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2019
02.24

引き際って

 ピークを明らかに過ぎた往年の強者が小さな試合で負けると、「引き際を間違えた」「みっともない」「早く引退していればよかったのに」などという言葉が世間から出てきます。

 確かに、中には強靭無比のまま引退し、伝説として語り継がれるような人もいます。負けを知らずに最強のまま終わるというのは、カッコイイもの。最後まで美しくありたい、あってほしいとは誰しも思うものでしょう。つまりそれは、偉大な "父" のままということになります(精神科っぽく言うと)。

 しかしながら、"ロートル" と化した往年の名選手が地面に這いつくばって現役のままでいることのどこがみっともないのか、とも思います。人々は脳内の「強かった○○選手」のままでいてほしいと考えているのかもしれませんが、それは身勝手なものでしょう。

 柔道の野村忠宏選手は1996~2004年オリンピック三連覇を成し遂げたかたですが、怪我に悩まされながらも現役を続け、最後の試合は2015年全日本実業柔道個人選手権大会の三回戦。見事な一本負けを喫し、40歳で引退をしました。それを「引き際を誤った」と、私たちが言えることなのでしょうか。元世界王者の辰𠮷𠀋一郎選手も、現在はアラフィフ。最後の試合は2009年であり、次戦の目処はついていないながらも現役にこだわり、練習を続けています。

 "強かったあの人" も、怪我や年齢には勝てません。そして、もちろん若手も台頭してきます。強いまま終わり、偉大な "父" である人もそれはそれで素晴らしいのですが、そういった衰えを自覚しながらも精一杯勝負に挑み、そして、若手に倒される。それこそ、スポーツに限らずまさに世代交代の本質的な姿なのだと思います。若手に引導を渡され交代を決意する、そして引導を渡した若手も交代の重みを実感します。それは、衰えていく "父" なのでしょう。それは、父を乗り越えていく "息子" なのでしょう。その息子も "父" になり、彼らの息子の大いなる目標として、そしていつかは倒される身として存在するのです。

 両者に覚悟が生まれるのです。ついにこの時が来た、という覚悟。強いまま終わる場合は、偉大な "父" のままであり、その覚悟が生じにくいでしょう (それが悪いと言っているわけではありません)。"父" を倒し、世代交代のその瞬間を体験することもまた、とても重要なのです。現役にしがみつき、最後の最後に倒される。そして倒した若手にも生まれる覚悟。それは実に美しいものでしょう。

 それを「みっともない」と言うのは、どこを見ているんだ…、と自分は感じるのです。人は衰えるもの。それはどんなに秀でていても例外はありません。現役にこだわる往年の名選手は、身をもって教えてくれているのです。
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2019
02.17

自分に、他人に

 医療者にとって患者さんを診る/看るうえでシンプルながらも大事なことは

・自分のことを大切にする
・しっかり寝る

 ことだと思います。「当然でしょ?」と感じる人もいるかもしれませんし、「え、そうなの?」と訝しがる人もいるかもしれません。

 後者の寝ることですが、その重要性は最近どんどん言われており、夜勤明けはとってもミスが多いことが報告されています。こういうエビデンスをきちんと発信していくのはとっても大事ですね。「あなたは二日酔い状態の医者に手術してもらいたいですか?」と聞けば、YESと答える人はごく少数でしょう。でも今はそんなフラフラな医療者がたくさんいるのです。また、しっかり寝るということは、仕事が終わったら早く帰る/休日をしっかりつくることでもあります。自分は研修医の時、当直明けも1日中仕事をするパターンでしたが、後輩からは半日勤務になったそうです。それでも上の先生に遠慮して休めないということが多いようで。上級医の中でも「オレが若い頃はなぁ」とどうでもいい根性論を持ち出して、若手が休むことを是としない人がおり、困ったものです。上級医がきちんと休むと部下も休みやすいですし、それが結果的に変な失敗を少なくします。他には上の先生が帰らないからオレたちも帰れない…という旧態依然な医局は結構あったりします。バカバカしいですね、とっても。寝ること・休むことは効率よく働くためにも求められているのですよ。日本人は時間ばかり使って、働くときの効率を考えないのだと思います。本当に勤勉なのだろうか…? とふと思わないでもない。

 前者については、「常に患者さんのことを考えていなさい!」「患者さんを第一に考えなさい!」という看護師さん(師長さんクラス)の呪縛があるのですが、自分はそれに異議をとなえたいと思っています、ひっそりと。家に帰ってまで患者さんのことをずっと考えていたら、まったく休めませんよ。それを美徳と考える姿勢を何とかしないといかんのではないでしょうか。モードの切り替えが出来ないと、家と病院との境界が薄くなります。そうなると、病院であった出来事の嫌な感情を家に持ち込んじゃいますし、逆もまた然り。精神科では転移/逆転移を考えることがありますが、家での感情と病院での感情が混ざり合うと、自分の逆転移を投影同一視と勘違いしちゃうかもしれません。それは治療に差し支えます。

 滅私奉公の時代ではないのです。自分のことを大切に出来ない人が、他人を大切に出来るわけがない。医療職はあくまでも仕事なのだという意識がどこかで必要だと思いますし、患者さん側にもそう思ってもらうことが大事です。患者さんにやさしく接し大切にするのは、あくまでプロフェッショナルの仕事として、なのです。そこは線をきちんと引いておくことが求められましょう。

 要するに、医療者に”ゆとり”がなければ医療そのものに”ゆとり”が生まれない、ということ。ゆとりがなく焦りばかりになると、それは患者さんとの関係性も複雑になってしまうでしょう。良いことはないなぁ、と思います。

 ちなみに、ここまで言っておいて自分は有給休暇をあまり取らないのですが、これはのっぴきならない事情がありまして。休んでしまうとその前後の週の外来が大混雑を来してしまい、満員御礼+予約外で来てもらう事態になります(予約枠がいっぱいなので電子カルテ上予約できない…)。休むということは外来を1つ削ることにもなるので、その数十人が前後の週に振り分けられます。かつ、もともと外来は混雑していてそれほど他の患者さんの入る時間が多くありません。。。そうなると、外来を一コマ休むというのは、その日は楽だけど前後の週が異様に苦しむという、”休みたいけど休んだら怖い”事態になるのです…。結局は予約外で朝早くに診るとかこっちのお昼休みを潰して診るとか夕方遅くまでずれ込むとかになってしまいまして。それを考えるとあんまり休む気になれないのも事実です。

 しかし、これからは医療者もしっかり休むことが大事(この外来問題はどうやって解決すれば…?と思いますが)。患者さんやご家族、そして社会全体にもそれは理解してもらいたいところであります。"休日に病状説明する" なんて、当然のように行なわれていますが、本当はおかしいのですよ。医者は何のお給料もなしに休日の時間を作らねばならないのです。これは平日にすべきです。そして、患者さんご家族も、身内のことであれば仕事を休んででも説明を聞くべきなのです。「仕事が休めないから休日にしろ」ではありません。大事なこの時に仕事を優先すべきでしょうか…? そして、会社のほうも何の気兼ねなく休めるようなシステム・雰囲気づくりをすべきなのです。「おぅ、行っといで!」と送ってくれれば、ご家族も安心して病状説明を受けることができるでしょう。これはご家族が悪いわけではないのです。

 ということで、みんなが協力して医療をいい形で存続できるようにしてもらえたら、とてもありがたいのです。
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2019
02.03

プレミアムの域

 "ブラックサンダーあん巻き" なるものがあるという記事(コチラ)を1年前に出しましたが、今回はその "プレミアム" バージョンとのこと。豊橋に出かけた時に買ってみました。

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 通常のブラックサンダーあん巻きにクラッシュアーモンドとチョコチップがプラスされたもののようです。ブラックサンダー自体にもプレミアムが存在するのですが(ブラックサンダー大人のプレミアム)、そちらは生クリームでしっとりしていて、洋酒がほのかに香るという、確かにプレミアム感あり。このブラックサンダーあん巻きのプレミアムはちょっとそこまでとは言い難い印象です。どうせだったら "ブラックサンダー大人のプレミアム" を使えば良かったのでは…?と思わなくもない。

 と、最初から文句ばかりですが、見てみましょう。

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 相変わらずのサイズ。手のひらにちょんと乗るこれくらいが一番良いですね。

 中はどうなっているのかな…?

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 うーん、これは…。去年の記事と同じ感想を抱いてしまう。決して道端に置いたところを想像してはいけない。

 で、食べてみたところアーモンドのカリッという食感が良かったと思います。あん巻き自体は柔らかいので、アーモンドが良いコントラストを成してくれたと考えるべきでしょう。もうちょっとプレミアム感が欲しかったような印象もありますが、総合的なバランスとして悪くないでしょう。ブラックサンダーあん巻きの延長線上としてしっかりと捉えられる味だと思いました。

 ちなみにこのブラックサンダーあん巻きプレミアム、こういう事情でつくられたそうです。

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 1周年、確かにそうか。前の記事も1年前だし。しかもこのプレミアムバージョンは2月17日までの販売だそう。17日までにしたっていうのが、「最後にバレンタインデーで稼いでやろう」的な思惑を感じますね。
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