2008
05.04

目覚ましを買いに

 眩しい朝が東方から、狐の棲んでいる部屋へもやって来ました。

 或朝布団から子供の狐が出ようとしましたが、「あっ」と叫んで眼を抑えながら目覚まし時計を見ました。

 「9時15分!?起きなきゃ早く早く」と言いました。

 びっくりして、あわてふためきながら、身支度をして家を出て乗るべきバス停を恐る恐る眺めて見ましたが、何も待ってはくれませんでした。子供の狐は外の空気に当たり冷静になって始めてわけが解りました。昨夜のうちに、目覚まし時計のアラームを無意識に切っていたのです。その時計の上からお陽さまがキラキラと照していたので、時計は眩しいほど反射していたのです。日光の跳ね返りを知らなかった子供の狐は、あまり強い反射をうけたので、皮肉にも目を覚ましたのでした。

 子供の狐は中央病院に行きました。真綿のように柔かいあくびをすると、涙が、さらっと流れ落ちて小さい虹がすっと映るのでした。

 すると突然、うしろで、「遅刻?」という言葉が子狐におっかぶさって来ました。子狐はびっくりして、廊下をころがるようにして十米も向こうへ逃げました。何だろうと思ってふり返って見ましたら、担当の先生でした。汗が吹き出て、白衣の繊維の間から白い絹糸のように後悔の念がゆらめきました。

 手術見学を終え家へ帰って来た子狐は、「目覚まし時計足りねーよ」と言って、見学のため手洗いをし、ヒビスクラブを落とし切れていない手をお財布に入れました。千円札は、その手に、さらりと触れ、やんわり包んでやりながら、
「もうすぐ奨学金が入るよ、月が変わってしばらくすると、フトコロが暖くなるもんだよ、今時計買うとやりくり厳しいよ」といいましたが、持ち主が遅刻常習犯になってはかわいそうだから、持ち主が一息ついたら、LOFTにて、持ち主のお耳にあうような目覚まし時計と交換されてやろうと思いました。

 休息が風呂敷のような影をひろげて子狐を包みにやって来ましたが、腰痛はあまり強いので、包んでも包んでも引っこまずに浮びあがっていました。

 子の銀狐は家から出ました。バスへ乗りこんで、そこから細い眼を伏せながら、見慣れた風景を無視して行きました。

 やがて、行手にぽっつり黄色い文字が見え始めました。それを子供の狐が見つけて、「新潟は、LOFTが1階分しかないのねえ」と嘆きました。

 その文字を見た時、子狐は札幌と東京のLOFTを思出しました。新潟を出よう、そう決心するに足る比較でした。

 「んん…」本代を除いて自由に使える千円札5枚をしげしげと見つめました。

 「予算の都合上、買う時計は二千円ほどに」と千円札は言いきかせました。

 「いいですとも!」と坊やの狐はファイナルファンタジーIVでフースーヤとともにWメテオを唱える時のゴルベーザの如き物分かりの良さをもって答えました。

 「これだけ理解が良かったら新美南吉も逆に書きづらかったろう」あの童話のようにはいきません。

 子供の狐は、LOFTの文字を目あてに、横断歩道をふらふらやって行きました。自転車がたくさん止まっています。狐の子供はそれを見て、新潟にも混雑があるんだなと思いました。やがてラブラ万代(LOFTの入っている施設)にはいりましたが、GODIVAのチョコレートが左手に見えてしまって、歩く足の速さが落ちているばかりでした。

 けれどエスカレーターが見えていましたので、狐の子は、それを見ながら、LOFTを探して行きました。GAPやBody Shopやその他いろんなお店が、あるものは、お客さんが多く、或るものは、ひっそりとしていましたが、函館でシャッター街に慣れている子狐には閑古鳥の鳴きすさぶお店に愛着が沸くのでした。

 とうとうLOFTがみつかりました。色々な雑貨が、でも見慣れている通りの配置で置かれていました。

 子狐は覚えている通り、トントンと目覚まし時計の売り場へ進みました。

「さて」

 すると、そこではお客さんが3人いて、長々と選んでいましたがやがて、3人でおしゃべりし始め、時間というまばゆい光の帯がLOFTの空間の果てに長く伸びました。

 子狐はその光がまばゆかったので、ほとほと疲れました。3人が去った後、選ぶ気も失せて「あーもう面倒だな」

 すると千円札は、おやおやと思いました。子狐は起きねばなりません。でも待って待って待ちつくし、これはもう心身ともに疲弊したんだなと思いました。そこで、「そこに2100円の丁度いい奴あるよ」と言いました。子狐はすなおに、その時計を選んで千円札二枚と百円玉一枚をレジに渡しました。レジのねーちゃんは事務的にそれを包み、子狐の手に持たせてやりました。子狐は、お礼を言ってまた、もと来た道を帰り始めました。

 「これで大丈夫。だってケータイ含めて目覚まし三つになったもの」と思いました。けれど子狐はやっぱり睡眠時間も大事だと思いました。

 ふとテレビの番組表を見ると、「きらきらアフロ」の文字がありました。何という遅い、何という苦しい、何と言う運の悪い時間帯なんでしょう。

 「観終わったら二時過ぎか…。最近寝るの遅いし、今日もこれだと…」

 子狐は、その番組は寝坊に対する感度が高いと思いました。だって、ここのところ睡眠不足で、更に畳み掛けられると、しかもこの時間。朝も早いからです。

 するとこんどは、明日の朝の起床時間が思われてきました。

 「安全を取るか…。でも最近きらきらアフロ観てなかったしな…」

 するともう一人の自分が、

 「同じ中央病院で実習している子狐さんは夜十一時に寝るって言ってたし、今頃は眠ろうとしているでしょうね。さあ自分も早くねんねしますか」

 それをきくと子狐は急に保守的になって、お布団の待っている方へ跳んで行きました。

 もう一人の自分は、心配しながら、坊やの狐の寝るのを、今か今かとふるえながら待っていましたので、坊やがお布団に入ろうと決めたのを確信すると、ほっとしました。

 子狐はθ波の出る時間を求めました。眼を閉じたので、脳波は怪しく動き、その足あとには、α波の波形がたまりました。しばらくすると眠りに落ち、θ波が出るはずです。

 「あ!ダメだ!」

 「どうして?」

 「どうしてって?」

 と言って、まだセットしていなかった目覚まし時計を、いたずらっ子のように舌をペロリと出しながら見せました。

 もう一人の自分は、「まあ!」とあきれて、「ほんとうにこいつは。。。ほんとうにこいつは。。。」とつぶやきました。

(新美南吉「手袋を買いに」をほぼ事実に沿って改変。原文は青空文庫のファイル参照)



 ということで、寝坊したんです。。。

 もう最悪ですな…。すまいすまいと思っていたのに、しかも外病院廻っている時なんて、、、。しかも2100円が出て行ったし。

 これに懲りて早寝します(新美南吉を冒涜した感アリアリ。。。)。

 本当は寝坊する前、以下の記事を書こうとしていたんです。でも、既述のように、ねぇ。。。


無駄になった1本の記事↓
 最近、朝が早いです(5時50分起き)。中央病院までバスで行くので、その時間も考えて起きねばなりません。

 そこで問題となるシーンが「目覚ましが鳴らない時に起きる」です。この場合、考えうるパターンは以下の5つ。

1. 目覚ましが鳴る前に起きた(時刻設定ミス含む)
2. 目覚ましが鳴らずに、寝過ごした(スイッチ入れ忘れ含む)
3. 目覚ましは鳴ったが、そのまま気付かずに寝ていた
4. 目覚ましは鳴ったが、無意識に消してまた寝た(スヌーズも消す)
5. 目覚ましの故障・電池切れ(可能性低し)

 大きく分ければ、時間前に起きたか寝過ごしたか。前者なら天国、後者は地獄。ですから、「目覚ましが鳴らない時に起きる」という行為は非常に怖い。目を覚まして

あ、これどっち?早起き?寝坊?

と布団の中で恐怖に怯えます。寝坊ならオオゴトなので(市中病院ですから、遅刻は禁忌!時間厳守はマナーです、マナー)、手を伸ばして目覚ましを取り、その時間を見るのがどれだけ緊張することか。。。

 意を決して、パッと見ると

5:42

 よし!8分前!

 ふ~、、、と安心して二度寝して、気付いたら遅刻。。。なんてことは無いようにしましょう…。


 とまぁ、こんな記事だったのですが、「なんてことは無いように」って、もう後の祭り的な。でも二度寝ではなく、ガン寝して遅刻でしたから、まだその言葉は通用しますね。


☆ゴルベーザの名セリフ「いいですとも!」↓ 覚えている人にとっては懐かしいですね


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