2014
08.31

チックの治療を考える

Category: ★精神科生活
 チックは子ども時代に経験する方が結構いまして、多くの場合治療しなくても過ぎ去っていきます。でも日常生活を邪魔する様な状態が続くと、それはやはり治療したほうが良かろう、ということに。運動と音声との2種類がありますが、両方組み合わさったものが長く続くとトゥレット症候群と言われます(運動と音声とが同時期に存在するとは限りません)。

 原因としては、遺伝素因(生来の”なりやすさ”)に何らかのストレスが組み合わさることが一般には言われておりますね。ただ、子どもの場合は想定外のことがストレスになることもあるため、環境的な原因を明らかにできない時もあります。基本的には、何らかの心的な負荷に対する患者さんなりの無意識の対処行動、という視線。

 病態の1つに、基底核部でのドパミン活性の低下とそれによるドパミン受容体の過感受性が挙げられているそうです。よって、受容体の過感受性を目標に少量の抗精神病薬を使用したり、逆ではありますが、ドパミン活性低下を考えてl-dopaなどの抗パーキンソン病薬を使用することもあります。ロピニロール(レキップ®)というドパミンアゴニストがトゥレット症候群に効いたという小規模な試験もありました(Anca MH, et al. Ropinirole in Gilles de la Tourette syndrome. Neurology. 2004 May 11;62(9):1626-7.)。そういうのを考えると、ドパミンパーシャルアゴニストのアリピプラゾール(エビリファイ®)は理に適っていると考えられますし、有用とする報告も結構あります(Yoo HK, et al A multicenter, randomized, double-blind, placebo-controlled study of aripiprazole in children and adolescents with Tourette's disorder. J Clin Psychiatry. 2013 Aug;74(8):e772-80.  Ghanizadeh A. Systemic review of aripiprazole for the treatment of children and adolescents with tic disorders. Neurosciences (Riyadh). 2012 Jul;17(3):200-4.など)。運動が優位であり衝動性や攻撃性を何とかしたいなら、αアゴニストのクロニジン(カタプレス®)も使用されますね。

 自分は一般的な精神科医でして、もともと子どもを診ること自体が少なくてですね、チックの治療を日常的に行なってはいません。ただ、偶然にも遭遇することがちょろっとありまして、そういう場合は職業柄というかなんというか、まず漢方薬でどうにかならんかなと思って対処してます。ストレスや緊張を和らげようと考えるので、それを目指した生薬が含まれる漢方を。よって、ほぼ盲目的(?)に抑肝散加陳皮半夏(2-4包)と甘麦大棗湯(2包)を合わせて出します。抑肝散加陳皮半夏には釣藤鈎と柴胡という生薬が含まれているのが特徴で、それらには軽い鎮静作用があります(釣藤鈎は不眠に最適)。甘麦大棗湯というのは、大雑把に表現すると脳の電気的興奮を抑える漢方。昔は柴胡桂枝湯などと合わせて”てんかん”にも使ったんですよ。ただ、甘草の量が多いので偽性アルドステロン症に注意です。

 これで様子を見て頑張っているとだんだんと良くなる。ま、自然経過なのかもしれませんが…。しかし、中には待てど暮らせど改善しない患者さんもおりまして、そういう時は、柴胡をもう少し増やして更に芍薬を付加する方法を採ります。芍薬も柴胡や甘草と同様に鎮静作用を持つため、例えば抑肝散(芍薬が入ってません)を効かせたいときには芍薬を加えるというのが漢方のコツとしてもあります。ということで、自分は抑肝散加陳皮半夏(2-4包)に四逆散(2-4包)を合わせます。四逆散は柴胡の他に枳実と芍薬と甘草が含まれる漢方で、生薬を見ても緊張をほぐすために作られている感じ。陰虚と考えられる患者さんなら、抑肝散加陳皮半夏に六味丸を加える事も方法の1つでしょう。

 運動優位なら、興奮を鎮める黄芩の含まれる大柴胡湯(1-4包)や、ちょっと衝動性が強いようなら黄連と黄芩の入る黄連解毒湯(1-2包)などを抑肝散加陳皮半夏に加えます。黄連解毒湯を使いたい患者さんで便秘気味なら、三黄瀉心湯(1-2包)に変えます。音声チックなら咽頭の気滞と考えて半夏厚朴湯(2-4包)を抑肝散加陳皮半夏に併せることも。自分はトゥレット症候群を診たことはありませんが、慢性化しているのであれば駆瘀血剤を使うことも選択肢だろうなと思います。でも漢方がなかなか効かないなら、諦めて抗精神病薬に移った方が良いんじゃないかなと思います。自分も四逆散合抑肝散加陳皮半夏で全然ダメだった患者さんがアリピプラゾール1.5mg/dayですっと良くなったことも経験しました。漢方にこだわり過ぎも良くない。

 後は、非薬物療法としてフランクル的な”逆説志向”を組み合わせることでしょうか。例えば音声チックなら「もっと自分から声を出してごらんなさい。みんなに聞かせてあげようというくらいの気持ちでいた方が良い」とお伝え。抑えよう抑えようとすると更に悪化することもあるので、ここはひとつ逆転の発想で。




註:今回挙げた方剤の組み合わせを見て「なんだこりゃ…」と思う漢方の先生もいらっしゃるかもしれません。特に黄連解毒湯と抑肝散加陳皮半夏を合わせるというのは「??」と思われるかもしれません。が、それは、自分が日本漢方の言う”実証・虚証”という考え方をしていないためだと思います。陰陽・寒熱・燥潤・気血・風湿を見て、後は生薬の作用から選ぶことをしています。先の併用ですと、抑肝散加陳皮半夏はいわゆる”虚証”用の漢方で、黄連解毒湯は”実証”用の漢方。正反対ですよね。でも生薬で考えると、陳皮を予め入れておくことで、黄連や黄芩の冷やしすぎる作用をマイルドにしているという認識になります。
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2014
08.29

生兵法になるのだろうか…。

Category: ★精神科生活
Curtis JR, et al. Effect of communication skills training for residents and nurse practitioners on quality of communication with patients with serious illness: a randomized trial. JAMA. 2013 Dec 4;310(21):2271-81.

 終末期における患者さんとのお話は、精神科医もドキドキもんです。前にいた病院ではリエゾン活動を精神科が行なっており、自分も少し参加したことがあります。でもどんどん病気が進行していくと、かける言葉も見つかりません。患者さんには本当に申し訳なかったのですが、病室に向かうのが苦しく感じたことも多々あります。どうすればいいんだろう、、、と思ってしまいますし、そういう時は、患者さんも同じく苦しんで不安な気持ちなんだろうな…と感じもします。

 そういったコミュニケーションの技術を良くせんがため、講習会が行なわれていますね。皆さん困ってるんだなぁというのがよく分かります。しかし、それを受けることは医療者側の不安を軽減させはするものの、果たして患者さんのために本当になっているのか? 独りよがりになってはいないか?

 上記の論文は、レジデントと看護師さんにコミュニケーションの訓練をしてケアの質がどう変わるかを見ていますが、結果はなんとケアの質は改善せず、患者さんのうつ症状がむしろ悪化してしまったそうです。。。


衝撃


 付け焼き刃じゃいかんのだ、やはり。。。

 患者さん、特に重篤な身体疾患を抱えているかたがたは自身のつらさを「わかってほしい」と思い、そして同時に「健康なお前たちにわかられてたまるか!」という、両方の気持ちを持つことが多いです。そういった患者さんに接する時は当然気を遣いますし、こちらの言葉が変に受け取られないように細心の注意を払います。

 コミュニケーションの講習会では「とりあえず共感だぁ」的なことが多いような気がします。自分も緩和ケア研修会を受けたことがありますが、共感が大事と言われたような記憶。しかし、上述の患者さんの心境を考えると


安っぽい共感は害をなす


 と考えていいのではないでしょうか。がんで苦しんでいる患者さんに対して「つらいですね」とか「わかります」とか、それって本当にそう思えていますか?

 長年診て患者さんの人生を知り抜いてる主治医が「そうか、それはつらかったね」と言うのは恐らく絶大なる効果を発揮します。これが真の共感なのかもしれません。一方、コミュケーションの講習会で学ぶ共感というのは、それを行なう時期を間違えると憐憫や同情になってしまう可能性が高いのではないでしょうか。

 講習会なんかでは学べない、患者さんの人生背景。それを日々の臨床でしっかりと聞いてきた歴史があってこその共感かもしれません。それがない状態では共感は共感たりえない。それだけ難しいものだと思います。

 私たちができるのは「今のあなたの状況であれば、そのように思うのも無理はないですね」という、やや論理的な認証というもの。ただ、それも”今のあなたの状況”というのをしっかりと患者さんに語ってもらってからという但し書きが付きます。

 ぱっぱっと共感っぽいことをするのではなく、患者さんと一緒に苦しんだり悩んだり、時には長い沈黙もありましょう。そういった姿のほうがひょっとしたら良いのかもしれませんね。

 コミュニケーションは難しい。特に重篤な身体疾患を持った患者さんとのそれは講習会などではカバーできないものなのでしょう。でも難しいからこそ、医療者には”講習会に頼り不安を軽くしたい”という思いが芽生えてくる。そんな気がしています。
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2014
08.26

淡々とホテルの朝食画像を貼っていく

 1週間に渡った産業医研修会。宿泊したホテルは”ステーションホテル小倉”というところ。朝ごはんが6時30分からで、7時15分には会場行きのバスに乗っていなくてはいけません。せっかくのビュッフェスタイルでしたがなかなかゆったりと食べることが出来ず。。。

 ビュッフェの朝食では、自分はほとんど毎回ごはんでして、パンは選びません。そしていつも普段よりも多くとって最後に苦しくなるというパターン…。それでもお昼にはお腹が空くから不思議なもんです。さ、このホテルでの1週間の朝食をアップしてみましょう。

 宿泊後最初の朝食。

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 お、さすが九州。明太子!

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 定番の焼鮭もありますな。ホテルの朝食と言ったら焼鮭。

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 焼鮭を食べると「あぁ、ホテルに泊まってるなぁ」という実感が湧く不思議。他にはシラスやら温泉卵やら玉子焼きやらをいただきました。飲み物もトマトジュースです。オレンジジュースとかグレープフルーツジュースとか牛乳とか、そんなのをピッチャーで注ぐのがホテルっぽい。

 さて2日め。

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 お、これは。

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 ”じんだ煮”というそうです。ぬか味噌を使った煮魚。そんなにぬかの味はしませんでしたがやさしい感じの味わい。カドが取れるんでしょうか。

 他には、早くも洋食に進出しスクランブルエッグ。ホテルのスクランブルエッグって独特なとろーり感があります。そしてお味噌汁ではなくてミネストローネ。

 3日め。

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 冷奴キタ!

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 生姜が取り放題なのが嬉しいところ。

 後はポテトグラタンが初出でしょうか。飲み物はこの日からほうじ茶に変わってます。

 4日め。

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 そろそろ目新しさが無くなってきたでしょうか。。。とは言え明太子は皆勤賞。ちなみに向かって左上は大根おろしです。

 5日め。

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 納豆さんのお出まし。贅沢にも明太子を入れて食べました。家じゃそんなことしませんな。というか、我が家は「納豆は夜食べるもの」という認識でいたので、初めてホテルで朝食に納豆が出てきた時はそりゃあびっくりしましたよ…。

 あと、お魚は鰆の西京漬けでした。美味しい。

 最終日。

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 なんと”朝カレー”です。ちょっと胃に響くんじゃないだろうか…。もちろん香辛料がそんなに効いておらずマイルドでしたが。そんなカレーでも明太子を持ってくるという同一性保持の傾向もちらりと見えています。

 ということで、朝ごはん特集でした。ホテルの朝食は何とも良いですね。1週間もいると一巡するのが分かってしまいますが、やっぱり楽しい。

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2014
08.23

おみやげトライアル

 今回は小倉で買ったおみやげの紹介です。

 医局とか看護師さんへのおみやげに何が良いか? 九州と言ったら”博多通りもん”なのですが、それは少し前に九州に行った先生が買ってきてしまったので、同じものだと芸がない。ということで、産業医研修会は1週間と長いので色々買って吟味してみることにしました。

 最初は夏期限定の”茶ひよ子”です。

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 ひよ子はもともと九州のもの。東京オリンピックを境に東京でも積極的に販売され、東京銘菓にもなってしまったもの。今回は試しに3つ(3羽?)入りのものを。

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 手乗りひよ子。

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 パカっと行きましょう。

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 いつもは白あんですが、鮮やかな緑。でも味はほのかにお茶の雰囲気があるくらい。もうちょっと濃くてもいいなぁ。あ、九州に行く前に爪を切り忘れたため、画像に写り込んでる自分の指はちょっと爪が長いです…。

 雲海にたたずむひよ子ちゃん?

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 次は、福岡駅と小倉駅でしか販売していないらしい”ひよ子の雛子餅”です。

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 袋は市松模様で和な雰囲気ですね。

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 容器はひよ子型。可愛らしい。

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 中に八女茶蜜が入っています。

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 しかし、これもお茶の香りや味がほのか程度…。うーん、今回のひよ子シリーズはちょっとなぁ。

 さて、今度は”博多きゃらまん”です。

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 ちょっとハイカラ風。

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 見た目は”通りもん”とそっくりですな。。。ちなみに”通りもん”をつくっている会社とは別のところが出してます。

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 食べてみましょう。

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 白あんにキャラメルが足されていて、かつ刻んだアーモンドの食感も。ちょっと甘いかな? でもキャラメルの雰囲気があって美味しいですね。自分は”通りもん”の方が良いかしら。

 さ、次々まいりますよ。出てきたのは”とっとーと”です。

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 こじゃれた包装ですな。

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 ”とっとーと”は”取っておいている”という意味らしいです。これが医局へのおみやげに結局なったんですが、その決め手がこの紙に書かれてある


ひと「と」ひとのあいだ


 というセリフ。これって実に精神科っぽい。精神病理学者の木村敏先生が提唱する”あいだ”論に通じるものがありますよ。まさかおみやげに精神医学を見るとは思わなんだ。ということで、味を確かめる前に「あ、これ医局のおみやげにしよ」と決めたのでした。

 ご尊顔。

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 割面はこちら。

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 どんな感じかというと、”平べったいスイートポテト”です。さつまいもの味がしっかりとあって、美味しい。精神医学的なセリフがなくても十分に医局へのおみやげにしたいと思わせるレベル。当たりですね。

 今度は”茶露”というもの。

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 シックな感じ。

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 おや、お顔は緑色の”通りもん”ですなぁ…。クロレラ並みの色合いです。

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 食べてみると…?

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 こ、これは





んまい!( ゚д゚)





 何が美味しいって、甘くないんです。いや、これまでちょっと甘いもんばっかりだったので、この甘くなさが実に新鮮。しかもお茶の味がしっかりしていてびっくり。”茶ひよ子”や”雛子餅”にちょっとがっかりしていたんですが、その反動がここに来たか! というくらいにお茶。お茶を食べているような気分すらします。こりゃ美味しいなぁ。ちなみに、外来看護のおみやげはコレになりました。でも、この茶露を食べるまで甘いものが連続していたというのが公平さを欠いているかもしれませんね。

 定番登場、”博多通りもん”です。ま、やっぱり食べとかないとね。

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 お、安定感のありそうな。

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 何回も見ているような形ですな。

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 ぱくっと。

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 うむ。やはりバターの香りが良いですねぇ。甘さはちょっと強めですが、ミルク感があってお茶やブラックコーヒーに合います。手堅い王道的な一品。

 カルビーが”じゃがポックル”の成功に続き二匹目のドジョウを狙った(?)”じゃがほっこり”でございます。

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 6袋入り。

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 開けてみると…。

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 少なっ!

 うーん。包装をもっと小さくしても良いんじゃなかろうか。第一印象がちょっとね。

 しかし、厚切りですな。

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 パリっとという感じではなくて、サクッとした歯ごたえ。おいも感はしっかりとあります。”じゃがポックル”よりもしょっぱさがマイルドになっているでしょうか。食感は”じゃがポックル”の方が良いと思います。

 さて、最後は帰りの日に買って家で食べた”ざびえる”です。なかなか格好良い箱ですね。

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 開けると、金(ラムレーズン入り)が2個と銀(白あん)が3個入っていました。金と銀なんてポケモンみたいですな。

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 皮は焼き色が良い感じ(自宅に帰った後なので、爪を切ってます)。

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 金の中はこう。少しだけ刻んだラムレーズンが入ってます。

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 んー。ラム酒の香りや味わいは乏しいような…。

 銀の中はこんな感じ。色合いは明らかに異なりますが。

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 味はほとんど同じなんですよねぇ。ま、自分は鼻が悪いので微妙な違いは分からないんですが、パッと分かるような味の違いが欲しかった。

 ということで、今回は8種類のおみやげをざざっと見てみました。個人的には1位が”茶露”で、2位が同率で”とっとーと”と”通りもん”でしょうか。”とっとーと”にはちょっと精神科的な贔屓が入ってるかもしれませんが。

 オマケですが、後輩レジデントには”ぷっちょ”の晩白柚味をプレゼントしました。

 はてさて、何をしに小倉までやってきたのか…????
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2014
08.20

産業医大における苦行

 8/4から産業医科大学で産業医研修会。月曜から土曜日まで6日間の集中講座でございました。月曜日は午後から、土曜日は午前でおしまいなので、朝から晩まで(8:30-19:00)は4日間でした。途中で実習を含むとはいえ、座っている時間が長くて長くて。。。腰とお尻が痛くなりました。褥創できたんじゃないかってくらい。

 肝心の講義は、よく寝ました…。後は本を読んでました…。さすがにずっと聞くような集中力はなくてですね。読書がはかどってはかどって、結局6冊も読んじゃいました!

 それはそうと、産業医大でございます。

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 敷地は結構広いんですが、緑が多いですね。

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 龍ヶ池。
 
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 無駄に(?)広いんですよ、この池。

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 以前は鳥小屋がこの池の近くにあったそうですが、鳥インフルエンザの際に撤去されてしまったとのこと。。。

 南国の象徴、椰子の木だッ!!!

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 そこに見えるはセミの抜け殻先生。

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 拷問のような集中講座はこのラマツィーニホールで執り行われました。

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 初日、まだ講義のない時間帯。ちょっと画像がボケてしまいました。そんなに人が入っていませんが、これは早い時間に撮影したから。実はこれがほぼ満員(800人近く?)になります。

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 なんとおみやげコーナーも。至れり尽くせりか、とも思いましたが、「しっかり講義受けろよ。他でおみやげ買ってる余裕なんてねーんだぞコラ」という産業医科大学の圧力かもしれません。

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 3日めと4日めは実習がありました。体力測定や防護マスクを実際に被ってみるなどなど。実習によって場所が変わるため、このようなグループ名を記したカードを持った人たちがいます。

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 こんな感じで付いていって移動。

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 なんか、甲子園出場選手みたいですな…。

 実習、特に体力測定はめちゃくちゃ疲れましたよ…。翌日から筋肉痛になりました。。。

 さて、2-4日めは午前午後とあるため、昼食が出ました。大学に行くなら学食を食べてみたかったんですが、わざわざお昼ごはんが出るということでそれをいただくことに。

 初日。

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 結構豪華じゃない? 色とりどりで見た目も楽しい。

 2日め。

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 うーん、パンか…。

 3日め。

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 駅弁ですな。

 この2日間は最初のお昼ごはんよりもグレードが下がっているではないか(自分も贅沢になったもんです…)。

 4日め。

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 あれ? デジャヴ??

 というような感じでした。

 そんなこんなで、よく食べよく寝てよく読んで、6日間の研修会は終わったのであります。台風が2つ来てましたけど何とか交通に支障なく移動出来ましたよ。飛行機で帰る予定だった人たちは新幹線に変更になってましたが。
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2014
08.18

患者さんの運転

Category: ★精神科生活
 道路交通法が改正され、精神疾患患者さんが運転免許取得/更新をする際に医者の診断書が必要になりました。疾患の状態が運転をするに足る安定を保っているかどうか、というのが大事な点になります。

 この診断書は”病状”を問うているのがポイントになっております。もちろん寛解しているのであれば大丈夫。

 しかし、病状のみで話を進められないのが難しいところ。それは



お薬



 なんです。道交法的には、病状が安定してればまぁ良いでしょうということなんですが、それとは別個にお薬の点から眺めると、そういうわけに行かない。なぜなら




向精神薬はほとんどが運転がダメなんです!!!!




 今の時代はネットで添付文書を検索できます。すると、ほとんどの向精神薬に”自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること”と書かれています。ワンランク低い”自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること”という風に書かれているのがサートラリン(ジェイゾロフト®)、パロキセチン(パキシル®)、エスシタロプラム(レクサプロ®)の3つ。それ以外は運転してはいけないことになっているんです。

 知ってました??? うつ病だとお薬を無くすことはできますが、躁うつ病、統合失調症、てんかんの患者さんはなかなかやめられない。お薬や疾患とは一生のお付き合いということになる方々も多いでしょう。

 だから、不思議なことが起きます。



疾患そのものではセーフ、飲んでるお薬でアウト



 という何ともかんともな事態に。例えばてんかんでは、お薬を欠かさず飲んでいるから発作がなく安定した生活が得られているにもかかわらず、飲んでいるお薬自体で車が乗れなくなってしまうという不可思議な現象が起きてしまっています。車がないと日常生活が成り立たないという患者さんも多いです。何とも頭を悩ませることに。しかも医者側からはきちんと「乗っちゃダメよ」と注意した旨をカルテに書いておかないと、もしものことがあった際に責任が問われます。精神神経学会でも話題になったそうで、学会側から国にもっと柔軟性を出すようにとプッシュをかけるようです。

 向精神薬はほとんどが「運転ダメ!」という記載ですが、実は身体疾患用のお薬にもチラホラとあります。花粉症にもよく使われる第二世代抗ヒスタミン薬では、ザイザル®、ジルテック®、アレロック®の3つが運転禁止になってます。あら大変。

 自分は「法律的には乗っちゃいけないことになってるんです。自分は職業上法律を破るようなことを勧められなくて…。実際、乗っている患者さんも多くて問題のないことがほとんどなんですが…」というちょっとお茶を濁した言い方になってしまっています。患者さんが可愛そうですよね。。。

 ヨーロッパやアメリカに眼を向けると多くのお薬が「飲んでみてふらふらしたり注意力が落ちたりしたらダメ、そうならないと分かったら良いよ」という記載になっています。これが実践的。何でもかんでもダメというのは、はっきり言って意味がないです。

 道交法はお薬のことは問うておらず、病状だけです。お薬の影響は添付文書ということになります。この二重構造の間で苦しんでいるのが、医療者であり患者さんでもあります…。どうすりゃいいんだよ。

 はやく添付文書が改正されることを祈っております。 
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2014
08.16

恒例の休日散歩

 休日は鶴舞公園を散歩することが多いです。ぐるっと回って「あー疲れたなぁ」と感じて家に帰る。ちょっとお年寄りじみているかもしれません…。体力無いので旅行とか遠出を頻繁にすると平日の外来に差支えが出ましてね。。。

 今日出てくる画像はすべて6月に撮ったもの。ちょっと他の記事を挙げていたら、いつの間にか2ヶ月も遅れてしまいました。。。

 さて、公園に行く途中の道端にて。これはよく見かけます。

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 アップしてみましょう。

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 可愛いお花を咲かせますね。”ヒメジョオン”です(たぶん)。花弁がもっと細くてシュシュシュシュっとしてるのが”ハルジオン”でして、前者が春の終わりから初夏にかけて、後者が春先に好発します。でもなかなか見分けが…。ていうか、ハルジオンって睡眠薬のハルシオン®にそっくりで良いイメージがないですな。お薬のハルシオン®の由来は、海風と波を鎮める力を持つ、古代ギリシャ伝説の鳥であるハルシオン(Haicyon)でございます。

 キョロキョロと地面を見ながら歩いていると、赤くて小さなお花を発見。

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 調べてみたところ、”バーベナ”という名前だそうです。またの名を”ビジョザクラ”と言いまして、この派手ではない出で立ちと赤色が合いますね。できるなら人間の美女に会いたいもんですが。

 アップ。美女というよりは可憐という印象でしょうか。

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 次にこちら。

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 以前に名前を教えてもらいました。”ヒルザキツキミソウ”です。

 自分はこの花が好きでして、透き通るような花弁がなんとも言えない。

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 てくてくと歩いて、ちょっと目立つ紫色に遭遇。

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 名前が全然わからなくて色々調べた結果、”マツバギク”というお花だということが判明。南アフリカ原産ですって。へー。

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 お、これは何だ…?

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 アップすると、あら不思議なお花ですね…。初めて見ました。何か幾何学的な感じ。幾何学が何なのか分かりませんが、何となくそんな感じ。

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 ”ランタナ”というそうです。南米原産の外来植物。日本名は”シチヘンゲ”でして、お花が赤や黄色や白などの色で、またその色が次第に変化する、つまりは七変化することからその名になったとのこと。ほー。

 こんな実を付けます。毒があるんですって。

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 さて公園に入りまして。

 このお花も頻回に目にします。

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 小さいですけどすごく澄んだ感じのお花を咲かせてくれます。

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 名前は”ハナツクバネウツギ”といい、漢字では”花衝羽根空木”って書くみたいです。なんじゃこりゃ。お花屋さんでは”アベリア”という名前で売られているそうな。今回名前がわかってすっきり。

 夏に見かける、強烈なピンク色のお花を咲かせるこの木。

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 すごくボリューミィですね。

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 ”キョウチクトウ”って言うそうです。これも名称判明ですっきり。やたら目立つんですよね、このお花は。漢字では”夾竹桃”と書くんですが、これは葉がタケに似ていることと、お花がモモに似ていることから付いたとのこと。なるほど。こんな綺麗に咲きますが、強い毒性を持っていますから決して口にしてはいけません。燃やした煙もアウトで、生えている周辺の土壌も駄目とのこと。結構怖いじゃないっすか。

 甘い香りに誘われて…。今度はカサブランカ先生の登場です。

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 まっすぐに立つ姿、純白の花弁。まさに”ユリの女王”という名にふさわしい堂々とした振舞い。

 大輪でございます。イングリッド・バーグマンのような。

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 今度はこちら。

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 ”ムラサキクンシラン”というそうです。アガパンサス属のお花で南アフリカ原産。画像ではつぼみが多いですが、全部咲くとそれはもう壮大な印象を与えます。

 公園の”八ツ橋”近くにある立派な松。

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 おや、そこに猫ちゃんが…。

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 ぐっすり寝ておりますね。良い場所見つけましたな。

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 はっ! 気づかれた!!!

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 しかし微動だにせずまた目を瞑って寝てしまいました。随分と肝っ玉座ってるな…。

 ということで、猫ちゃんに相手にされず、また気持ちよさそうに眠っているのを見て、家に帰って休もうかなと思い帰宅。なかなか面白いお散歩になりましたし、お花の名前にもちょっと詳しくなりました。
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2014
08.13

セミの抜け殻が持つ応用力

 子どもの頃、セミの抜け殻が大好きでした。

 北海道の今は亡き実家には庭がありまして、夏になるとそこの松やもみじに幼虫がよじよじと登って羽化をしておりました。その様子を父親が良く見せてくれたものです(遠い目)。羽化したての透き通るような羽根、翡翠のような身体は実に綺麗でした。羽化が終わったあとの抜け殻を集めており、たまに母親に気持ち悪がられたことも。

 さて、時と場所も変わり名古屋ですが、7月上旬からセミが鳴き始めています。

 ふと昔を思い出し、童心に帰ってちょっとセミの抜け殻を探索。すると近くの公園(なんと鶴舞公園ではありません)1つ見つけました。

 ご尊顔。

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 このメカニックな感じが何とも格好良い。ちなみに幼少時はゾイド生命体も好きでした。

 ひっかくぞー。しゃっしゃ。

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 ITのジャングルを進むッ!!!

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 アクセサリーにもなるぞッ!!!

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 乱雑に置かれた本も…??

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 抜け殻があると分かると俄にシュッとします。何となく整った感じになる。

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 インテリアとの相性も抜群だッ!!!

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 ダンボーに持たせてみました。何か救済されている感じがしないでもない。

 おぉっ! 同志よ!

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 こんなところで出会う、2匹の抜け殻。感動でございます。

 そんなセミの抜け殻は、漢方薬の材料にもなります。

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 ”消風散”の生薬である”蝉退”はまさにこの子です。

 ということで、いろんな事に応用できる抜け殻ちゃん、ぜひご自宅のちょっとした小物としてご利用ください。
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2014
08.12

小倉に行く

 この1週間は、九州に行っていました。何のために行っていたかというと、産業医の研修会だったのです。

 来年(2015年)からは今勤めている病院を辞めるため、収入面がちょっと厳しくなりまして。。。大学院でお金は吸い取られていくし。。。ということで、資格を何か持って有効に使わないといかんなぁ…という、かなり打算的な発想でございました。すんません。

 研修会の期間はずっとパソコンから離れていたので、メールが恐ろしいことになっていました。1週間だけなのに、こんなにメールって溜まるんですね…。ブログのコメント欄にも質問を多く頂いていましたし…。やっぱりタブレット端末くらいは必要なんじゃないかという考えがもたれかかってきました。でも出かけている時くらいはネット環境から解放されていたい気分も。スマホやタブレットはちょっとハイレベルな感じがしてまだまだ難しそう(時代遅れ)。

 とまぁ、そんなこんなで新幹線で行ったのであります。ちょうど台風がやたらやって来ていたのでヒヤヒヤしましたが、無事に予定通りに帰ってこられました。帰ってからもちょっとゴタゴタとしていてなかなか更新できずでした。。。

 名古屋から小倉までは、新幹線で約3時間。自分は、普通の電車は苦手ではないんですが、バスや新幹線や飛行機はダメダメです。バスは揺れて酔うし、新幹線も何故か酔うし、あとトンネルが多いと耳が痛くなるし、飛行機はもう気圧変化での耳痛が最悪。

 行きの新幹線では本を軽く読んでいたんですが、ちょっと酔いそうだったのでコチラを内服。

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 五苓散です。ツムラさんの五苓散は好きじゃないんですが、家にあったのがそれだけだったので。でも良く効きました(1度に2包を飲みました)。

 さて、小倉駅。九州に来たのはこれで2回めですが、小倉は初めてです。九州だなぁ、と感じるのはやはり今の時代は”くまモン”か。

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 量産型だけどしっかりとバターの味わいで美味しい”博多通りもん”も。 

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 多くの人に東京オリジナルと思われてしまっている”ひよ子”も、生まれは福岡。東京オリンピックの時に九州から東京に進出して、それ以来東京銘菓にもなりました。

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 いつも思うんですが、この包装紙は黄色のひよ子が紺色のひよ子を足蹴にしている感じがして好きじゃありません。何か可哀想なのよね。

 お、こちらは夏限定の”茶ひよ子”でございます。矢状断ですな。

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 こちらは”とっとーと”です。なんだかドMなお菓子ですな。。。「あなたのお荷物でも良いの!」

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 後日お土産についてもアップしますが、医局へのお土産は厳正なる審査の末、この”とっとーと”になりました。

 おぉっと、これは混ぜるな危険。”じゃがほっこり”と”おいもぽっくる”。じーっと見ると、北海道の”じゃがポックル”になりそうな…。

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 でも前者の”じゃがほっこり”は”じゃがポックル”と同じカルビーがつくってます。2匹目のどじょうを狙ったのか…?

 さて、小倉駅構内。こうやってみるとなんだかすごい駅に見えます(ちょっと失礼)。

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 ここは天井が高くて開放感あり。人の数はそれほど多くなくてストレスフリーでした。

 少し外にでると、鳩が2羽ファミマの看板におります。いや、特にそれ以上の意味は無いんですが撮ってしまいました。

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 おやおやおや、メーテルと鉄郎ではありませんか! 微妙な距離感がちょっと不安ですが…。

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 キャプテンハーロックもいらっしゃる。

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 松本零士は九州出身でございましたね。小倉にも住んでいたことがあるそうな。銀河鉄道999は、特に初代の映画が素晴らしいです。鉄郎がなんだか格好良くなってるのが不思議ではございますが、メーテルと別れた後に流れるゴダイゴの”銀河鉄道999”がまたニクいですねぇ(城達也のナレーションも)。あれがあったからこそ、映画を観終わった後も寂寞とした感じにならず、逆にスッキリとします。鉄郎は再び立ち直ってやっていけるだろう、そう思えるのでございます。ちなみに挿入歌の”taking off !”も名曲。

 1週間お世話になったホテルは”ステーションホテル小倉”です。駅直結なのが嬉しい。駅に入り込んでいる線路はモノレールのもの。

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 お部屋の中はこんな感じ。広さは一般的なシングルルームと変わらず。でもちょっと小綺麗な印象ですね。

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 ホテルの窓からパシャリ。お天気が悪いですなぁ。。。

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 後日お天気がまだマシな日に改めて撮りました。雰囲気変わりますねー。

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 ということで、次回からちょくちょく小倉の記事が混ざって出てきます。
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2014
08.02

お薬という精神療法

Category: ★精神科生活
 想像を掻き立てられる論文がありました。

Eisenberger NI. The pain of social disconnection: examining the shared neural underpinnings of physical and social pain. Nat Rev Neurosci. 2012 May 3;13(6):421-34.
Dankoski EC, et al. Facilitation of Serotonin Signaling by SSRIs is Attenuated by Social Isolation. Neuropsychopharmacology. 2014 Jul 1. [Epub ahead of print]

 1つ目の論文は、social painとphysical painという2つの痛みを対比させています。前者は人と人とのつながりが社会的に切れてしまった”こころの痛み”であり、後者はいわゆる”身体の痛み”です。これらの痛みを感じる脳の部位は一部オーバーラップしているそうです。主な部位は2つあり、背側前帯状皮質と前部島皮質。これらが、こころの痛みと身体の痛みとをつなげています。悲しみにくれることをheartacheと言いますが、まさに言葉の面でもこころの痛み(悲しみ)と身体の痛み(胸の痛み)とが重なっていることを示していますね。日本語でも”断腸の思い”や”ほぞを噛む”なんてのが思い浮かびます。更に、この背側前帯状皮質と前部島皮質が活性化すると交感神経も賦活され、そこから慢性炎症が生じ身体疾患や精神疾患へと発展していくことが示唆されています。以前に記事にしましたが、精神疾患にも慢性炎症が関与していることが明らかになってきています(→コチラ)。そして、こころの痛みは身体の痛みによってより強くなり、逆もまたしかり。こころの痛みを改善するには社会的なサポートを行なうこと、身体の痛みを軽くすることが挙げられていました。

 2つ目の論文は、抗うつ薬であるSSRIの効果は孤立によって減弱されてしまうということを述べています。ヒトではなくてマウスによるものですが、1匹ではなくペアでいた方がSSRIが良く効いてセロトニンの放出も促進されたそうです。SSRIの効果は現状の環境的な負荷に左右される、ということ。

 これらから、人は社会的なつながりが切れてしまって孤立すると、精神疾患発症/憎悪のリスクになることが考えられます。また、裏を返すとその孤立が治療のターゲットになり得ることも示しています。日常臨床でもよく経験することですね。

 ここでプラセボ(偽薬)の話になります。臨床試験、特に精神疾患の臨床試験では、プラセボは実薬に迫る有効性をはじき出します。うつ病であればHAM-Dというスケール改善がプラセボで10点前後、実薬で13点前後というのが多く、差は3点ほど(3点はわずかな差です)。しかし、実際の臨床現場では実薬の方がはるかに勝ることが多々あります。何故かと言うと、臨床試験では診察の回数が多くなり、治療者側もお薬の副作用などをしっかりと聞きます。その行為が治療的になるという事実があるんです。試験ではなく現場ではそうそう時間はとれず診察回数も試験よりも少なくなるり診察そのものも少し淡白になるため、お薬の効果はやや下がります。言い換えるならば、プラセボ効果の多くはそれを介して他者との”つながりを感じる”ことにより孤立が緩和されるのだと思います。どんなお薬にもプラセボ効果的なものはあり、その純粋な薬理作用以上の効果を引き出すことが、お薬を最大限に利用するポイントであり医者のウデの見せ所だと考えています。

 ということで、上述のように


純粋な薬理作用以上の効果を引き出すこと


 これこそがいわゆる精神療法でしょう。お薬は希望を処方することでもあります。精神科医は、患者さんの診察が他者とのつながりを実感させるものであるように配慮し、また診察室の外でもそのつながりを得てもらうように働きかけます。ただし、そのつながりは質の悪い依存(土居健郎先生の言う”悪い甘え””甘やかし”)にならないように気を付けるのが大事ではあります。

 とは言え、治療者が患者さんと接する時間はあまりにも短いのが日本の実情です(外来はパンク寸前なんです)。患者さんは診察室に来るわずかな時間を除き、日常生活を行なっています。よって、治療者はその日常生活においても”つながり”を得てもらうように配慮をします。ご家族がいたら簡単な本を読んでもらうことも良いでしょう。漫画なら読みやすく、うつ病なら『ツレがうつになりまして。』や、統合失調症なら『わが家の母はビョーキです』『マンガでわかる!統合失調症』など。ご家族が理解を示し、患者さんとの関係性が改善すれば、精神症状も良くなってきます。ご家族に診察室で医者という立場からお話をするのも効果的なこともあります。もし一人暮らしでつながりがないのなら、訪問看護やデイケアなどが有効なことも多いです。何らかの形で患者さんがゆとりをもてるようなつながりをもたらす、これを当座の目標とします。

 世の中にはいろんな精神療法があります。なんたら療法と名のつくものは星の数ほど。しかし、どの様な療法であれ、患者さんが安心してつながりを感じられるものであれば、非常に効果的なものになると考えられます。技法にこだわることをせず、毎回やって来てくれる患者さんとの場を良い色合いにする。これが最も基本的な部分であり重要な核心なのだ、そう思います。それがなければ精神療法の”副作用”が強くなってしまいます。技ばかりに溺れるような治療者になってはいけない。

 精神科医のサリヴァン先生が仰るように、精神療法は診察室の外でも働くように心がけること。患者さんの生活でどのようにつながりを実感していてもらうか、それがやはり忘れてはいけないことだと思います。

 話はまたお薬に戻ります。患者さんは、毎日の生活の中で治療者を思い出すことがあります。それがお薬を飲む時。病院との関わりを実感する時だと思います。よって、治療者はお薬の説明をしっかりと行なう必要があります。どんな副作用が出るのか、効果はいつ頃から出てくるのか、どの様な目的でこのお薬を処方するのか、いつまで飲むべきなのか、どんな味がするのか、などなど。。。診察の度に飲み心地や他の感想を述べてもらい、こちらもお薬の役割について患者さんが納得する様な説明をします。だから、臨床試験のプラセボは強いのだと思います。

 少し広げると、サプリメントも同様のことになりえます。「あんなの意味ないよ、お金の無駄」と医療者は思います。しかし患者さんにとっては孤立している中でコマーシャルに出ている某俳優などが「これは良いですねぇ」なんて言うのを聞いたり、チラシで服用者の声というのを見たり、そんなところからそういった人たちとのつながりを意識的にであれ無意識的にであれ感じたいと願うことでしょう。ここでは、サプリが社会的な意味を帯びるようになりますね。

 連想でいろいろ書いたので散らかっていますが、精神療法の基本、そしてお薬すら精神療法になり得ること、そんなのが上記の論文を読んで再び頭の中を巡っていきました。

 ということで、明日(8/3)から研修会に1週間出かけてきます。特に面白いことはない、はず。
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