2008
09.08

ACE阻害薬とARBの併用は効果ある?

 Lancetでこの様な論文が出ました。

Renal outcomes with telmisartan, ramipril, or both, in people at high vascular risk (the ONTARGET study): a multicentre, randomised, double-blind, controlled trial.

 ONTARGET(Ongoing Telmisartan Alone and in combination with Ramipril Global Endpoint Trial)プログラムとは、心血管イベント発症抑制を主要評価項目としたアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)についての大規模試験のこと。対象は冠動脈疾患·末梢動脈疾患·脳血管疾患·臓器障害を伴う糖尿病のいずれかを有する55歳以上の患者さんでして、その数30000人以上!この登録数は、過去の類似する介入試験の中では、最大規模となっています。

 ONTARGET試験というのはこのONTARGETプログラムの中の2つある試験の内の1つでして、もう1つがTRANSCEND試験。この2つは共通した登録基準と評価項目で実施されました。対象患者さんは、まずアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の忍容性が評価され、忍容性がある人はONTARGET試験に、ない人はTRANSCEND試験に組み入れられました。

 ONTARGET試験の内容は、対象者をARBのテルミサルタン投与群(n=約7800)、ACE阻害薬のラミプリル投与群(n=約7800)と、テルミサルタン+ラミプリル併用群(n=約7800)の3群に割り付けて、ACE阻害薬の単独投与に対するARB単独投与の非劣性、ACE阻害薬の単独投与に対する併用投与の優越性などを検討したもの。

 そこでは心筋梗塞·脳卒中·心血管死に関しては、テルミサルタンがラミプリルと同等の抑制効果があるとの結果が出て、ACE阻害薬の副作用が回避できるとされました。また、併用の意味はなかったとしています。


 今回の論文では、腎機能の比較。なのですが、何と透析·血清クレアチニン値の倍化·死亡の3つ全てが併用で有意に上昇したとの結果が出てしまっています(単独投与間では同等とのこと)。

 推定糸球体濾過率(eGFR)の低下は、テルミサルタン群と併用群に比べ、ラミプリル群で有意に少なくなった、と。でも尿中アルブミン排泄の上昇は、ラミプリル群に比べてテルミサルタン群および併用群で有意に少なかったと報告。

 そこで著者はこう結論付けています。


「血管リスクの高い集団では、テルミサルタンの腎機能に及ぼす効果はラミプリルと同等。併用投与はそれぞれの単剤投与に比べて蛋白尿は改善するものの腎機能はむしろ低下。明らかな蛋白尿のある腎疾患の患者さんでは、併用投与が腎不全の進行や透析の予防に有効かもね」


 とはいっても、併用を使いたくなるような気にはあんまりならない結果です。。。

 ONTARGETプログラムが行われる前までは「アルドステロンエスケープのこともあるし、併用って何か良いんじゃない?」的な雰囲気がありましたが、こう見ると思いっきり優れたものではないんですね、残念。世の中うまく行きませんねー。
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