「通常学級へ行かせ、そこでダメなら特殊学級へ」という指導は良いものではなく、子どもにとっては挫折体験となり、自尊心を傷つけてしまう。子どもが参加できる授業形態をきちんと確認し、最初から適切な学級(学校)で教育を受けさせてあげることこそが重要なのである。

☆主な感染症
麻疹:麻疹ウイルスによる空気感染。定期予防接種の対象であり、5類感染症、そして学校伝染病に含まれる。生後6ヶ月頃までは母体からの受動免疫により罹患しない。発症のピークは1歳と10代である。潜伏期は10-12日であり、カタル期・発疹期・回復期に分けられる。カタル期は発熱や3C’s(Cough, Coryza, Conjunctivitis)が見られ、この時期の終わりにKoplik spotを90%以上に見る。伝染力はこの時期が最強である。発疹期では2相目の発熱と同時に耳後・頚部から始まる発疹が認められ、この発疹は融合傾向を示す。回復期に入ると熱は比較的急に解熱し、発疹は色素沈着を残して消退する。解熱した後3日まで登校禁止である。合併症では中耳炎が最多。他に間質性肺炎、脳炎、SSPE、角膜潰瘍などがある。検査ではWBC↓、ツ反陰性化(麻疹ウイルスは胸腺で増殖→細胞性免疫低下)、LDH↑、Xpで間質性肺炎像など。感染暴露後の予防としては、5日以内にグロブリンを筋注する(5日以後でも症状の軽減可能)。
風疹:発熱・発疹・リンパ節腫脹を3徴とする、風疹ウイルスによる飛沫感染。定期予防接種の対象であり、5類感染症、そして学校伝染病に含まれる。2-3週の潜伏期を経て発熱と発疹が同時に出現する。発疹は融合傾向がなく、顔から体幹、そして全身へと広がる。発疹も発熱も3日前後で消退する。リンパ節腫脹は発疹出現前から耳後部に見られるが、全身のリンパ節腫脹をきたしうる。検査ではWBC↓など。紅斑が消失するまで登校禁止。合併症としてはITP、髄膜炎、関節炎(女子に多い)、脳炎など。
麻疹と風疹のワクチンはMRワクチンとして摂取されるが、これまでの生後1歳から2歳までの間に1回目(第1期)の接種、小学校就学前の1年間(幼稚園の年長児の間)に2回目(第2期)の接種に加えて、平成20年から平成24年まで、中学1年生に相当する年齢(第3期)と高校3年生に相当する年齢(第4期)の人に新たに予防接種が追加されている。
水痘:VZVの初感染による。予防接種は任意接種となっており(予防率は85%ほど)、5類感染症、そして学校伝染病に含まれる。2-8歳が好発年齢。潜伏期は14日ほどで、発熱と発疹が同時に出現する。発疹は体幹に多く、新旧の発疹が混在することが特徴である。掌蹠に発疹は出ず、また有髪部位の発疹は特異度が高いとされる。伝染力は非常に強く、全ての発疹が痂皮化するまで登校禁止である。診断は臨床的に、もしくはELIZAによる抗VZV IgMの測定。治療はアシクロビルがあるが、全患者にルーチンで投与する必要はないかもしれない。合併症として亜急性小脳失調が有名である。
突発性発疹:HSV-6 or 7の感染によるが、感染経路は良く分かっていない。6ヶ月-2歳の乳幼児に好発。前駆症状無しに突然の高熱をもって始まり、発熱は3-4日続く。軽度の下痢が過半数に見られる。解熱と同時期に身幹から斑状丘疹が広がる。高熱の割には元気が良く、解熱後になって不機嫌となることが多い。検査ではWBC↓、相対的リンパ球増加など。高熱により熱性痙攣をきたすことがある。合併症として脳炎・脳症がある。
ムンプス:ムンプスウイルスによる飛沫感染による。予防接種は任意接種となっており、学校伝染病に含まれる。潜伏期は2-4週と長く、30-40%は不顕性感染である。症状は耳下腺炎が主であり(顎下腺が腫れることも)、腫脹が消退するまで登校禁止。診断は臨床的に行われるが、ペア血清による抗体上昇を確認する。合併症にはPOM-D(Pancreatitis, Parotitis, Orchitis, Meningitis, Deafness)がある。
百日咳:GNBである百日咳菌の飛沫感染による、遷延する咳発作を主症状とする急性気道感染症である。5類感染症、そして学校伝染病に指定されており、特有の咳が消えるまで登校禁止。定期予防接種(DTPワクチン)の対象となっている。経過によりカタル期(感染力が最も強い)、痙咳期、回復期に分けられる。特有の症状、つまりレプリーゼが現れるのが痙咳期である。発熱・炎症反応はない。咳により患児の睡眠が障害され、また嘔吐を伴うこともある。新生児や乳児も罹患することがあり、特に5ヶ月以下の乳児では死亡率40%と高く、乳児の無呼吸、痙攣、チアノーゼを見たら本症を疑う。検査ではリンパ球増多が特徴的であるため、疑ったらマクロライドを確定診断の前に投与する。それはカタル期を過ぎると抗菌薬は無効となってしまうためである。診断はボルデジャング培地、PCR、ELISAによる。合併症には肺炎、無気肺、中耳炎、脳症などがある。ワクチンの効果は4-12年であり、現在成人の再感染が問題となっている。

☆白血病
小児ではALLが圧倒的に多いため、ALLについて述べる。
症状は微熱の持続、色白で元気の無い印象、点状出血、肝脾腫、骨痛でぎこちない歩きなど。確定診断は骨髄検査で行われる。新WHO分類では骨髄中芽球がALLで25%以上存在すれば白血病である。FAB分類ではL1, L2, L3に分類されるがそれ自体あまり意味は無く、モノクローナル抗体による表面マーカーの染色及び染色分析、RT-PCRによる特異遺伝子マーカーの検出を行う。おおよその予後は初診時白血球数と年齢が重要。1歳以下、10歳以上、WBC≧20000は予後不良。また、転座が見られれば明らかに予後不良。数的異常も予後と関連し、染色体数51以上は予後良好、48-50は予後不良、45-47は最も不良とされる。小児の白血病は成人に比べれば予後が良好であるが、その理由の1つにAML1-TEL融合遺伝子の形成が小児白血病の60%に認められるからと言われている。治療の基本は化学療法である。ALLのタイプによりプロトコールがあり、それに従って行われる。腫瘍崩壊症候群には充分留意し、大量輸液、尿のアルカリ化、アロプリノール投与も必要である(米国では、より有効なrasburicaseが承認されている)。予後だが、前述のように良好で、小児ALLの70%前後は治癒すると言われている。

☆ネフローゼ症候群
糸球体毛細管壁への非炎症性の損傷の結果生じる。多くは以下の3つのメカニズムで説明される。
1. 微小変化群や原発性巣状糸球体硬化症における糸球体上皮細胞障害(T cellによるサイトカイン)。
2. 膜性腎症にあるように免疫複合体が上皮下に形成され、補体が活性化する。経過とともに上皮細胞が沈着物の周囲に新たな基底膜基質を付け加えるので、基底膜が厚くなる。
3. 糸球体毛細管壁を侵す沈着性疾患。アミロイドーシスや糖尿病性腎症では係蹄内の全ての細胞に機能障害が起こり、基底膜様物質の合成が増加する。
ネフローゼ症候群では尿に蛋白が大量に漏出してしまうため血中蛋白が減少する。このことから低アルブミンとなり、それよるunderfillingと、腎での1次性のNa貯留によるoverfillingが相まって浮腫をきたすと考えられている。好発年齢は3-6歳であり、症状は浮腫(眼瞼に良く出る)、乏尿、全身倦怠感などであるが、重症例では循環血液量減少性ショックに注意する。また、腹膜炎や血栓もきたしやすい。診断は、蛋白尿、低蛋白血症、高脂血症、浮腫といった、ネフローゼ症候群の診断基準による。小児では微小変化群が90%を占めるため、本症について説明する。
2-6歳に好発し、アレルギー患者にやや多いとされている。尿蛋白の選択性が高いため、アルブミン尿が主体でグロブリン漏出は少ないことが特徴。血尿は稀である。血中アルブミン減少により血管内脱水となり、浮腫が強くなる。腎機能は正常である。正確な診断は生検でなされる。光顕では正常、電顕ではたこ足細胞の融合を見る。血液検査で高IgEを伴うことがある。治療はステロイドが著効し予後良好だが、再発が多い。その場合はシクロスポリンやミゾリビンを用いる。

☆主な先天性心疾患の血行動態
頻度的に多いASDとVSD、PDAについて述べる。
・ASDは全先天性心疾患の7-13%を占める(聴診:相対的PS、II音の固定性分裂、中等度異常では相対的TS。ECG:PR延長、不完全右脚ブロック、右軸変異、心房細動)。
1. 左右心室のコンプライアンスの違いにより欠損の大きさに応じたL→Rシャントが出現する
2. L→Rシャントにより右房・右室の血流量は増加し、右心系は拡大する
3. 肺血流量は増加し肺血管は拡張する
4. 肺静脈還流も当然増加するが、その大半は欠損を通じて右房に短絡するため左房は拡張しない
5. 右室の拡大により心室中隔は圧排され、いわゆる奇異性運動が見られる
・VSDは全先天性心疾患のうち約20%を占め、頻度として最多である(聴診:3LSBの前収縮期雑音、III音、相対的MSで拡張期ランブル、重症でIIp亢進、Graham-Steell。ECG:LVHから両室肥大、重症で右室肥大)。
1. 肺血管抵抗が下降するにつれて心室間のL→Rシャントが出現する
2. 肺血流量が増加し肺うっ血をきたす。肺血流増加の程度が著しい場合は肺動脈圧が上昇し、肺高血圧の状態となる
3. 肺血流量の増加に伴い肺静脈還流も増加し、左房・左室には容量負荷がかかる
・PDAは全先天性心疾患の5-10%を占める(聴診:2LSBの連続性雑音、ECG:LAH、LVH)。
1. 肺血管抵抗の下降に伴いL→Rシャントが出現する。肺動脈圧が大動脈より低い場合は収縮期・拡張期を通じてシャントがあり、連続性雑音を聴取する
2. 肺血流量は増加し肺血管は拡張する
3. 肺静脈還流も当然増加し、左房・左室が拡張する
4. 右室への血流は増加しないので、著明な肺動脈圧の上昇が無い限り有意の拡大は見られない

☆筋ジストロフィー
Duchenne型進行性筋ジストロフィー:X-Linkedであり、ジストロフィン欠損(部分欠損はBecker型となり比較的軽症)による。乳児期の運動発達はほぼ正常であり、2-3歳頃から歩いたり走ったりや、階段の上り下りが遅くなってくる。4-5歳になるとGowers徴候が見られ、動揺性歩行にもなる。近位筋萎縮、仮性肥大、腱反射消失、関節拘縮を認める。精神発達遅滞はないか、あっても僅かである。徐々に進行していき、10歳前後で歩行不能になり車椅子生活を余儀なくされ、15歳を過ぎると臥床生活となる。最終的に呼吸不全、心不全で死亡し、20歳まで生きられないことが多い。血液検査ではCK↑、アルドラーゼ↑、AST↑、LDH↑を認める。DNA検査で遺伝子欠損を証明できれば筋生検は不必要。心電図での右室肥大、RBBB、V6の異常Q波なども代表的所見。
筋緊張性ジストロフィー:ADであり、19番染色体のミオトニンキナーゼ遺伝子のCTG repeatの増加によるtriplet repeat病である。妊娠中、胎児の動きが少ないなどの症状があり、重症型では筋力低下のため呼吸障害や哺乳障害をきたすが、軽症では筋緊張低下児として乳児検診で異常が発見され、ミオパシー顔貌と精神発達遅滞から疑われる。筋障害は遠位筋優位であり、骨異常、内分泌障害、多系統性障害が見られる。具体的には白内障、前頭部のalopecia、心筋障害、脊椎後側彎、DM、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能低下症、性腺機能低下症など多彩である。診断は幼児期までは自発性ミオトニー放電を認めることが少ないため、母親の把握性筋強直、叩打性筋強直、筋電図を検討し、最終的には分子生物学的に診断する。症状は軽いものから重いものまで様々だが、世代を重ねると明らかに重くなるし発症年齢も早まる。
福山型:ARであり、筋とCNSに病変を持ち、新生児~乳児期から全身の筋力低下と筋緊張低下が見られ、ときに関節拘縮を認める。運動発達遅滞は必発。中枢の奇形を伴うため精神発達遅滞を合併し、けいれん、眼病変もしばしば合併する。顔面筋罹患もあり、乳児期に頬部の筋仮性肥大を見る。現在は遺伝子診断が可能となっている。乳児期には進行増悪はあまり目立たずむしろ2-3歳までは徐々に改善する。しかし5歳頃から上肢の筋力低下、6-8歳頃より全体の機能低下が目立ち始め、ついには寝たきりとなる。
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