2015
01.31

期間限定の波がノワールに

 コメダ珈琲店の主力商品であるシロノワール。このミニタイプに派生品が期間限定で登場していました。

 ”チョコノワール”と”キャラノワール”でして、前者が平成26年12月1日~平成27年1月14日まで、後者が平成27年1月15日~同年2月28日までの販売。名前で何となくわかるように、ミニシロノワール(390円)に、チョコレートをプラスするかキャラメルをプラスするかというもの(いずれも490円)。

 せっかくなので、食べてきました。

 まずは1月上旬にチョコノワール。ミニシロノワールも一緒に注文。

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 ミニシロノワールの方が高身長ですが、これは、チョコノワールはソフトクリームを乗せた後に苺を施しクリスマスっぽい飾りをあしらいクッキー生地を振りかけチョコレートソースを垂らすという作業を行なうからだと思います。つまり、色々やっている間にソフトクリームが少し溶けちゃうんでしょうね。

 個別に。チョコノワール。

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 本家のミニシロノワール。

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 こうして見ると、ミニシロノワールの素朴な造形美が随分と強調されますね。チョコノワールはおめかしされて、それはそれで綺麗であります。

 ではいただきますが、シロノワールはデニッシュ生地が温かいため、ボーッとしてると上のソフトクリームが溶けてしまって最終的に床上浸水のような状態になりかねません。そこで自分は、まず別のお皿にソフトクリームを移住させる儀式から始めます。

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 あ、ミニシロノワールの方のソフトクリームが倒れてしまった。

 そうした上で、スプーンでソフトクリームを掬ってデニッシュに乗せ、いただきます。そうするとあまり溶けなくて済みますよ。

 チョコノワールのデニッシュの間には、チョコレートソースが。

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 ではでは、食べてみましょう。

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 温かくて冷たくて、んまい。

 チョコレートが濃すぎず、ソフトクリームを下支えするような印象。散りばめられたクッキー生地も良いアクセントになっていますし、途中で苺の酸味で変化が付くのも素晴らしい。デニッシュ生地のバターの香りも幸せにしてくれます。

 あら美味しいわーと食べていると、なくなってしまった。次は本家本元です。

 シンプル。ソフトクリームの白さが輝いております。

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 ミニシロノワールにはメープルシロップがついてくるので、お好みでかけましょう。

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 自分はない方が好きですけどね。

 そして、チョコノワールが終了し、お次の期間限定はキャラノワール。改めて1月中旬にコメダさんへ行きました。

 こちらがキャラノワール先生。

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 キャラメルソースがかかっております。着飾ったチョコノワールに比べて、落ち着きを見せ大人びた印象。

 こちらはキャラメルソースが中にも。

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 例によってソフトクリームを安全地帯に移住させ…。

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 いただきます。

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 はっ…!




 ほろ苦でございました!!

 あらま、これは美味しゅうございますよ。甘さとほろ苦さとで、見た目だけでなく味わいも大人っぽい。

 期間限定のチョコノワールとキャラノワール。どちらも舌鼓を打つもので、さすがコメダ様。チョコノワールはソフトクリームにチョコレートソースという王道的な派生で、キャラノワールは苦みということをアクセントにした派生。どちらもベクトルが異なるので、飽きさせませんね。特にキャラノワールはほろ苦ということを知らずに食べたので、いい意味で意外性がありました。ごちそうさまです。

 そして食後はちょっと塩気のある豆菓子ですな。ポリポリ。

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2015
01.28

お薬は必要最小限に

 現在の精神医学では、統合失調症の患者さんに対してD2受容体阻害能を持つお薬のグループ”抗精神病薬”が用いられます。ただ、D2受容体への親和性が低いクロザピンが抜群の効果を示すように、これから色々と解明されていけば、患者さんによって使うお薬が変わってくるのかもしれません。これは、統合失調症という疾患が単一ではないことも示しているでしょう。精神医学は症状のまとまりを疾患として認定せざるを得ず、私たちの診断する”統合失調症”も恐らくは未だ同定されていない疾患群の集まりとして名づけられているのだと考えられます。糸川先生の提唱されている”カルボニルストレス性統合失調症”は、現在活性型ビタミンB6による治験が行なわれており、一筋の光明になる可能性がありますね。少し将来に期待しますが、抗精神病薬を用いて治療することが主流であるのはそうそう変わらないのではないかとも感じます。

 抗精神病薬の副作用に錐体外路症状というものがあります。ドパミンを抑えることで相対的にコリンが上昇してしまい、それが”手が震える、うまく歩けず小刻みになる、身体がそわそわする、表情が乏しくなる”などなどの苦痛を産みます。

 その副作用を抑えるために処方されるのが抗コリン薬なのですが、ちょっとクセモノで認知機能を落としてしまうんです。抗コリン薬は使用累積量に応じて認知症リスクが上がってしまうと言われており、抗精神病薬の副作用が出たら、やはり理想的には少しずつでも良いから抗精神病薬の量を落とすことが求められます。量が多くて副作用が出るわけですから、それを抑えるお薬を新たに追加するのではなく、量そのものを下げるのが大切。長い間服用されている患者さんなら細心の注意を払ってほんの少しずつ減らしていきます。

 抗精神病薬の量が多い時は減量することで抗コリン薬を使わなくても済みますし、仮に使っていても減量中止が可能になります。また、多すぎる抗精神病薬は二次性の陰性症状を産みます。それも認知機能低下につながるため、その辺りの配慮は実に重要。お薬は必要最低限を狙いたいものです。長年の使用であれば、受容体のアップレギュレーションも考えて本当に少しずつです。これは抗精神病薬のみならず抗コリン薬についても当てはまるでしょう。急に減らしたり止めたりするとリバウンドが生じますし、それを原疾患の悪化ととらえてしまうとお薬の量が増えることもあります。ベンゾジアゼピン系も同様に考えられますね。

 もちろん簡単には行かないことが多いのが事実。でも認知機能はとても重要であり、それを保つ/改善することで幻聴や妄想に対する心理教育も通ることがありますし、患者さんの人生においても考える力や覚えておく力が低下することは彩りが乏しくなることでもあります。だからほんのちょっとでも良いから、抗コリン薬や抗精神病薬を患者さんの同意を得てゆっくりじっくり減らしていこうというスタンスを共有したいものです。

☆参考文献
Desmarais JE, et al. Effects of discontinuing anticholinergic treatment on movement disorders, cognition and psychopathology in patients with schizophrenia. Ther Adv Psychopharmacol. 2014 Dec;4(6):257-67.
Potvin S, et al. Antipsychotic-induced parkinsonism is associated with working memory deficits in schizophrenia-spectrum disorders. Eur Arch Psychiatry Clin Neurosci. 2014 Jun 13. [Epub ahead of print]
Gray SL, et al. Cumulative Use of Strong Anticholinergics and Incident Dementia: A Prospective Cohort Study. JAMA Intern Med. 2015 Jan 26. [Epub ahead of print]
Mate KE, et al. Impact of Multiple Low-Level Anticholinergic Medications on Anticholinergic Load of Community-Dwelling Elderly With and Without Dementia. Drugs Aging. 2015 Jan 8. [Epub ahead of print]
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2015
01.24

リンドバーグ的な

Category: ★精神科生活
 年配の女性患者さんですが、長年リルマザホン(リスミー®)を1錠頓服で飲んでいるかたがいます。他の内服は一切なし。ドラッグフリーでもいけるんちゃうかなと考えて「リスミーなしにしてみても大丈夫かなと思ってるんですけど」と切り出してみたら



「やっぱりあると安心でね」



 とのこと。「お守りみたいなもんでしょうか」と聞くと「そうですねぇ」と笑います。頓服で使うだけだし、それなら無理にやめんでも良いかなー、と思って外来を続けているのであります。

 ただちょっと面白いのが、この患者さんはリスミーを間違って覚えておりまして、外来でいつも




「先生、いつものキスミーちょうだい」




 おぅ、何と官能的。。。

 可愛らしいなぁと思いながら、毎回処方という名の接吻を差し上げているのでございました。
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2015
01.20

臨床のワンフレーズ(6):こころは水風船

Category: ★精神科生活
 臨床的に、精神症状には2つの意味があります。

 1つは症状そのものということで、患者さんが忌むべきものとしての意味。症状としての不安や、症状としての抑うつなどですね。こころのつらさの表れと解釈できましょう。

 もう1つは、つらさを症状として出しているからこそ、何とかこころのバランスを保っていられるという意味。症状には肯定的な意味があるんだ、というものです。コーピングと言えますね。
コーピング

 1つの症状には陰と陽の両者が含まれます。どちらか一方に偏りすぎてもいけないので、患者さんが意識していないようなところを、医者はそれとなくお伝えします。多くの場合は症状の持つ肯定的な意味を示すことにはなりますが。

 例えば境界性パーソナリティ障害患者さんが行なう頻回の自傷行為。これは防衛機制の”行動化”に含まれ、人格構造の未熟さを示唆はします。しかし、つらい状況の中で何とか生き延びるためにやむなくなされる対処行動という理解が可能ですし、求められます。

自分「どんな時にリストカットをするのかしらね」
患者さん「なんか、どうでもいいかなって」
自分「むなしさ?」
患者さん「あ、そうそう」
自分「むなしくなると、リストカットに」
患者さん「うん」
自分「もしリストカットできなかったら、どうします?」
患者さん「え…。考えたことないな…」
自分ん「ひょっとしたら他の人に向かっちゃう?」
患者さん「そんなことしたくないけど…」
自分「そうよね」
患者さん「うん」
自分「じゃあ、○○さんは自分を傷つけることで何とかやっていってるのかしらね」
患者さん「…そっか、そうかも」
自分「他の人を傷つけずに自分を傷つけることで、折り合いを見つけて、生きてるのかなぁ」

 症状には意味があり、それを用いることで何とか生き延びている。その自傷行為を封じられると、患者さんは生き延びる術を奪われ、さらに大きなカタストロフィに向かうかも。

 ただし、全面的な肯定はもちろんできません。自傷行為の場合は、それが癖になって繰り返す度に効果が薄まります(addictionとしての自傷)。そのため、同等の効果を得るためにだんだんとエスカレートしていく傾向にあるんです。患者さんが必死に編み出したコーピングではありますが、とりあえずのものであって、長期的なところは慮ってくれません。

自分「こころって水風船みたいなものでね」
患者さん「水風船?」
自分「つらさがどんどんたまっていって、限界になるとこころが破裂しちゃう。破裂しないように、そのつらさを外に出す必要があって、あなたのリストカットはその役目を持ってるのかもしれんですね」
患者さん「…うん。そうかも」
自分「だから、今のあなたには必要なんでしょう。ないとこころが破裂してしまうから。でもね、これだけは覚えておいて。リストカットってずっとやってるとその役目が薄くなっちゃう。そうなるともっと深く切ったり、脚とか頚とかを切る人もいるんですよ」
患者さん「うん」
自分「だから、つらさを外に出す方法を他にも知っていこう。私はやっぱり身体を大事にしてほしいと思ってるんです。ゆっくり少しずつで良いから、今日はそのスタートラインね」

 自分は、行動化に対してはこの様にお話しすることがほとんどです。つらい時にどう対処するか。理想はつらさをつらさとして吐露できること。当座のところは、その時々の行動化のきっかけを探って、その時の感情をしっかりと自覚し、また代わりのコーピングを覚えていくことになります。

 治療者と患者さんとの”あいだ”、ご家族と患者さんとの”あいだ”、社会と患者さんとの”あいだ”をより良好にしていくことが精神療法の基本になるでしょう。症状の持つ意味に思いを馳せることが、治療者には求めらると思います。”こころは水風船”はそのために用いられる簡単な比喩になりましょう。
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2015
01.14

みんな裏の顔を持っている

 ”さくさくパンダ”というお菓子があります。ビスケット生地にパンダの顔をしたチョコレートが乗っているというもの。

 パンダの顔に色んな種類があって、可愛らしいです。

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 しかし、裏のビスケット生地。じーっと見つめていると…

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 無表情でどこを見ているとも知れない眼、半開きの口…。なんとも不安になってきませんかね。。。

 あ、なんかチョコ溶けてた。

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 やっぱり無表情で怖い…。

この怖さというか輪郭の定まらない不安感は何だろうと思っていたら、たぶんコレをイメージしたんですな。

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 ムンク先生の”叫び”的な感じ。。。

 あ、なんか字義通り裏表が反対にくっついてしまっているさくさくパンダ先生も発見。製造過程でのミスは起こりうるものですな。

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2015
01.10

15分間の問診技法

Category: ★本のお話
 今回は本の紹介。

 プライマリケアでどのように精神療法をすればいいのか、というのは皆さん悩んでいることかもしれません。ただ、精神科医も診察時間がかなり限られている(5分とか…)ので、そんなに御大層な精神療法を行なっているわけでは決してないんじゃないか?と個人的に思っています。精神科医がそんなこと言っちゃアカンでしょ、と思われるでしょうけど、精神療法ってデカデカと看板かかげるものではなくて、日常的なちょっとしたことが基本だと感じます。表情のつくりとか、声のトーンとか、目線とか、話しても難しい内容は書いて伝えるとか、そういう場の雰囲気ってすごく大事。

 姿勢として最も大切なのが”支持”というやつです。「支持とか共感くらいやってるよ! そんなことより認知行動療法とかでしょ」と思うかもしれませんが、磨き抜かれた支持というのはどんな治療法にも引けを取りません(たぶん)。あなたのやっている支持は本当に”支持”ですか? と問われると自分は「うーん…」と唸ってしまって即答できません。傾聴したと思っていても、相手は傾聴されたと感じないかもしれませんし、そうなるとそれは傾聴ではなくなります。

 支持は「分かること」「分からないこと」を出来るだけハッキリさせる作業がとても重要になってきます。患者さんの言語化できないシニフィエの部分をどれだけ医療者が推し量れるか。そしてそれを伝えてみて患者さんの”腑に落ちる”かを確かめる。そんなことを繰り返していき、「あぁ、そうだったのね。それならそう思うのも無理ないわねぇ」としみじみこちらも思ってお話をする。それが支持だと思います。ぴょろっと聞いただけで「そうですよね」「分かります」とか言って、それを支持や共感と勘違いしている医療者は結構多いのではないでしょうか。講習会に出て練習したくらいの支持や共感は、終末期患者さんをかえって抑うつにしてしまうというデータもあるくらい(Curtis JR, et al. Effect of communication skills training for residents and nurse practitioners on quality of communication with patients with serious illness: a randomized trial. JAMA. 2013 Dec 4;310(21):2271-81.)。見せかけでは人は傷つきます。

 そんな支持という基本的だけれどもデリケートで難しいことを、BATHE techniqueという方法で教えてくれるのがこの本。

15分間の問診技法―日常診療に活かすサイコセラピー15分間の問診技法―日常診療に活かすサイコセラピー
(2001/03)
玉田 太朗、 他

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 医学書院からずいぶん前に出た『15分間の問診技法』です。

 学生時代に、生坂政臣先生のケアネットDVDを見ていてそれで紹介されていました。さっそく買って読んで「ほー」と思い、研修医時代に読みなおして「おー」と思い、精神科になってからも読み返して「おぉぉぉ」と思い。ヴァイラントの防衛機制まで実は書いていたのね、と気づきました。ただしもう10年以上前の本で、絶版になっているようです。古本屋さんとかAmazonのマーケットプレイスで買うことが出来ますが…。

 これは訳書でして、もともとは『The Fifteen Minute Hour』という英語の本。今のところ2008年の第4版が最新です。

The Fifteen Minute Hour: Therapeutic Talk in Primary CareThe Fifteen Minute Hour: Therapeutic Talk in Primary Care
(2008/11)
Marian R. Stuart、Joseph A., III, M.D. Lieberman 他

商品詳細を見る

 2015年5月に第5版が出るようですが、この第4版も買っておいたので読んでみました(実は買ってからしばらくは本棚の肥やしになっていました…)。英語の本を読むのは精神科になってからめっきり少なくなってしまい、ところどころ読みづらかったですが、雰囲気は分かりやすいものです。根幹の部分は不変なので和訳されたものを探して読んでみても良いかもしれません。ただ、第4版の方が顕著ではありますが、どちらも文字でゴリ押しする傾向にあります。図表が一切なく、文字文字文字。同じ内容の繰り返しも結構あり、もうすこし字数を減らしてクリアカットに出来るんじゃないかな、とも思います。なので特に最初の部分は流し読みしていっても良いかと。ま、その流し読みの結果、自分はヴァイラント先生の防衛機制が書かれてあることをすっかり忘れていたんですが…。

 さて、この本で出ているBATHE techniqueですが、これは

・Background
・Affect
・Trouble
・Handling
・Empathy

 の頭文字をとったものです。Bは生活で何が起こっているかを聞き出すもので"What is going on in your life?"と問います。Aは起こっていることに対する感じ方を聞きまして"How do you feel about that?"です。Tは一番困っていることに焦点化して"What troubles you the most?"となります。Hはそれにどう対処しているかを聞くので"How are you handling that?"です。そして最後にねぎらいの"That must be very difficult."で締めます。

 ここで大事なのは、Eを最後に持ってくることだと自分は思っています。本でも"It is crucial that practitioners finish the BATHE sequence with a statement that demonstrates understanding and empathy."述べられていますが、最後にEmpathy(共感)を持ってくることで、このEは同情や憐憫という”見せかけの共感”にならないようにしているんです(と自分は理解しています)。患者さんの言うことに「わかります」とか「つらいですね」とただ返すだけでは、それは”分かったふり”になり、患者さんの中には逆に怒るかたもいます。状況が深刻であればあるほど、安っぽい共感モドキは患者さんと医療者との距離をつくってしまいます。このBATHE techniqueの優れているのは、BATHを以てまずしっかりと聞くこと、そしてそれを理解した上でEの「それは大変だったと思います」と声をかけるという構えになっているからでしょう。それを行なうことで、完全に患者さんの感情を追体験するのは難しいけれども論理的に認めることができるようになります。

 よって、このBATHE techniqueのEmpathyは共感というよりも、本文中にもあるようにValidation(認証)に近いものだと思います。これが押し付けがましくなく自然に患者さんの状態を受け入れられる(患者さんも自身を受け入れられる)下地になります。他にも問題解決のための3ステップや、難しい患者さんへの対応、第4版ではポジティブ心理学を援用したpositive BATHEなども記載されており、勉強になりますよ(positive BATHEはそんなにグッと来ませんでしたが…)。

 この本は文字が多くて図表がなくて単調な感じがする、という欠点はあるものの、内容は実にすばらしいです。自分もたまに読み返していますし、プライマリケアだけでなく若手の精神科医にも役立つような気がします。一般的な精神科医が行なう診察もこのBATHE techniqueの変法なんじゃないかしら。2015年に最新版が出版されるし、どこかで誰か和訳を改めて出してくれませんか? と切望してみる。

 あ、このブログではたまに本の紹介をしています。ただ、さびれたブログなので紹介しても売れ行きが良くなるわけでもなく著者の先生の懐は暖かくならないんですが…(アフィリエイトもしていませんよ)。そんなことは抜きにして個人的にこれは良いなぁと思ったものを記事にしております。
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2015
01.08

オヤシラズを抜いてもらいました

 この前(と言っても年が変わる前ですが)、痛くてどうしようもなかったオヤシラズさんを歯医者さんで抜いてもらいましたが


未知の音がたくさん鳴りました


 ゴリゴリッバキョバキョッという、何とも「あ、なんかえらいことになってそう…」的な。局所麻酔がかかっているので痛みはその時感じないんですが、音を聞くだけで



これはアカンやつや



 と思いましたよ…。いやー、終わった後はぐったり。

 やっぱり少し頬が腫れて熱っぽくて口開けると痛くって。翌日が午前午後と外来だったんです…。患者さんからは「何? 先生聞こえづらいわ」って言われちゃうし。十分に口が開かないから思うように発音が…。そんな日の前日に歯を抜くなと言われそうですが、その日しか病院休めなかったんですよ…。しくしく。

し か し

 意外にも、外来の看護師さんにこの腫れが好評!!




先生ったらいつもガリガリで頬がこけてたから、腫れた方が健康的で良いわ~




 とのこと。なるほど、そういう考え方もあるか! 看護師さんにリフレーミングという精神療法をしてもらいましたよ。とはいえ顔半分で非対称なんですけどね…。

 3日後にはだいぶ良い感じになってきたんですが、抜歯する時に粘膜が傷ついたみたいで、そこが大きな口内炎になりました…。それはそれで痛いし顔半分が熱っぽくなるし。いやー、歯を抜くって大変ですね。
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2015
01.06

まずは減らしてみたら?

 ミルタザピン(レメロン®/リフレックス®)を販売している製薬会社のMRさんから

MRさん「先生、こんな論文があるんですけどいかがでしょうか」

 どれどれ、とえらそうに眺めてみる。

Ozmenler NK, et al. Mirtazapine augmentation in depressed patients with sexual dysfunction due to selective serotonin reuptake inhibitors. Hum Psychopharmacol. 2008 Jun;23(4):321-6.

 抗うつ薬、特に再取り込み阻害薬の副作用に”性機能障害”があります。この論文はSSRI服用で性機能障害を認めたうつ病寛解患者さんにミルタザピンをプラスして改善するかどうかを見ています。

 SSRI治療により性機能障害を認めたうつ病寛解患者さん49人(男性11人、女性38人)が対象です。SSRIの投与はそのままで、ミルタザピンを最初の1週間は15mg/day、その後は30mg/dayで維持。16人がdrop outしており、そのうち4人が食欲増進や体重増加や過鎮静によっています。結局33人(男性8人、女性25人)しか試験完了出来なかったんですね…。

 結果、ミルタザピン投与4週から性機能障害は有意に改善したそうです。試験終了時には半分近くの48.5%(16人)で性機能障害は無くなったとのこと。効果に性差はなし。

 ということでした。抗うつ薬による性機能障害の詳細なメカニズムは不明とされていますが、5-HT2A受容体の刺激によるところがあるのではないか、とされています。ミルタザピンは5-HT2A受容体を阻害するので、理論上は性機能障害が生じづらく、確かに臨床でも再取り込み阻害薬に比べてすごく少ないです。SSRIやSNRIの中ではパロキセチン(パキシル®)やサートラリン(ジェイゾロフト®)が性機能障害を特に起こしやすいですね。ただ、ミルタザピンは食欲がすごく出ちゃうのと眠くなっちゃうのが副作用としてメジャーです(逆手に取って食欲が無かったり眠れなかったりする患者さんに使うことが多いですが)。

MRさん「先生、どうでしょう?」

 オープンラベルパイロット試験か、むむむ。患者さんの人数が少ないっていうのもありますが、そもそも

自分「寛解してるんなら抗うつ薬を減らすのが大事だと思いますけど」
MRさん「…あ、そ、そうですね。初めて言われました…」

 いやいやいや、大事でしょ、減量するの!

 うつ病は寛解後、寛解した時の抗うつ薬の量を6ヶ月くらい(4-9ヶ月)維持したのちに漸減中止とします。せっかく寛解してくれてるんだから、減らしましょう! そうしたら副作用も軽くなってくれるし。最大のチャンスですよこれは。

 寛解してるのにミルタザピンを上乗せしてしまうと、漸減中止でちょっと面倒でございます。患者さんが望むなら話は別ですが、自分としては「もうちょっとでお薬減らせるし飲まなくても良くなりますよ」とお伝えはしたいところ。必要な情報をすべて示して、その上で患者さんと一緒に考えて決めていくというのが大事でしょう。自分は減量中止を推しますが…。うつ病患者さんが良くなってお薬も中止できて通院が終了する時の晴れやかな表情はこちらのこころも潤してくれますし、こちらも何とか寛解に持ち込んでいく努力をすべきです。なかなか難しい時もありますが…。

 一応コクランを調べてみましたが、質の高い試験が乏しいと前置きした上で、男性にはシルデナフィルやタダラフィルの投与、女性にはブプロピオン150mg/day bidの増強が効果的かもしれないとしています(Taylor MJ, et al. Strategies for managing sexual dysfunction induced by antidepressant medication. Cochrane Database Syst Rev. 2013 May 31;5:CD003382.)。これは寛解したという条件付きではありませんでした。
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2015
01.03

臨床のワンフレーズ(5):つらさの代名詞

Category: ★精神科生活
 統合失調症の患者さんは幻聴に苦しむことが多いです。被害的な幻聴が聞こえてくると、それをのほほんと聞いていられないでしょう。

患者さん「幻聴聞こえて苦しいんだわぁ」
自分「そうでしたかぁ。うーん」
患者さん「聞こえちゃって聞こえちゃって」
自分「うーん。どんな時に聞こえるかしら、幻聴さん」
患者さん「どんな時って、家にいる時」
自分「今は?」
患者さん「聞こえない」
自分「家にいると必ず?」
患者さん「必ずってわけでもないけど」
自分「○○さん、ひょっとして眠れん日が少し続いたり、あとそういえばデイケアで最近△△さんとケンカしましたでしょ。あれ以来ちょと幻聴さん強くなってません?」
患者さん「あー、そうだなぁ。ケンカしてから眠れんし」
自分「仲直りしました?」
患者さん「まだしとらん」
自分「そこかなぁと思いますよ。○○さんの幻聴さんって、つらさの代名詞みたいなところがある感じ」
患者さん「そうかぁ」
自分「つらさとか寂しさとか、そういうのがあると幻聴さんがコンニチハと」
患者さん「そうだなぁ」
自分「だからサインだと思うのよね。あなた今こころが苦しいのよって知らせてくれる様な気がする」
患者さん「そうかぁ」
自分「幻聴さんは性格きついもんで嫌なこと言ってきますけど、それを活かしていくと少し生活しやすくなるかも」
患者さん「分かったわ」
自分「意外と幻聴さんヒント出してくれとるかもしれんでね」
患者さん「おー、そうだなぁ」
自分「となると、まずは△△さんと仲直りですね」
患者さん「うん、そうだな」

 残念ながら現代の精神医学では、全ての患者さんの幻聴をゼロにすることはできません(ゼロにするとかえって恐怖が強くなるという患者さんもいます)。どうしても残ってしまう患者さんに対して何ができるのか。それを考えると、幻聴に対して肯定的な意味付けをすることは1つの方法だと思います。この図のように、幻聴は”不安・不眠・過労・孤立”という4つの要素と関わっていまして、この要素が強くなると幻聴も憎悪します。そうすると更に4要素も強くなり…。自分は幻聴に限らずどんな症状もこの要素が大事だと思いますが、とりわけ幻聴については難しく考えずこの4つに絞って患者さんとお話しして、幻聴を”いなす”もしくは”活かす”ことを考えていきます。

4要素

 患者さんには、この時「幻聴さんは”つらさの代名詞”かもしれませんよ」とお伝えしてみます。断定せずに”かもしれない”くらいにとどめておきますが。具体例を挙げて、あとはこの4つの要素との関わりを絵に描いて示してみても良いでしょう。そこで、幻聴はその要素を知らせてくれるサインという風に自分はとらえなおして、患者さんにお話ししてみることが多いです。真剣になり過ぎず、「幻聴さんってホント性格きついんだけどねぇ、意外とこういうとこ鋭く教えてくれるんじゃないかしら」という感じでゆるーくふわっと。大きな声では言えませんが、”幻聴のツンデレ化”を内心ひっそりこっそり目指してます。幻聴を活かして生きることができれば、それは症状という枠からはずれてくれるんじゃないか。そう願いながらの診察。

 どんな症状も肯定的な意味が付与されれば、それと敵対せずに見つめながらやっていけそうな気もしています。でもなかなか難しいのが事実…。それを一人一人の患者さんで探求するのが精神医学の醍醐味なのかもしれませんね。

 ちなみに医者も幻聴を経験します。当直中…

自分「お。救急車来ましたよー」
看護師さん「え?」
自分「だってサイレン鳴ってますよ。迎えに行きますわ」

-----外に出る-----

自分「あれ? いない…。おっかしーなぁ」
看護師さん「先生、聞こえてないですって。大丈夫?」

 とか

自分「なんかありました?」
看護師さん「先生、どうしたんですかいきなり」
自分「あれ? さっき電話かけてきませんでした?」
看護師さん「かけてませんよ」
自分「え? おっかしーなぁ。PHS鳴ってすぐ切れたから…」
看護師さん「履歴見たら分かるじゃないですか」
自分「あ、そっか」

-----見る-----

自分「なかった…」
看護師さん「誰も鳴らしてないですよ。今患者さんいないから少し寝てきてください」

 なんてのが自分は研修医時代に結構ありました。。。精神科当直では、病院にもよるんでしょうけどめちゃくちゃ忙しいことはあんまりなく、救急車がひっきりなしに来るということもありません。でもたまに電話が鳴ったかもという感覚にはなりますけど。
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2015
01.01

新たな年を

 あけましておめでとうございます!

 今年は、4月に今勤めている病院を辞めて、しばらく本格的な臨床とは離れた生活になります。もちろんそれだと生計が成り立たないのでバイトで何処かの病院で働きますが、ちょっと精神的体力的な休養も必要になったので…。

 それはそうと、平成26年12月31日はお酒をいただこうと思い、それに合う食べ物を買ったり作ったりしました。

 まずは、名古屋といえば手羽先の唐揚げ。2大巨頭として”風来坊”と”世界の山ちゃん”のものがあります。どちらも有名な料理屋さん(居酒屋さん?)ですが、手羽先の唐揚げに関しては風来坊が先駆者。お酒にこれらはピッタリ。自宅用に買うこともできるので、今回は名古屋駅で両者をお買い上げ。

 ちなみに、風来坊では店頭で作っております。すごい数の手羽先ですね…。

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 自宅にて。

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 こっちは山ちゃん。胡椒が多め。

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 こっちが風来坊。胡麻が振りかかってます。

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 トースターで温めて。

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 さて、お酒に合うお料理も作りましょう。

 鶏の心臓を煮ますよ。

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 心臓や。冠動脈が見える。

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 半分に切って、クロットを洗い流します。

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 ニワトリさんは二心房二心室で、ヒトと同じ。心臓は左と右に分かれていて、肺からの血液を受け入れるのが左心房で、その血液を左心室に送って、その左心室が「よいしょお!」っと全身に送り出します。全身からの血液を受け入れるのが右心房で、その血液を右心室に送って、その右心室が「そい!」っと肺に送り出します。

 そんなこんなで、左心室と右心室とでは筋肉の厚さが全然違います。全身に送るのは本当に大変で、一方肺に送るのはそんなにつらくない。それを如実に表しているのがこの画像。

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 分かりますか? 右心室の壁がペラッペラですよね。一方、左心室の壁は厚い。心室中隔というのは、左心室と右心室とを分ける仕切り。

 人間でもこの厚みの違いはありまして、それは心電図にも表れてきます。電気的に右心室は紙のように薄いと考えると、V1-6のQRS波の流れがイメージしやすくなります。

 爪楊枝を通しているのは大動脈。左心室からの血液が全身を流れる時の管でして、この血管は大きくて、壁もしっかりしてますよ。

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 角度を変えて。血管の大きさや壁の厚さが分かりますでしょ。

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 記事の流れがどこか変わってきたので、本流に戻しましょう。クロットを流した心臓を、おつゆをつくる間はお酒に浸けておきます。

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 お醤油、おだし、みりん、お酒を適当に。でもって荒く切った生姜も。火はすぐ通ります(灰汁はすくっておきましょう)。

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 一緒に煮物も作りました。里芋、人参、蓮根、椎茸、筍、鶏肉、厚揚げ。こっちはちょっとお砂糖を入れて甘めに。

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 出来上がり。こっち心臓。

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 こっち煮物。絹さやがあれば色合いがぐっと良くなっていましたね。

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 お料理が揃ったところで、お酒は芋焼酎! ”一刻者”のお湯割りです。お酒に弱いのでお湯の方が圧倒的に多いんですけどね…。

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 お料理もいただきます。風来坊の手羽先をパクリ。

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 ちょっと辛いなかにも甘みあり。では山ちゃんの手羽先は?

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 お、スパイシーですな。

 辛さで押すのが山ちゃんで、ちょっと甘みのあるタレを使っているのが風来坊。個人的には風来坊の方が落ち着いた感じ。辛いものが好きなら山ちゃんですね、うん。

 山ちゃんの箱には食べ方が書いてありました。みなさんもこれで手羽先を食べるのが得意になるかも?

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でもポイントは手が汚れるのを厭わないという決意でしょう。

 心臓も美味しい。この弾力が良いですね。

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 煮物は厚揚げ。おつゆの甘さが染み込んでてホッとします。

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 テレビは”吉田類の年またぎ酒場放浪記”でございました。一緒にお酒を。

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 蛇足ですが、今は”年の初めはさだまさし”を観てますよ。

 でもって、年越しそばは、糖質ゼロ麺を使って、年越しゼロ麺にしました(温泉卵入り)。今回は、みりんを多めにしておつゆを甘めに。

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 いただきます。

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 温泉卵は最後に!

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 至福。食べ終わって平成26年から平成27年への切り替えを迎えました。

 では、今年もよろしくお願いします。
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