2015
11.30

浦島的な、あまりに浦島的な。

 故郷の函館に行ってまいりました。帰ってしばらくはちょっと気分がおっくうになっておりまして、引きこもっていました。。。行く前が元気良すぎたような気もしていたので、その反動ですね…(少し前のブログの記事を見返しても、いつもより気分が上がっている印象)。実は今もまだ少しおっくうさが抜けません。身体が重いし意欲も沸かないし外に出たくないし。あ、でもゲーセンだったら喜んで行ってしまうかも???

 さてそんな精神症状ですが、函館は色々と懐かしかったです、やはり。高校卒業して以来なので、変わっている部分も多く、複雑な感じ。でも変わっていないところは本当に変わっていなくて。どちらも時の流れを感じさせました。

 しばらくは函館の記事になりそうですが、今回は出発から。

 中部国際空港。実はここを初めて訪れました。

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 保安検査場。何も悪いことしてないし変なもの持ってきてないんですけど、結構ドキドキします。一応ベルトを外して、無事に通過。

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 搭乗口! 今回はANAとAIR DOの共同運航。

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 大学受験以来の、機上の人。これぞ青空、ですね。地平線でもなく、水平線でもなく、なんて言うんでしょう、雲平線?

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 しかし、やっぱり離陸時は緊張しました。。。こんな大きいモノが浮いて飛んじゃうんですもんね。

 機内サービスの緑茶。ベア・ドゥ君の顔がシンプルに描かれたコップ。可愛らしいですね。

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 お! 函館が見えた!

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 着いたー! 何とか着陸。

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 ”何とか”というのはですね、着陸のために飛行機が下降してからは左顔面が痛くて痛くて…。以前に乗った時の記憶では耳がめちゃくちゃ痛かったんですけど、今回は顔面。しかも前額部痛なので場所は前頭洞ですかね…。後は左の歯! 歯が痛かったのです。。。でも歯なんだか上顎洞なんだかもう分からなかった…。離陸時は大丈夫だったんです。何故か下降時にとてもとても痛くなり。耳はずーっとポーンとしてましたけど、顔面痛が酷かった。慢性副鼻腔炎持ちだからですかね。。。この時点で、「帰りも同じ眼に遭うのか…」と憂鬱に。それくらいたまらなかったんです。着陸したら治りましたが。

 「いやー、大変だった」と思いながら荷物待ち。サブちゃんが迎えてくれるのは何とも函館らしい。

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 空港内。昔よりもずっと立派になっていましたが、人がいない。。。

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 外に出て、ホテルへシャトルバスで向かいます。空港の外観は撮り忘れたんですが、以前の青ペンキとは全く異なる風貌でございました。空港から一歩出ると、肌を襲う冷気。懐かしいような感覚で寒い寒い。長袖のシャツ1枚とコートという舐めた格好だったのが悪いんですが、こんなに寒さに弱かったかな…と思うくらい寒く感じました。

 バスの窓からは津軽海峡が。

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 あ! 棒二森屋だ! 健在だったかー。向かいの和光は潰れて更地になっておる。マンションが建つんですね。

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 和光は函館の歴史あるデパートだったんですが、無くなってしまったか。。。あそこの地下は中古レコード店だったんですよ。『想い出の渚』とか『学生街の喫茶店』とか、色んなEPレコードを買っていた記憶があります。LPは高くって、あまり買えなかった。ビートルズはいくつか買いましたが、やっぱりお値段が。ちなみにこの地下にはお食事処も何軒か入っていて、そのうちの1つのお店の親子丼が美味しかったんですよねー。そうか、もう無いのか…。

 そんな感傷に浸りながら、ホテルに到着。”函館国際ホテル”です。

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 ちょっと古めのホテルですが、お部屋は綺麗。

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 トイレは何か臭うな…。前のお客さんの残り香ですか?

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 さて、荷物を置いて散策や。あらー、函館駅も立派になっちゃって…。昔は赤い三角屋根のちゃっちい駅だったのに。ちなみに、画像の手前には何だかすごいリムジンの一部が写っています。おエライさんでも乗っているのかしら。

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 おぉ、電車も何だか近代的。もちろん昔ながらの電車も走っていて安心しましたが、こんなに新しい感じになっているとは。

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 さて、では電車に乗ってまず住んでいた杉並町や五稜郭辺りを見に行こうかな。次回はそこからご案内。
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2015
11.22

いざ思い出の地に!

 よっしゃー!!



函館行ってくる!



 生まれ故郷、函館。高校卒業後は札幌で浪人生活をしてそこから道外の大学に行ったので、なんとそれ以来! そっか、かなりのご無沙汰。住んでいた家も人手に渡っているし、ちょっと悲しい土地ではあります。でもおじさんといとこが住んでいるから、会いに行こうかな。

 何かいろいろ変化したんですよね。完全に浦島太郎だなぁ。駅とか空港も変わったらしいですね! 自分が覚えている函館空港なんて、真っ青のペンキで塗られて真っ赤な色で”函館空港”と書かれたお粗末なものでしたけど…。ラウンドワンが出来てスタバも進出したと聞きました。五稜郭タワーも新しくなってるんですよね。西武と和光が潰れたってのも風の便りで。いやー、変わったなぁ。隔世の感がありますよ。あ、人口は減ったのか。

 今回の函館旅行は、実は観光ではないんです。自分も何だか身体的・精神的健康のことをいろいろ考えるようになりまして。やっぱり身体が動けるうちに、生まれ故郷をもう一度見ておこうと思ったのです。祖母のお墓参りもしていないし。

 ということで、思い出の場所を巡ることにしました。なので、”ザ・名所”的なところはあんまり行かない。むしろ函館の日常の風景を見ることになると思います。でもその日常に自分の思い出や高校時代から今までの隔絶が染み入っているのでございます。

 とは言え、小学校の頃はガキんちょで遊んでたものの、中学高校時代は学校と家の往復のみで他の場所なんて行かずに引きこもり傾向だったんですよね(現在の状態の萌芽が見えてました)。だから…



あんまり函館のことを知らないのであった



 ほら、地元民ってそういうものだよね…。杉並町から湯の川までの往復の生活だったのでそれ以外が良く分からなくて。もし今度また函館に行く機会があれば、その時は観光してみようかしら。

 ということで、11月22日(今日!)に行ってまいりますよ。ちなみに飛行機に乗るのも大学受験ぶりか…(耳が痛くなるからキライ)。

 でも風邪ひきました…。喉痛いし鼻水出るし。参った参った。無理せずブラブラと巡ってこようと思います。
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2015
11.20

久しぶりの

 記事2連投の2つ目。1つ目と関連性はありません。

 11月の中旬。ちょっと医局棟の13階から鶴舞公園を見下ろしてみました。

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 あ、だいぶカラフルになってきておりますね。もうちょいズーム。

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 イチョウがだいぶ黄色づいてきているのと、モミジもちらほら。

 ちょっと行ってみようかな? と思い、久々にお散歩。

 まずはカンツバキ。

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 雨が降っていたので、しっとり濡れた花も魅力的でございます。

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 イチョウは、うーん、もうちょっとかな。でもこういった色の移り変わりの”うずき”感があるのもまた良いものです。

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 このモミジは緑全開ですな。紅く染まったモミジはやわらかな印象ですが、緑はなにか清涼感すらあります。

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 モミジをも凌ぐ紅葉っぷりを示す”ハゼノキ”ですが、ちょろちょろっと色が変わっている程度。

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 サクラもまだ葉が残っていますね。

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 鶴舞公園での一番の紅葉スポットである、竜ヶ池のモミジ。

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 ここもじわぁっと来ている感じです。

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 木の肌に見られるコケがまた雨と合いますね。

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 ヒメツバキは今が旬。

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 下の岩にポトリと落ちていました。何ともシックな感じ。

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 拾ってみる。まさに”ヒメ”と言って良いほどの可憐な花です。

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 最後、ここのカメさんはいつものんびり。池にマツとモミジが映って良い感じの色合いになっており季節を考えさせますが、そこにいるカメさんは超越してしまっている印象。

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 ということで、本格的な紅葉にはあと一歩の鶴舞公園でした。11月末~12月上旬がポイントになるかも。

 ちなみに、去年の紅葉の記事はコチラ。ハゼノキの鮮やかさや、竜ヶ池のモミジの燃え盛るような色を載せています。
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2015
11.20

クリスマスがやって来る

 記事2連投の1つ目。2つの関連性はありません。

 世の中はクリスマスモードに入っています。ハロウィンが終わったらすぐクリスマス。”ハレ”が好きですよね、みなさん。ただ、その”ハレ”は形骸化してしまっているのかもしれませんが。

 そんなこんなで、ちょっと前ですけどゲームセンターを覗いてみたところ、景品がクリスマス仕様になっていました。さすがに時期が早すぎたようで、ほんのちょっぴりでしたが。

 その中で、獲れそうなクリスマス的なぬいぐるみを。”ねこあつめ”というアプリのもの。

 アームでコロコロっと転がして、この位置にまで来ています。

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 初期設定からだったので、ここまででもう400円使ってしまっております…。

 で、ぬいぐるみの少し後ろを狙って、これまたコロッと穴に落とします。

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 はい、メリークリスマス!

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 今シーズンに獲ったクリスマスな感じのぬいぐるみとともに。ラスカルとコマさんと今回のねこあつめ。

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 てか、ちょっとコマさんは”やっつけ”っぽくないですかね…。ぽんと帽子を載せただけですよね。ラスカルはしっかりと着込んでいるのに。でも可愛いから許す。
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2015
11.18

ツムラさんの漢方講演会

 今日は、タイトルの通り講演会で喋ってきました。ツムラさんは業界最大手で扱っている漢方薬の種類も最も多いため、お世話になっております。

 内容は以前にお話ししたクラシエさんの時とあまり変わりませんが、少し精神科以外の先生がた用に強弱を付けてみました。

 90分ずっと声を出していると、もう今はガラガラですね…。こういう時は麦門冬湯を1回2包くらいで頓服として飲むと良いですよ、というのも記事にした記憶があります(お湯に溶いて喉に染み渡らせるようにして飲む)。

 講演会ついでにこの麦門冬湯のお話を少し。良く空咳に処方される漢方薬ですが、構成生薬は以下。


麦門冬湯=麦門冬 半夏 人参 粳米 大棗 甘草


 この中で、半夏というのが鎮咳去痰作用と制吐作用を強く持ち、メインの働きです。ただし、半夏は身体を乾かしてしまうため、それを相殺というかもっと潤す方向に持っていくために、他の生薬(半夏以外は身体を潤す作用を持ちます)を足している形になります。強力な半夏の作用を持ちつつ、空咳には短所となる身体を乾かす(燥性)点を他の生薬でカバーし、結果的に潤う方向になっていると考えられます。

 とても良く出来た漢方薬だなぁと思います。先ほどの声がかれたような時、風邪は治ったんだけど空咳だけまだちょっと残っている時、なんてのが良く効く症状。注意点としては、1日3包では効かないことも多いため、そういう時は増量するということと、やっぱりできるだけお湯に溶いて喉に行き渡るようにして少しずつ飲むようにするということでしょうか。自分で飲む時は6-8包くらいを1日で飲みます。咳が強くて夜眠れないという時は、寝る前に2-3包飲むなど、1日の中でも強弱をつけてみましょう。1日3包で固定せずに増量してさらに柔軟性を持たせることが、麦門冬湯に限らず漢方薬を効かせるコツ。ただ、空咳に麦門冬湯を出していて「効かないなぁ」と思っていたら実は結核だった、なんてことはないようにしましょう。きちんと原因を探ることは忘れずに。

 麦門冬湯の注意点は、痰の多い咳にはあまり効かない、むしろ悪化させる(痰が多くなる)ことです。この漢方薬は喉を潤わせて気道にバリアを張って過敏性を緩めてくれるようなイメージなので、痰が多い時はこの潤わせる作用が悪さをしてしまいます。

 ちなみに、空咳が多いことで喉も痛くなって来た時、自分は麦門冬湯に桔梗湯を合わせて飲んでいます。桔梗湯は構成生薬が桔梗と甘草だけというシンプルな漢方薬で、甘くて美味しい。この中の桔梗がちょっとした喉の炎症を抑えてくれるので、合方としています。お気に入り処方の1つでして、鼻閉により寝ている時に口呼吸になって朝起きたら喉が痛いなんてのは、桔梗湯の適応ですね(自分はアレルギー性鼻炎なので、ひどい時はいつも口呼吸…)。ただし、強い炎症の時はさすがに効きません。そういう時は柴胡や黄芩や石膏など、もっと炎症を抑えて冷ます作用の強い生薬が追加された小柴胡湯加桔梗石膏なんていう漢方薬が適します。

 こうやって見ると、漢方薬は生薬をうまく組み合わせているなと感心してしまいます。この奥深さが漢方好きにはたまらない。講演会でこの流れの話もすると良かったかもしれませんね。”生薬の妙”を知るには好都合だったかしら。



c.f. 量を増やしてみるというところでちょっと追加しておきますが、例えば芍薬甘草湯や甘麦大棗湯を「そうか! 量を倍にしよう!」というような考えは怖いです。甘草が増えすぎて大変なことになりますよ。。。この2処方は原則として頓服、もしくは毎日使うにしても1包というのが多いと思います。そういう薬剤を増やして処方すると副作用が強いでしょう。また、黄連や大黄など”黄”が含まれている生薬は少なめでも効果は割りと高いため、黄連解毒湯も1日2包程度で効くことがあります。しかし、基本的にはエキス製剤は絶対的な量が足りないので、添付文書通りでは効果が及ばないことがままあります。十味敗毒湯なんかも1日3包では効きが悪いですね、そう言えば。
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2015
11.16

輝きながら…

ででんでんででん!

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ででんでんででん!!

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 これは何なのか…?

 ツノの様に生えている2本のぴかぴかな物体を見て

聖闘士星矢に出てくる黄金聖闘士のアルデバラン!

 を連想する人は30代以上確定です。

 正解はですね…


ばばーん! 

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 なんと、黄金色に輝く


ぐでたま先生


 なのでした。先生というか、もはや”ぐでたま様”とでもお呼びした方が良いような神々しさ。

 ちょっと角度を付けてみましょう。

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 玉子の殻に乗っているタイプでございますね。「どこでそんなの手に入れたの?」と思うかもしれませんが、例によってアレです、アレ。

ちらっ

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 何だかとってもシュール。

 全2種の、”ぐでたま 座り&卵の殻乗りBIGぴかぴかぬいぐるみ ”でして、やはりここは2種類とも必要だろうと思い、獲ってきました。

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 どちらも800円くらいでGETしましたが、D-ring はちょっとお金がかかりますね。

 いやこれね、もう見た瞬間


金運アップや!


 と直感しまして。我が家の救世主になってくれるんでないかという期待感が一気に押し寄せました。こうやって獲得したからには、お金がたくさん舞い込んでくる、はず…! 差し当たってですね、年末ジャンボを買うことにしました。どれくらい買おうかな?

 そして、見事に当たったら仕事を一刻も早く辞めるんや。晴耕雨読ならぬ晴読雨読の生活をするんや。外には出ず浮世から隔絶された生活をするんや。ぐでたま先生は好きなのでぬいぐるみを結構持ってますが(全部UFOキャッチャーで獲りました)、ここまで衝撃を与えるものはありませんでした。これはホンモノの予感…!!!

 ということで、我が家の神様仏様稲尾様的な存在になった”ぐでたま様”。いやー、これで念願の引きこもった生活が出来るのだ! たぶん。
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2015
11.13

シンプルさを追求したブロナンセリン

*今回の記事はまったくもって真面目ではありません*

 大日本住友製薬が開発したブロナンセリン(ロナセン®)という非定型抗精神病薬があります。これは、D2受容体と5-HT2A受容体をほぼ狙い撃ち(D3受容体も阻害しますが)にした、ものすごくシンプルな非定型。

 D2受容体を遮断することは統合失調症の幻覚妄想をやわらげることにつながります。現在市場に出ている抗精神病薬は、定型非定型問わずこのD2受容体遮断が基本型。5-HT2A受容体の遮断はD2受容体遮断による錐体外路症状などの副作用を軽減するとされ、非定型抗精神病薬はここへの配慮が強い特性を持っています。他にも様々な受容体を攻めることで患者さんの種々の症状に対応していますが、攻めるところが多いとそれだけ副作用(特に耐糖能異常、脂質異常、体重増加などの代謝系副作用)が出てしまうというのが難しいところ。

 その中でブロナンセリンは上述のように非定型抗精神病薬になるための必要最低限に絞ったという、これまでの抗精神病薬とはかなり異なる特性を持ちます。「たくさんの受容体を攻めろ!」からの脱却。代謝系の副作用は非定型抗精神病薬の中で最も来たしにくいのであります。そこで思ったのが


ブロナンセリンは和菓子


 という、なかなかどーしょもない発想(というか空想)。決して真面目な記事ではないのでご了承ください。。。

 ステレオタイプとしての洋菓子は数多くのデコレーションを施し、様々な味をうまくまとめ上げて提供されます。対して和菓子は、みたらし団子やくず餅など、やわらかな原料の風味を活かすような、サントリー山崎の「何も足さない 何も引かない」というキャッチフレーズが表すような、そんなつくり方をします。もちろん、その中でもお砂糖を黒糖や和三盆にする、お塩を少し入れるなどして深みを出すことがありますが、基本型はあまり加工をしないというところでしょう。

 オランザピン(ジプレキサ®)やクエチアピン(セロクエル®)は外国の企業がつくったもので、極めて洋菓子的なお薬だなぁという印象。アリピプラゾール(エビリファイ®)も日本の大塚製薬が開発した抗精神病薬ですが、これも様々な受容体に結合するものの、D2受容体、D3受容体、5-HT1A受容体に対するパーシャルアゴニスト作用、そして抗ヒスタミン作用や抗コリン作用などが少ないというところは、上述したような、和菓子の中でも少し材料に変化をつけて深みを出したような立ち位置になるかと感じています。

 「いやいや、スルピリドは外国産だけどほぼD2受容体のみの阻害じゃないか。そっちの方がシンプルだろ」という突っ込みもあろうかと思いますが、非定型で様々な受容体に親和性を持たせようという流れの中でブロナンセリンが登場したという、このタイミングがまた興味深いなと。いかんせん真面目な記事ではないのでご了承をば…。

 ブロナンセリンはシンプルさゆえに、高齢患者さんや受容体がナイーブな初発の患者さん、症状もシンプルで重くない患者さん、抗精神病薬で副作用の出やすい患者さんにフィットしやすい印象。しかし、患者さんが様々な症状を持っている時はちょっと力不足な時があります。抗不安作用はあまりなく、単剤でしのげない時もままありますし、やはり鎮静(静穏)が必要な時は向かないのです。やはり患者さんによって使い分けをするべきかと。お菓子も和菓子が好きな人もいれば洋菓子が好きな人も。年をとって「やっぱり和菓子が良いのう」と好みが変わる人もいるでしょう。ちなみに自分はあんまり使わないんですけどね、ブロナンセリン…。

 なぜこんなくだらないことを思い立ったかというと、いただきものの栗きんとんを食べていた時にロナセン®のボールペンが視界に入ったからなのでした。しかもその栗きんとんの原材料は”栗・砂糖”のみというシンプルさ。それでいてとても美味しい。”すや”という岐阜県の和菓子屋さんのであり、ここの栗きんとんがしっとり感と栗のほくほく感とがうまく混在してくれている、ベストなものだと感じています。

 という、最終的には栗きんとんを誉めるという内容の記事でした。
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2015
11.11

リンゴとシナモン

 コメダ珈琲店では、10月から期間限定ノワールとして

Ringoノワール

 を販売しています。

 ミニシロノワールの上にリンゴの角切りを甘く煮たものとシナモンパウダーをトッピングした、いかにも秋~冬らしい一品(490円)。

 ということで、注文してみました。

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 ”ミニ”なので小ぶりです。派手な彩りではありませんね。例によって、ソフトクリームの部分だけ別のお皿に避難させます。

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 これが自分の食べ方でございます。冷たいソフトクリームが温かいデニッシュの上に乗っているのがシロノワールの基本型であり、このソフトクリームを乗せたままにすると、結構溶けてしまい、お皿の中で床上浸水してデニッシュに染み込んでしまいます。そうなるとデニッシュがふにゃっとするのですが、それが好きか嫌いかによって、食べ方は分かれそう。自分はあんまりヒタヒタになるのが好きではなくてですね、あとソフトクリームは溶けたら甘さが強くなってしまうので、そういったことを考慮して最初からソフトクリームとデニッシュとを分離します。必要に応じてソフトクリームをすくってデニッシュに乗せて食べる形式。この食べ方は譲れない。

 このRingoノワール、デニッシュの中にカスタードクリームが挟まっています。

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 では、いただきましょう!

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 お、んまい



 リンゴはジャムっぽいですが、角切りのサクサク感が残っていて、それが第3の食感として働いています。そしてシナモンも香ってきて、これまでの期間限定ノワール(チョコレート、キャラメル)とはまた違った上品さが出ています。カスタードクリームはあまり感じられませんでした。多分リンゴとシナモンに負けてしまっているのでしょうね。

 総じて、とっても美味しかったです。期間限定ノワールはいつものシロノワールと異なり、それぞれ独自の立ち位置があって面白いと思います。今度はどんなのが出てくるのでしょう。
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2015
11.09

理解して覚える漢方薬

 「漢方薬ってどうやって覚えたら良いの?」と聞かれることがあります。

 そんな先生がたに対して、逆に「今までどうやって覚えてきたの?」と問い返すと、多くは


口訣


 という決まり文句的な覚え方をしてきています。「○○があればこの処方」というのをたくさん覚えて、それに当てはまるような患者さんに使うというやり方。確かに悪くなく、すぐに使えるというのも利点のため、入門としてはむしろ優れている気もします。

 しかし、それだけではどうしても詰まってきて、応用が利かなくなります。「もうちょっと漢方薬で何とかしてみたいなぁ」と思うのであれば、また、漢方薬の副作用を考慮するのであれば、それなりの勉強が必要だと思います。研修医の時だったでしょうか、ある講演会で「老人にはまず八味丸(八味地黄丸)を使えば良いんです」と言っていた先生がいましたが、そんな浅い知識じゃ間質性肺炎を起こすことも稀ではありません。八味地黄丸に桂枝と附子が入っている意味をとらえていない証拠でしょう。ここ数年は「インフルエンザに麻黄湯」なんてのが流行ってますが、これも危険。熱が出て暑がって苦しい時に麻黄湯を使うのはご法度でして、それを理解せずに表面的な決まり文句で処方するのはいけません。

 そこで、より安全な処方に必要なのは、方剤に含まれている生薬の理解。面倒くさいと思うかもしれませんが、こればかりは避けて通れないと思いますし、口訣だけで行くなら、本当にドンピシャの患者さんのみに使うべきだと考えます。そうでないと安全性は担保できません。

 この生薬の理解は、薬剤が占拠する受容体を覚えるのと同じレベルと考えてほしいなと思います。自分は精神科医なので抗精神病薬が例になりますが、オランザピンの持つ作用/副作用を知るには、やはりどんな受容体を占拠するのかを覚えているでしょう。抗うつ薬でも、SSRIやSNRIとは異なるミルタザピンの作用/副作用は、受容体の理解に基づいて覚えているでしょう。薬剤相互作用に配慮する時も、CYPの阻害とPGP(P糖蛋白)の阻害を覚えるはずです。それと同じこと。

 残念ながら、個々の生薬が占拠する受容体は不明であり中医学独特の概念に足を踏み入れねばなりませんが、体系の異なる医学で用いているお薬なので、そこはちょっと我慢が必要。どっぷり浸かる必要はありませんが。

 実際の覚え方の例を少し示してみます。多くの方剤がありますが、まずは核となる方剤と構成生薬を覚えて、そこから頻用している方剤を派生させる方法が良いかと思っています。ちょっとこの図を見てみましょう。

補気剤

 いくぶん恣意的ではありますが、補気剤の例を示しています(帰脾湯を入れていないのは、帰脾湯が補血にも強く関わるからです)。この補気剤の基本骨格は四君子湯。


四君子湯=人参 甘草 朮 茯苓 大棗 生姜


 大棗と生姜は後の世になって加わっており、”四君子”は人参、甘草、朮、茯苓の4生薬を指します。いずれも補気薬として使用され、例えば人参は身体の中を温めて水分を保つ作用を、朮や茯苓は身体の水はけを良くする作用を併せ持ちます。人参は水分を保つ働きが強く、人参湯は副作用に浮腫があるくらい。朮や茯苓が入ることで、これを相殺してくれるのです。

 この様に1つ1つの生薬の主な働きをとらえます。そして、その四君子湯に陳皮と半夏が加わると、皆さんおなじみの六君子湯になります。


六君子湯=四君子湯+[陳皮 半夏]


 四君子湯と六君子湯との違いは、この陳皮と半夏の生薬の作用を見ると良いのです。陳皮は健胃作用と鎮咳去痰作用を持ち、半夏は制吐作用と鎮咳去痰作用を持ちます。よって、六君子湯は四君子湯の作用に胃腸を整えて咳や嘔吐を抑える作用が加わっている、と理解できます。ただ、鎮咳去痰とは言いましたが西洋医学の去痰とは異なりもっと幅広い概念ではあります。そして、この去痰作用を持つ生薬は”身体を乾かす作用”が強いのです(ここでは特に半夏)。

 よって、六君子湯は身体を乾かす方を向いているとイメージします。このことから、口訣上の注意でよく耳にする「六君子湯は舌苔が無い時には使わない」というのが理解できるでしょう。舌苔が無いのは身体が乾いているために苔が生えてこないのを意味することが多く、そういった時や口渇が強い時、空咳が強い時などには身体を乾かしてしまう六君子湯は不向きです。四君子湯が適切でしょう。

 今度は四君子湯から派生した補中益気湯を見てみます。


補中益気湯=四君子湯-茯苓+[黄耆 柴胡 升麻 陳皮 当帰]


 これは”黄耆・柴胡・升麻”という組み合わせが重要であり、この3つで”升提作用”を期待しています。この作用は横紋筋や平滑筋を引き締めることであり、それにより、手足の重だるさを緩和しますし、添付文書の効能に”胃下垂、脱肛、子宮下垂”と書かれているのもお分かりになるかと思います。特に黄耆は”固表止汗”と言って、汗が出過ぎないようにしてくれます。添付文書の効能の”多汗症”もこの黄耆の働きによります(多くのメーカーは朮が蒼朮ではなく白朮になっており、その白朮も汗を止めます)。さらに、陳皮が入ることで気を少しめぐらせ、当帰でわずかに血を補いめぐらせる作用も備えています。そして柴胡がその両方の働きを助けてくれます。この柴胡が入ることで、補中益気湯は身体を冷まして乾かす方に傾いています。こういったことから、補中益気湯は単なる補気剤ではないことが分かります。

 以上のように、骨格となる方剤から生薬の加減で派生を覚えていくと知識がつながってくるでしょう。そのような覚え方が応用力のある漢方処方を可能にし、各方剤の口訣が生まれた理由も納得しやすくなります。さらに、生薬を勉強すると”温める””冷ます””潤す””乾かす”などの知識も付いてくるので、理論面でも力になってくれるのです。最近は生薬の本も随分と増えてきたので、読みやすいものをどれか持っておくのをお勧めします。

 これは蛇足ですが、日本漢方の”実証””虚証”といった体格や体力で方剤を決める方法を”やめてみる”のも実は大事なのではないかなと、これはあくまでも個人的に考えています。日本漢方の”実証””虚証”は、正気の方しか見ていません。病邪にも実と虚が存在するため、それを考えないから、よく症例報告で目にする”実証と考えたが虚証であった””虚証と考えたが実証であった”というような事態が出てくる、そう思っています。”扶正祛邪”を念頭に補すことと瀉すことの両方に配慮する必要があり、場合によっては日本漢方的な”虚証”でも大柴胡湯といった”実証”用の方剤を使って病邪を追い払うようにしますし、”虚証”用の漢方薬である四君子湯と”実証”用の柴胡加竜骨牡蛎湯を同時に使用するということもします。体格や体力で分ける”実証””虚証”の枠から出てみると、漢方薬の処方は一気に柔軟性を帯びてきますよ。これはじわじわと広げていきたいと思っています。
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2015
11.05

わけもなくアソシア

 11/2の月曜日は、名古屋駅にあるマリオットアソシアホテルに泊まりました。

 名古屋に住んでいて名古屋駅のホテルに泊まるというのも変な感じがするかもしれませんが、ちょっとした非日常を日常に差し挟む感覚で、たまにアソシアに泊まることがあるのです。ま、たまにと言ってもそんなに回数は多くなく、年に2-3回くらい。しかも連休なんかで宿泊費が高くなっている時は無理無理。安めの時に泊まっていまして、前回が2月でした。だから今回で9ヶ月ぶり。記事としてアップするのは今回が初めてでございます。

 ということで、アソシア。名古屋駅直結なのがとってもありがたい。

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 フロント。

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 スタンダードなお部屋。でもまずまず広くて快適です。

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 ユニットバス。

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 窓から夜景を眺めてみる。

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 角部屋だったので、別の窓から違う方角を。

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 で、お夕飯はですね、アソシアに泊まる時はいつも19時30分頃に高島屋(これも名古屋駅に入っています)のデパ地下に行って、ちょっと安くなったお惣菜を買って食べることにしているのです。

 人が多い。

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 おー、色々ありますね。これは中華や。

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 ここのお店は20% offか。

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 目移りしてしまいますね、こういうのって。

 いくつか買って、お次は…。

 おや?

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 実はですね、ビックカメラの地下1階にちょっとしたゲームセンター(ゲームコーナー?)がありまして。そこにチラッと行ってみたのです。いやー、血が騒いでしまって。

 上記のタイプは、小さい人形を落とすと、鎖につながった大きいぬいぐるみがもらえるというシステム。誰かが途中で諦めたのでしょう、人形が端に寄っています。

 このサンタバージョンのラスカルが可愛くて、今回はこれを獲ろうと決めました。しかし、鎖につながれているラスカルはなかなか可哀想にも見えてきます。

 この台、人形が乗っている正方形の両端と手前を御覧ください。容易に人形が落ちないようにガードが仕掛けられています。でも、よく見るとそのガードは手前の向かって右下になるにつれて下がっているのが分かります。なので、人形を最もガードの緩い手前の向かって右下に追い込んで落とす戦法となるでしょう、たぶん。

 こういうのは掴もうと思ったらアカンのや。手前に持っていくために、向かって左のアームで人形の頭を引っ掛けるんや。右のアームなんて使わないんや。

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 上の画像ではちょっと頚の方にかかっちゃいましたが、人形は無事に手前へ押し込まれました。

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 あと一息。もう一回頭をアームで…。

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 よーし! 落ちた!

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 あとは店員さんに声をかけて、捕獲したラスカルを受け取ります。いぇい。

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 ということで、本懐を遂げた(?)ので、ホテルに戻りましょう!

 こちら、4305室になります。

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 まぁ少し休みますか。 

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 休憩した後、お夕飯ですよ。今回はこんなラインナップ。

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 アラカルト的なお惣菜2点と焼売。全部で2000円ちょっとでした。

 フタを外すと、こんなのとか。

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 こんなのとか。

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 こんなの。

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 ではいただきまーす。ローストビーフ。

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 エビとイカ。

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 大きな焼売。

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 ”吉田類の酒場放浪記”を見ながら日本酒、ではなくて緑茶をいただきます。

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 そんなこんなで11/2の夜は過ぎていき…。

 ん? クリスマスプレゼントでも持ってきてくれたの?

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 翌朝。ホテルの朝食と言えば、やはりビュッフェでございますよ。いざ行かむ。

 種類は結構多いのです。人が多くて見えませんが、手前が和食。

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 洋食。向かって左の見切れているところがパンとかフルーツとか野菜とか。

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 パンの種類も豊富。

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 オムレツは、つくりたて。中に入れる具を自分で選べます。

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 フレンチトーストを焼いています。これが美味しいんですよねぇ。

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 名古屋らしさももちろん健在。こちらでは、きしめんとひつまぶし。前回アソシアに来た時はひつまぶしが無かったんですけど、今回あったので驚き。きしめんは自分で茹でます。

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 小倉トーストも出来ます。

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 さて、食べましょう! みそかつがあるのも名古屋的ですよね。

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 これがフレンチトースト。メープルとかブルーベリーソースとかをかけても良いのですが、これだけでもしっとり甘くて美味しい。

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 自分は、ひつまぶしではなくて白いご飯。それもこれも、温泉たまごを乗せて食べるためであった。

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 とろり、と。

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 そして第二弾。自分の中でアソシアでの恒例となっている、ハイカロリー小倉トースト。

 どーん。

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 あんこ、ホイップクリーム、バターが不自然なくらいの3Dとなっています。よっしゃ食べるぞー。

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 うーん、甘い。というか重い。毎回これを食べてすぐ満腹になるのでした…。いや、バターもクリームも好きなので、ついつい大盛りにしてしまいまして。

 で、シメはしょっぱいものということで、お漬物。お茶とともに。

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 あー、美味しいわー。ごちそうさまでした。

 腹ごなしに少し歩いていたら、なんともうクリスマスツリーですか。

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 年々早くなってきていませんか? こういう行事の準備って。

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 だんだん早くなるのが続いたら、その年のクリスマスの前に次の年のクリスマスの準備をするような事態になるかも? こんがらがってきそうですな。

 ということで、ピットインをして日々の生活にちょっとした変化をつけてきたのであります。とは言え、翌日から強制的にコースに戻ることになるのですが。。。

 でもホテルって「いつもと少し違う」を味わえるツールだと思います。日常を軽視して良いということではなく、新たな眼線で日常を味わうために、一息付くのも悪くはないかと。

 ちなみに、個人的にホテルは全国のドーミーインがコスパ最高だと思います。ビジネスホテルですけど朝食はしっかりしてるし、夜は”夜鳴きそば”がサービスで出てくるし。普段使いするならオススメ。
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2015
11.01

風邪を風邪と診断するために

Category: ★研修医生活
 救急外来でとても多い風邪の患者さん。研修医はたくさん来る患者さんの中からミミックを探しだして倒さねばなりません(倒せずザラキを唱えられて砕け散るのも避けたいですね…)。換言するならば



風邪を風邪と言い切れるか!?



 という、一見当然にも感じられることがとても大事になってきます。

 今回は1年次研修医向けにつくった勉強会のレクチャーから、風邪についてお話(しかし勉強会自体がなくなってしまったのでお蔵入りになってしまった…)。ほとんどは故・田坂佳千先生の書かれた『”かぜ”症候群の病型と鑑別疾患(今月の治療. 2006;13(12):1217-21)』をベースにしています。いわゆる”風邪本”(例えば岸田直樹先生の『誰も教えてくれなかった風邪の診かた』や山本舜悟先生の『かぜ診療マニュアル』)も元をたどるとこの田坂先生の論文に行き着きます。風邪本の源流と言っても良いでしょう。

 さて、研修医にとってとても心配になるのが「患者さんに風邪と診断して自信を持って帰せるか?」というところ。例えば

「喉が痛い」→大動脈解離!
「気持ち悪くて吐いた」→心筋梗塞!
「下痢をした」→消化管出血!

 こんなのを診てしまうとびっくりしてしまいます。

 もちろん”後医は名医”という言葉の通り、時間が経つことで疾患の輪郭がよりはっきりとし、後で診た医者が正しく診断できるのは当たり前。よって、患者さんには「これこれこういう症状が出たら/今の症状がどんどん悪くなるようなら、また来てくださいね」など、鑑別で捨てきれなかった疾患でまだ出現していない症状や今ある症状の増悪の可能性をお伝えして、”時間性”をうまく使うようにします。

 救急外来、特に発症早期ではまだ症状が揃わずうまく疾患としてのまとまりに欠けるため、診断には限界があるというのを大前提とします。その限界を意識しながらも出来るところまで詰めていくというのが求められます。そして、限界の先に向かうために、患者さんにこちらの予想をお伝えして診断に幅をもたせることを利用します。

 それを認識した上で、まず風邪の定義ですが


ほとんどの場合、自然寛解するウイルス感染症で、多くは咳・鼻汁・咽頭痛といった多症状を呈するウイルス性上気道感染のこと


 と表現できます。細菌感染では原則として細菌が1種類の臓器で暴れます。もちろん例外はたくさんあり、代表例はレジオネラ肺炎の腹部症状でしょうか。ウイルス感染は多くの臓器にまたがるのが通常です。

 ”細菌が1種類の臓器で暴れる”というのは様々なprediction ruleにも反映されており、例えば細菌性咽頭炎とウイルス性咽頭炎との鑑別に用いられるCentor's criteriaでは”咳がないこと”というのが、細菌性咽頭炎らしさを示しています(咽頭に感染するのであって、より下の気道症状である咳は細菌性らしくないということ)。肺炎の検査前確率を推定するDiehr's threshold scoreでは、咽頭痛と鼻汁の存在は肺炎らしくなさを示します(細菌は肺に感染し、喉や鼻の症状は出にくいということ)。

 ということで、典型的な風邪とは以下の図で示せます。
典型的な風邪

 この図の言わんとしていることは


“咳・鼻・喉”の症状がほぼ等しく急性に出現している時は、風邪と判断して良い


 ということ。これをしっかりと認識しているのといないのとでは、風邪症状を訴える患者さんへの取り組みが全く異なってきます。典型的な風邪の顔つきを上記でつかんだ次は、典型的ではない、辺縁に位置するような症状の時が注意点になってきます。そこが医者にとって大切で、田坂先生の以下の名言のように


風邪(症候群)における医師の存在意義は、他疾患の鑑別・除外である


 ということ。これに尽きるのだと思います。それをスッキリさせるため、まずこのようにまとめましょう。
典型ではない
 これらの時は「典型的な風邪とはちょっと違うなぁ」と思うところで、しっかりと鑑別疾患を挙げて除外していくことが求められます。

 最初は、鼻症状が中心の時。
鼻症状
 これの代表的な鑑別には急性副鼻腔炎があります。意外に診断は難しく、以下を参考とします。

いわゆる「風邪のぶり返し」
うつむいて顔面痛の惹起や増悪
上歯痛
耳鏡で鼻腔を覗いて膿性鼻汁を確認
エコー(心臓用のプローブ)で上顎洞の貯留液を確認

 JAMAの『Rational Clinical Examination』を読んでも、なかなか「これは!」と思える所見に出くわさないのでした。。。この「風邪のぶり返し」は急性副鼻腔炎に限らず「細菌感染かな?」と思える糸口になりえます。

 次は、咳症状が中心の時。
咳症状
 もちろん本命対抗は”肺炎”です。実はこの肺炎の診断は

聴診で分からないことがとても多い
レントゲンではっきりしないことも多い(撮るなら正面像と側面像)
エコーが有用!?
グラム染色は行なうこと
尿中抗原でRule outは難しい

 という特徴があります。聴診で分からないからといってそれを省くのは以ての外でして、レントゲンではシルエットになって分かりづらい肺底部のcracklesが聴こえることもありますし、レントゲンでは見えないけれども肺胞呼吸音が気管支呼吸音化していてCTでしっかり肺炎像が出ているなんてことも。エコーはちょっと自信ないですけど…。自分は肺水腫と気胸を見つける時にしか使わなかったので、肺炎を見つけるためのエコー経験が乏しいのでした…。やはり重要なのは流行・患者背景・症状をしっかりとらえることになります。

「風邪のぶり返し」でガッツリ来る
悪寒戦慄を伴う高熱と咳
びっしょり寝汗や頻脈や頻呼吸
基礎疾患やマイコプラズマの流行
ホテル、温泉、湯沸かし…(レジオネラ)

 この辺りは最低限チェックしておきたいですね。頻脈や頻呼吸にはやっぱり敏感になっておきたい。

 もちろん怖い疾患が隠れていることもあり、急性心不全や肺塞栓なんてのは医者泣かせだと思います。患者背景で狙いを付けて、SpO2低下・頻呼吸・呼吸困難といった所見があれば注意をしておきますし、否定できなければBNP(もしくはNT-pro BNP)やD-dimerなどの検査。

 そして、慢性咳嗽の初期を見ていることもあります。慢性咳嗽は3週間以上続く咳が定義ですが、初期に見るとそれは”急性咳嗽”になってしまいます。急性咳嗽と慢性咳嗽とでは鑑別疾患の色合いが異なり、結核や肺がんや心不全などなど…。以上を頭の片隅に。

  次は喉症状が中心の時。
喉症状
 鑑別として細菌性咽頭炎は言うまでもないかもしれませんが、その細菌は何とGASにも、若年者(15-30歳)ではFusobacterium necrophorum, GCS, GGSといった細菌が発症に関与するとという報告が出ています(Centor RM, et al. The Clinical Presentation of Fusobacterium-Positive and Streptococcal-Positive Pharyngitis in a University Health Clinic: A Cross-sectional Study. Ann Intern Med. 2015 Feb 17;162(4):241-7.  Centor RM, et al. Avoiding sore throat morbidity and mortality: when is it not "just a sore throat?". Am Fam Physician. 2011 Jan 1;83(1):26, 28.)。特にFusobacterium necrophorumは結構多いらしいです…。迅速診断キットはGASのみを対象としているため、これらの細菌では陰性になることがあります。これを考えると、Centor's criteriaで4点以上ならキットなしで抗菌薬投与というのも何となく頷けます。ちなみに日本にいるGASは多くがマクロライド耐性なので、細菌性咽頭炎にマクロライドを出しても改善しないことがあるので注意。また、上記論文の著者であるCentor先生は、あのCentor's criteriaのCentor先生です。すごいですなぁ、まだ生きてたんだ(おい)。

 他の鑑別は結構怖いものが多く、いわゆるKiller sore throatには急性喉頭蓋炎、咽後膿瘍、扁桃周囲膿瘍、Ludwig アンギナ、 Lemierre症候群(前述のFusobacterium necrophorum感染の重大な合併症)などがあるのです…!感染症以外では大動脈解離、心筋梗塞、くも膜下出血、亜急性甲状腺炎などが挙がってきます。恐るべし喉症状…!

 ここで、風邪っぽくなく咽頭炎っぽくなく、「おや…?」と嗅ぎ分けるポイントを。

 咳と鼻汁が少なく咽頭痛が中心の時で、“咽頭痛が強い+咽頭所見が強い”は当然注意すべき。問題は…


咽頭所見は軽く、嚥下痛が強い!
もしくは
咽頭所見は軽く、嚥下痛が軽い!



 これが「何かおかしいなぁ…」と感じる第一歩。患者さんが「喉が痛い」と言っているにもかかわらず咽頭所見が軽いというのは、事件の中心は“咽頭”ではないことを示します。つまり


咽頭周囲の問題
頚部の問題
放散痛の問題



 という風に分類できましょう。仮に咽頭ではなく”頚部痛”であったとしても、患者さんは「頚が痛い」ではなく「喉が痛い」と言うことがとても多いです。専門用語では頚と喉は異なりますが、患者さんの世界では明確な分類になっていません。自分の身に起きた現象を何とか持っている言葉で表現しようとして「喉が痛い」になるのです。医者側はそれを考慮して、言葉の奥の現象をとらえるようにする必要があります。患者さんの言葉に引きずられずここに気を配れるようになると、問診力がアップしますよ。患者さんと医者とは異文化の存在だという認識を持ち、出てくる言葉が表そうとしている現象(シニフィエと言えるかもしれません)に思いを馳せてみましょう。

 上記の点を考えながら、鑑別をしっかりかけて見逃してはいけない疾患を除外していきます。

 最後は、咳症状・喉症状・鼻症状のいずれもないという時。
いずれもない
 その際は「うーん、風邪でしょう」と言わないようにしましょう。”発熱+α”でとらえ、その+αは、頭痛、倦怠感、消化器症状、関節痛、皮疹などなどなど…。それぞれに従って鑑別疾患を挙げて診断していきます(個々の鑑別疾患は割愛)。+αが無く発熱のみのいわゆるsolo feverなら、気合いを入れた診察が欠かせず、血液・尿・胸部レントゲンの検査は必要になることが多いです。腎盂腎炎、胆管炎、前立腺炎、感染性心内膜炎、高齢者の肺炎など、ちょっと見逃せないものばかり。子どもさんも中耳炎から心筋炎まで幅広い。

 咳症状・喉症状・鼻症状がない時は本当に気をつけねばなりません。診断や診察の本をしっかり読んで鑑別を頭に入れておくことが結局のところ大事です。考える力も欠かせませんが、ある程度の暗記というか知識は絶対に必要。

 ということで、風邪のお話でした。最後に、いつも同じようなことを言っているかもしれませんが


風邪の典型例を知り、風邪と間違えやすい疾患を知ること。そうすることで“風邪”と“非・風邪”との境界線がよりはっきりと浮き出てくる!


 とまとめて、終わりとします。
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