2012
11.25

いざ!犬山城へ

 テレビでですね、犬山城が”1537年に建てられ、天守は現存する日本最古の様式です”という紹介がなされておるのを観ました。

 なんと。

 日本最古?犬山城の存在は知っていたのですが、そんなに歴史があるとは露知らず。。。

 こりゃいかんな、一度拝観してみたいもんだと思い立ったが吉日。行ってみよう!ということになりました。

 犬山駅には諸事情によりたびたび行っておりますが、さみしいところですよね。。。しかし今回は目標が犬山城。ちょっとわくわくしながら歩きます。

 さびれた町が続き、シャッター街とも言えるその風景は我が故郷の函館を思い出します。。。

 これ、大丈夫か…??と思いながら歩いていたら、いきなりこの風景。

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 おお!城下町っぽい!

 ふるえるぞハート!燃えつきるほどヒート!!

 城下町まつりってのをやっているようです。

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 楽しいなこりゃ、と思って歩いていたら、屋台が集合した建物発見。入りましょう。

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 奥には食べるところもあります。

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 本懐は犬山城だが、腹が減っては何とやら。まずは色々食べちゃいましょう。

 豆腐田楽。

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 アップ。美味しそう。

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 ぱくっと。

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 んまい。

 完全に軽躁状態に入り、浪費しだします。豚バラの串カツ(お味噌、ソース)と五平餅。

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 串カツ(お味噌)のアップ。

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 串カツ(ソース)のアップ。いずれにもキャベツがお慰み程度に添えられています。

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 五平餅のアップ。

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 串カツをぱくっと。

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 んまい。

 サクッとしたちょっと厚め衣が大衆的で良いですね。

 五平餅は大きい。

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 ぱくっと参りましょう。

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 んまい。

 胡麻と胡桃の風味が効いていますね。

 いやぁ、食べたなー。じゃ、そろそろ犬山城へ。

 とろとろ歩いていると、またもや五平餅発見。

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 お団子型ですね。

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 これもぱくっと。

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 んまい。

 これはピーナッツでタレにアクセントを付けてますね。美味しい美味しい。良いわー。

 やっぱりね、ご飯の粒が残ってるっていうのが五平餅の最大の特徴。これが食感を高めてくれます。

 言い忘れてましたけど、全部作りたてなんですよ!あつあつのところをちょっと寒い空の下でいただくこの素晴らしさ。風もまた調味料。

 さて、今度こそ犬山城に。お城の立つ下には三光稲荷神社が構えております。”たません”の魅力を振り切って進みましょう。

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 鳥居の前には案内板が。よしよし、近づいてきた。

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 行くぞー! と、お、、、ん?



 時間が。。。


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16:30まで?


 はっ、と腕時計を見ると。。。







過ぎてた







エエエエエエ(´д`)エエエエエエ



 食べてたもんね、ゆっくりと。。。

 ま、まぁ行けるところまで行ってみようか…。



 満ち足りたお腹と空虚な心に戸惑いながら進み、鳥居のトンネルをくぐります。

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 階段を昇ると、あ、なんか皆降りてきてるよ。帰るんやね。

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 もう進めません的な?

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 ちょろっとだけ進行。すると門が。こ、ここまでか。。。

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 おめおめと引き返し、傷心で夕焼けの犬山市を眺めます。犬山城からならもっと良い景色なんでしょうね。五平餅がお腹の中で嘲笑っておりますよ。

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 城下町はもう街灯が点いていました。

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 本懐を遂げずして帰るというのは何とも。。。は!そうだ!

 逆に考えるんだ、「先に犬山城に行っていたら五平餅を食べられなかった」と考えるんだ。

 


 なんだこの空しい自己肯定は…。

 ということで、今度機会があれば犬山城に行こうと思います。。。けどどうかな、今回の件から立ち直れてない。
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2012
11.22

あやうし!マイスリー®ちゃん

Category: ★精神科生活
 ゾルピデム(マイスリー®)と言えば、ω1受容体に選択的に働くことで筋弛緩作用が少なく、高齢者でも安全に用いることのできる超短時間型睡眠薬!

 というイメージだったんですが、何とも雲行きが怪しくなっております。

 下記の論文で、マイスリーが独立した転倒リスクになるという報告がなされておりました。色んなところで話題になっています、今。

Zolpidem is independently associated with increased risk of inpatient falls
J Hosp Med Publihed Online 19 Nov 2012

 後向きコホートですが、”マイスリーの処方が発行されてかつ薬剤を受け取った患者さんの転倒発生率”が”処方が発行されたものの受け取っていない患者さん”に比べて高率ということでした(n = 4962 vs. n = 11358 転倒発生率~3.04% vs 0.71%; P < 0.001)。

 意外ですよね。。。色んな因子で補正しても、転倒リスクとの相関が存在したようでして。

 こりゃ困ったなと思い、他にそういう論文てあるのかしらと調べてみると、高齢入院患者さんを対象とした後向きコホートで、怪我のリスクはアルプラゾラム(ソラナックス®)やロラゼパム(ワイパックス®)を上回り、あのジアゼパム(セルシン®/ホリゾン®)とほぼ同じという報告もありました。なんと。

Risk of fractures requiring hospitalization after an initial prescription for zolpidem, alprazolam, lorazepam, or diazepam in older adults.
J Am Geriatr Soc. 2011 Oct;59(10):1883-90.

 疑わないって怖いですね。。。まさかあのマイスリーがこんな裏の顔を持っていたとは。。。

 じゃあゾピクロン(アモバン®)とかエスゾピクロン(ルネスタ®)にしてみる?でもマイスリーがあんなんだからアモバンも?どうなんだ?と、現在自分は深夜ながらも猜疑心に満ち満ちております。

 ここから脱線。ちなみにですが、ルネスタは胡散臭い。転倒という意味で胡散臭いのではなくて、お薬として胡散臭い。アモバンから光学異性体のエス体を「分けると良いんじゃない?」みたいな感じで分けて作ってしまったというもの。シタロプラムから光学異性体であるエスシタロプラム(レクサプロ®)を分離させたらすごく良かったという、そんな関係を狙ったのか。。。ルネスタはそんなしっかりとした薬理学的な有益性があるわけでなく、分けると良いんじゃないかという”想定”のもと作られた薬剤。レクサプロがうまく行ったみたいだからうちもやっちゃう?という軽いノリで作っちゃったのかな…と邪推。当然、アモバンとルネスタの直接比較試験なんて行われてません。アメリカではルネスタのみ販売されておりますが、ヨーロッパでは


そんなのアモバンと変わんねぇじゃん


という理由で認可されていません(素晴らしい)。というか、2011年8月段階でルネスタが認められて販売されていたのがアメリカだけという。。。日本は世界で唯一アモバンとルネスタが販売されるようになったという国(自由というか馬鹿さを露呈しているというか…)。値段も結構しますし、アモバンのジェネリック対策に作りました的な。

 そんなこんなで自分はルネスタを処方したことがただの一度もありません。しっかりとアモバンに対する優位性を直接比較で出してからだと思います。

 最後はルネスタへの攻撃になってしまいましたが、主題はマイスリーの怖さでございました。これは意識してみないといけませんね。自分の出す薬で骨折されたらちょっと正直なところ夢見が悪い。。。
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2012
11.18

肺エコーについてもう一度

 研修医の時、自分は救急外来で胸部の「肺エコー」に凝っていました。もう研修医の間でもIVC径をエコーで眺めるのは常識と言っても過言ではないくらいで、その先をと考えて当時色々と文献を調べてトライをしておりました。肺エコーなんてあんまり聞きなれないでしょうし、後輩の研修医に教えても誰一人として実践してくれなかった悲しい思い出がありますが、決して怪しい技術ではありません。最近は救急の本にもこの技術のことが載り始めてますしね。

 以前、ブログで肺にエコーのプローブを当てて超音波像を見てみようというお話をしましたが、今回はちょっとそれのブラッシュアップ版として記事にしました。

 まず、使うプローブはコンベックスとリニアの2種類。”救急”と割り切れば、探すのは肺水腫と気胸の2つくらいでしょうか。闇雲にプローブを当てずにしっかりと絞って使うべき患者さんに使うと、意外に簡単で胸部Xpより優れています。肺炎も肺エコーで見つけることが出来る様ですが、自分は試みたことがないんですよね。。。プローブは鎖骨中線第3-4肋間に「長軸」で当てて、左右最低でも2ヶ所見ます。

 この肺エコーを行う際に重要なのは、呼吸苦や胸痛、ショックなどの患者さんに限定して用いること。言い換えれば、病歴の段階で肺水腫と気胸が鑑別に挙がる状態でこのエコーをする、となります。ちなみに喘息やCOPDの肺エコー像は正常と同じであるといわれているため、心不全との鑑別に肺エコーは使えますね。意識障害でも見て良いですが、肺水腫に関しては神経原性肺水腫というものがあり、これは急激な脳血管障害(特にくも膜下出血)が原因。カテコラミンが大量放出するため?と言われています。よって意識障害患者で胸部Xpやエコーで肺水腫を見つけても心不全と早合点せずに、血圧が高いことや倒れる前に頭痛を訴えていた、頭を抱えながら倒れたなどのエピソードがあれば頭部CTという検査が必要になるかもしれないことは頭に入れておきましょう。12誘導心電図もそうですね。くも膜下出血ではcerebral Tというのが出るので、それを心筋梗塞と早合点しないことが重要です。ST-T変化は心疾患以外でも見られることは知っておきましょう。

 さて、救急外来の肺エコーで探すサインとしては、sliding lung sign、seashore sign、B-lineの3つ。前2者は気胸を疑う際に、後者は肺水腫を疑う際に。

 肺エコーのlineには、A、B、Z、そして胸膜を反映するpleural lineがあります。A-lineはpleural lineに平行に、そして段階的に出て、正常像でも出現します。B-lineは画面一番下まで元気よく出るレーザービーム状のラインですが、後述します。Z-lineはB-lineに似ますが、画面途中で減衰してしまうライン。Z-lineは気胸でも見られますが正常でも良く出るので、研修医のうちは有用と判断しない方が良いかもしれません。

 正常の肺エコー像シェーマはこのような感じ。肋骨があるため、その下は影が尾を引きます。胸膜はしっかりと白く厚めに見えて、A-lineがぴょろぴょろと。

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 では、気胸から見ていきます。有名なsignはsliding lung signとseashore signの2つ。病歴から気胸が鑑別に挙がり、かつこの2つが見られないことが、気胸という診断を支持します。他には壁側胸膜と臓側胸膜が離れている部分とくっついている部分との境目をエコーで捉えた時に見られるlung pointという所見もあります。このlung pointが見つかれば一発診断。

 sliding lung signを見る時はリニアのプローブを用いるのが理想的です。このsignは呼吸時に生じる臓側胸膜と壁側胸膜とのズレを見ていて、それがhigh echoのラインとして確認できます。ズレがあると、このラインがうにうに動いている様に見えます。気胸になるとそれらの間に空気が入り込んで胸膜同士が接さなくなるため、slidingが無くなります。単純明快な現象ですね。このslidingがなくなるものには気胸以外にも無呼吸、無気肺、慢性肺気腫、ARDS、炎症性の癒着などが挙げられます。この鑑別はしっかり記憶。

 seashore signはMモードで確認。少し深めに呼吸してもらうと良く分かりますよ。正常肺でseashore sign+です。肺実質が呼吸で動いてるので、その部分が砂浜のようなエコーになってくれるのです。気胸を起こしていると動かないためまっすぐ横のラインになっているアーチファクトが深くまで続いて、バーコードみたいな感じになります。肺実質部分と気胸部分の境目にエコーが当たればlung pointが確認できます。それぞれを図で。

m mode normal
m mode pneumo
lung point

 次に肺水腫。B lineが数多く出ていることを確認します。プローブはコンベックスを使用。B lineは正常でも1-2本出るので、見えたからと言ってすぐ異常というわけではありません。病的なB line(B+ line)は、3本以上であり、かつ、B line同士の幅が7mm以内のものというのが一定のコンセンサスを得ている模様です。最低でも左右の肺で確認します。元々間質性肺疾患を持っている患者さんでは、肺水腫が無くともB lineが多く出ることに注意。肺炎でも同様のことが言えます。

 典型的なB+lineを示しましょう。

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 呼吸苦の患者さんでこんなのが見えたら心不全の可能性が高いという予測が立ちます。もちろん、前に言ったように意識障害や頭痛も伴っている状態では、神経原性肺水腫も考慮しなければいけませんが。

 肺エコーはこのような感じです。肺に限らず、しっかりと鑑別を絞って検査前確率を意識すると、エコーでの確認項目は少ないんですよ。しかも、YouTubeに動画がたくさん挙げられています!ぜひ見てみてください。やっぱり実際の画像を見るのが一番ですよ。
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2012
11.15

東京ばな奈、その色は。。。

 東京のお土産として有名な”東京ばな奈”。東京という名が付いてますが製造は埼玉県で行われているというダブルスタンダードな子。ディズニーランドとも仲良くなれそうですね。。。

 最近はいろんな種類が出ています。東京国際フォーラムに行った時、ちょろっと買ってきました。

 なんと、キャラメル味。見た目はこんなん。

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 袋から出してみましょうか。

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 言っちゃナンですけど、この色って。。。


傷んだバナナみたいですね


 ちょっとバナナの色としては鮮度がよろしくないような。。。

 割るとクリームがたっぷりです。

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 味はおいしいですよ。見た目だけ見た目だけ…。

 個人的にはプレーンタイプが一番落ち着く味だなーと思っています。前に斑点のある東京ばな奈も出てましたよね。バナナプリン味でしたっけ。外見ではあれが可愛らしかったですが、紫斑にも見えました(圧迫で消えない)。もうちょっと斑点が小さければバナナのシュガースポットみたいになってたでしょうね。

 お土産ってふつうのお菓子とはやっぱり食べる時の気分って違います。美味しいものもあればそうでないものもありますが、東京ばな奈は万人受けしそうでよろしゅうございます。

 ま、東京はキライですけどね。。。11/30も行かなきゃいかんのですよ、はぁ…。
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2012
11.13

東京は難しい

 10月のとある日、用事があって東京に行きました。

 なんと、ワケあって”グリーン車”でございました!もう新幹線のグリーン車なんて人生初。名鉄電車のミューチケットですら贅沢と思っておるので、グリーン車なんてね。片道4000円の負荷。

 せっかくなので、駅弁も買っちゃいました。名古屋人としてここはやはり”天むす”で東京に臨みます。やっぱり天むすにはきゃらぶきが合いますね。今回買ったのは610円也。飲み物は同期のさきっちょ先生から餞別としていただきました。感謝。

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 グリーン車の風景。広いですなぁ。他のお客さんが乗る前に撮っておきました。

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 足もゆったり。快適でございます。

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 椅子には妖しく光る読書灯。

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 舞い上がって写真撮りまくり。最高に『ハイ!』ってやつだアアアアア!

 完全に浮いた存在になっておりました。。。さて、東京駅に着きまして。目的地は東京国際フォーラムです。何やら地下でつながっている様なので、駅で階段を探して地下に。”東京駅一番街”?なんですかそれ。とりあえず行ってみましょう。

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 すると、賑わってるじゃあありませんか!!!なんだなんだ、この地下街は。

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 人波に気圧され、お店の多さに驚愕し。迷ったらオシマイだと思い来た道を振り返りながら少し進む。めっちゃキョロキョロ。不審者丸出し。しかしいつまで続くかわからない不安には勝てず、這う這うの体で地上に逃げ戻りました。。。

 結局、東京国際フォーラムにはお巡りさんに道を聞いて結構すんなり到着しました。良かった良かった。

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 用事が済んだらすぐ名古屋に戻りました。こんな怖い都会にいたら魂まで悪寒がしますな。東京はやっぱり苦手なところじゃ。

 帰りに新しくなったという東京駅の写真を1枚。すっかり暗くなりました。

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 アウェイから名古屋に戻ったら、なんか安心して駅できしめん食べて自宅に帰りました。やっぱり遠出はきついですね。。。
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2012
11.10

うつ病を併存した身体疾患患者さんに対する抗うつ薬治療の注意点

Category: ★精神科生活
 総合病院精神医学会でポスター発表するので、それに肉付けしました。ポスターだと字数制限が強くてつらつらと書けないですね。自分はどうでも良いことを長々と書くので、ポスターには苦戦します。。。



 近年、治療抵抗性うつ病の特徴の1つに身体疾患の併存が指摘されています1)。それだけでなく、うつ病や精神的苦痛が身体疾患そのものの臨床経過に影響を与えるということが明らかにされてきており2)3)、内科・外科領域における精神科医の役割が今後ますます重要となることは論をまたないかと思われます。

 しかしながら、身体疾患患者さんのうつ病に対して薬物療法を施行する時、抗うつ薬を適切に選択し、その治療効果を適切に評価することは難しいとされます。

 特に身体疾患患者さんの場合は、以下の点が精神科とは異なります。

・服用薬剤の種類が多いこと
・その薬剤は精神科医に馴染みが薄いこと
・身体的基盤の脆弱性があること

 これらにより、抗うつ薬による副作用と薬剤相互作用とをより強く考慮しなくてはいけません。それを知っていないと患者さんに不利益を与えてしまうことも。タモキシフェンで治療していた乳がん患者さんのうつ病にパロキセチン(パキシル®)を投与することで予後が悪くなってしまった!という報告もあります4)。

 自分が勤めている病院の精神科はリエゾン活動を行っており、例えば血液内科ですと移植する患者さん全員に精神科医によるフォローがなされます。リエゾンとコンサルテーションとは何が違うのかという点ですが、コンサルテーションというのは主科の先生が患者さんの様子がおかしいなと思って精神科医に依頼して、我々がそれに応じて診るということ。リエゾンは患者さんを主科から依頼が出る前から精神科医が診るという点で、早期発見早期治療ということが可能になります、一応。

 こういうリエゾンでは質問票を使うことが多いのですが、汎用されているのがHADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)やPHQ-9(Patient Health Questionnaire-9)など。自分が勤めている病院はHADSを採用しています。これはスクリーニングとして優れていることが知られていますが特異度は高くないため5)、経時的にその値を追い、精神科医による評価も併せて施行する必要があると思います。治療開始後もこういった質問票を用いることで、治療反応性を客観的に追うことが出来るのは利点ですね。ただ、患者さんの身体の状態が良くないとこういった質問票に書き込むこともできない、ということも。

 さて、身体疾患患者さんに抗うつ薬を投与する際に配慮すべき点を挙げてみます。

・アドヒアランス
・腎障害や肝障害
・心筋伝導障害
・薬剤相互作用

 アドヒアランスは当然ですよね。。。患者さんはやっぱり抗うつ薬を飲むということにかなり抵抗感があります。そこはリエゾンで診ている精神科医がしっかりと時間をかけて説明します。コンサルテーションではここで患者さんと初顔合わせになることが多いのですが、リエゾンだと週に1回は回診するので、ある程度は面識があります。”ポッと出”の訳わからない精神科医にいきなり抗うつ薬を勧められるよりは、週に1回会っている精神科医が勧めた方が印象として悪くない。あとは、一生飲み続けるものではないということもお話します。どうも「精神科の薬=薬漬け&一生続ける」というイメージが患者さんに強いため、必要最小限の量を必要な期間だけということを念押しします。

 腎障害や肝障害においては薬剤のクリアランスが低下することは周知のとおりと思います。ですが、抗うつ薬の投与については臨床における投与経験が非常に限られていまして、低用量から開始し腎機能や肝機能をモニタリングしながら漸増していかざるをえないのが現実。ただ、その中でもある程度明らかになっているものもあります。腎障害では三環系抗うつ薬は投与しないことが望ましく、肝障害においては三環系のうちイミプラミン(トフラニール®)は臨床上経験が最も豊富であり比較的安全に用いることができますが、他の三環系は使用しないことが望ましいとされます(やっぱり副作用が…)。日本で発売されているSSRI以降の新規抗うつ薬は三環系に比べて強い副作用が軽いので、やはりこれらが使用候補。ただし、SNRIのデュロキセチン(サインバルタ®)はGFR<30の腎機能低下ではクリアランスが劇的に悪くなり、また肝機能低下状態では特に様々な形の肝障害を来たすことがあり、腎障害と肝障害の両者に使いづらいのでした。SSRIのサートラリン(ジェイゾロフト®)は未変化体として尿中に排泄されるのが0.2%未満と少なく、更に胆汁うっ滞性掻痒症への使用で安全性が示されています。こういう点ではある程度使いやすい。他のSSRI/SNRI/NaSSAも低用量からあわてず使っていけばそれほど危険ではないとされます。もちろん検査値はしっかりフォローですが。他、腎障害では尿閉、肝障害では傾眠というのは患者さんの状態悪化にアクセルをかけるので(前者では腎機能憎悪、後者では肝性脳症)、抗うつ薬使用でこうならない様に注意です。

 QT時間については、三環系は有意に延長させます。日本にある新規抗うつ薬は比較的安全とされ、リスクのある患者に使用候補になります。エスシタロプラム(レクサプロ®)は添付文書でQT延長にて禁忌とされていますが、これは向精神薬でThorough QT/QTc試験の対象にとなったのがエスシタロプラムとデュロキセチンとラモトリギン(ラミクタール®)のみであることと無関係ではありません。確か日本では2010年以降に承認された向精神薬のみがこの試験の対象になっているので、それ以前に発売されている向精神薬はスルーされているのです。エスシタロプラムだけが超危険というわけでなく、振り返ってみればもっと延長させるものがゴロゴロしております(エスシタロプラムはむしろ安全な方)。三環系はすごいですよ。日本脳炎ワクチンの報道で出たピモジド(オーラップ®)は抗うつ薬ではないですが、QT時間をめちゃくちゃ延長させますね。以下の表は自分の勤めている病院の教授が教育スライドとして使っているもの。
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(クリックで少し拡大)

 薬剤相互作用は、CYPとP-glycoprotein(PGP:P糖蛋白)の阻害が重要です。上述した”タモキシフェンで治療していた乳がん患者さんのうつ病にパロキセチンを投与することで予後が悪くなってしまった!”というのは、パロキセチンのCYP2D6阻害によりタモキシフェンの血中濃度が跳ね上がってしまったことが原因とされています。薬剤相互作用による弊害は看過できない事態ですね。三環系は広範にCYPを阻害し、この点から使用しづらいものです。新規抗うつ薬のCYP阻害は表に示す通り。こうしてみるとフルボキサミン(デプロメール®/ルボックス®)とパロキセチンは肝酵素阻害が広範囲に渡っていることがわかるかと思います。一方、ミルタザピン(リフレックス®)とエスシタロプラムが殆どCYP阻害に関与しない点は特筆すべきです。サートラリンも使用量が100mg未満ではCYP2D6阻害がごく軽度になります。

CYP.jpg
(クリックで少し拡大)

 CYPの陰に隠れてあまり気づかれないPGPですが、これは腎臓や小腸、血液脳関門、肝臓などに発現している薬物排泄トランスポーター。抗うつ薬の中でもサートラリンとパロキセチンは強くPGPを阻害するため、PGPの基質になる薬剤の血中濃度を上昇させてしまう可能性があることは留意すべきです。

 PGPはこんな感じのもの。

PGP.jpg
(クリックで少し拡大)

 PGPの基質には、代表的なものとして以下があります。多くはCYP3A4の基質と重なるので、両者を阻害する薬剤の存在下ではこれらの血中濃度がいきなり変化する可能性が示唆されています。抗がん剤、免疫抑制剤、心臓に作用する薬剤なども含まれるため、目を配りましょう。アメリカではHIV治療薬が基質に含まれるという点で注意喚起が良くなされます。個人的には、タクロリムスで治療している患者さんにサートラリンを恐る恐る使ったことがありましたが、血中濃度がそれで急に変化したということはありませんでした。

PGPきしつ
(クリックで少し拡大)

 またSSRIとSNRIは、PT延長時(肝障害など)の他に抗凝固薬/抗血小板薬やNSAIDsとの併用において出血のリスクに注意すべきですね6)。消化管出血が有名ですが、脳出血のリスクも軽度上昇するようです。

 さて、となるとどんな抗うつ薬が適切なんでしょう?

 まず、三環系は積極的に使用したくないですね。副作用や薬剤相互作用の強さを見ると”うーん”と思ってしまいます。。。

 肝機能や腎機能に異常がなければデュロキセチンは薬剤相互作用も少ないですし使っても良いかもしれません。特に新規抗うつ薬の中では最も疼痛に対して効果を示すということもあり、魅力的。ただ、現時点で異常がなくともこの先腎臓と肝臓が悪くなることが予測されるならば、ちょっと使いづらいかも。

 同じSNRIのミルナシプラン(トレドミン®)はどうでしょう。薬剤相互作用はほとんどないのが利点。ただし、尿閉患者さんには禁忌扱いとなっていることからも、排尿障害は来たしやすいのでは?と言われます。ですが最も憂慮すべきことは”あんまり効かない!!”ということでしょうか。。。ミルナシプラン使って抑うつが晴れたという患者さんを見たことがありません。。。

 SSRIの中ではサートラリンかエスシタロプラムでしょう。薬剤相互作用も少ないです。ただし、サートラリンはPGPの阻害があるためその基質となる薬剤を使用している患者さんでは注意。エスシタロプラムはQT延長を起こしていないかをチェックしましょう。患者さんの条件によっては出血のリスクがあると考えておくこと。

 NaSSAであるミルタザピンは非常に有望株。制吐作用もあり、化学療法中の患者さんに使うと楽になることも。不眠も改善してくれますが、ヘロヘロになっている患者さんに使うとその作用が思いもよらぬほどに大きく出て過鎮静になることがあります。そうなると「もう精神科の薬は飲みたくないわー」となりかねないので、そこは要注意です。事前にそうなりうることを説明して、3.75mgとか7.5mgとか、少なめからまいりましょう。

 まとめですが、身体疾患患者さんでは、客観的評価スケールと精神科医による診察とを併せて行い、治療開始後も経時的に患者の精神状態を追うことが求められます。そして抗うつ薬を選択する際は、代謝臓器を含む身体的基盤の脆弱性や複数の投与薬剤の存在など、考慮すべき点が多くあります。精神科医もしっかりと薬剤の特質を捉えて使用しましょう。


☆本文中の参考文献
1) Difficult-to-treat depressions: a primary care perspective; J Clin Psychiatry. 2003;64 Suppl 1:24-31.
2) No health without mental health; Lancet. 2007 Sep 8;370(9590):859-77
3) Association between psychological distress and mortality: individual participant pooled analysis of 10 prospective cohort studies; BMJ 2012; 345
4) Selective serotonin reuptake inhibitors and breast cancer mortality in women receiving tamoxifen; BMJ 2010; 340
5) Diagnostic validity of the HospitalAnxiety and DepressionScale (HADS) in cancer and palliative settings: A meta-analysis; J Affect Disord. 2010 Nov;126(3):335-48.
6) Association of Risk of Abnormal Bleeding With Degree of Serotonin Reuptake Inhibition by Antidepressants; Arch Intern Med. 2004;164(21):2367-2370.
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2012
11.06

良いものも新しく

Category: ★本のお話
 救急外来では、研修医になりたての頃は診断が不明確なまま帰宅というのが不安で不安でどうしようもなかった記憶があり、怖くて患者さんを診ることから逃げていた時期もありました。お恥ずかしい。。。研修医が終わっても、その怖さはずっとあって、最後まで不安がありながらの救急外来だったなと思い返しております。

 そんなこんなで、救急外来で良く診るのが”腹痛”ではないでしょうか。いろいろ勉強はしたものの、やっぱりイヤだなぁという印象は拭いきれず。特に高齢者の腹痛なんてのは自分も困って、後輩も困って、上級医も困って。。。ということも多かったですね。

 その腹痛診療で最も大事なのは病歴と身体診察。腹痛に限らずすべての主訴で重要ですが、特に”痛み”系はしっかりとした病歴聴取と身体診察が重要です。

 日本はいつでもCTが撮れるという環境にある病院も多く、検査が最優先される傾向にありますが、その検査も”何のために行うのか”というのをしっかり認識しなければいけません。

 鑑別疾患がきちんと挙がって、その検査前確率を大まかに見積もる。それらをCTでどう動かすことができるのか。これを知っておいて撮るのとただ闇雲に撮るのとでは読影するポイントの強弱も異なります。

 その病歴と身体診察を学ぶ上で参考にすべき本が、Cope先生の『Early diagnosis of the acute abdomen』という名著中の名著です。この原著はやたら読みにくいのでございます。。。幸いな事に『急性腹症の早期診断』という名の下に邦訳が出ています。自分はこの訳書を何度か読み返したのですが、読む度に新しい発見があり、決して退屈させません。研修医が終わって精神科医になってからも、捨てずに本棚にしまってあります。それだけ思い入れのある本。

 そんな本が、この前本屋さんに行ったらなんと改訂されていました!自分が持っているのは原著第20版を和訳したものですが、今回の改訂版は原著第22版の訳。ちょっとページ数も増えています(どちらも300ページ足らずでハンディ)。さすがに新しく買うことはしませんでしたが、まだ持っていないという研修医の皆さんや志溢れる学生さんには是非読んでいただきたい。臨床を経験してから読み返す、ということを繰り返していると、本当に痒いところに手が届くというか、こんなことまで書いてあったのかとオドロキ。だから学生の時に読んでもそれでオシマイにしないで、研修医になってから何度も読み返してください。どんどん深まりを見せていきます。


急性腹症の早期診断 -病歴と身体所見による診断技能をみがく- 第2版急性腹症の早期診断 -病歴と身体所見による診断技能をみがく- 第2版
(2012/11/05)
小関一英

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2012
11.03

逆襲のシャケ、もといシャア

 唐突ですが、自分は北海道の函館出身です。北海道といえばおいしい海産物。住んでいた頃はそれが普通だったので何とも思わなかったのですが、離れてみると北海道の海の幸というのは絶大なるものだったんだな…と懐古主義。

 そんな北海道はお土産の種類も豊富。それは全国津々浦々で開催される”○○展”の中でも、北海道がダントツの人気であることに象徴されましょう。特に食べ物。お菓子もおいしいですね。六花亭の”霜だたみ”が好きです。

 伝統的なもので言えば、名に負うのが熊の置物。良く鮭をぱくっとくわえている様子が彫られています。なんかおばあちゃんの家の玄関とかに埃をかぶって置かれているイメージ。

 それがコレです。北の大地における弱肉強食の厳しさや、鮭と熊の動的な部分を収めた瞬間ですね。



 しかし世の中、窮鼠猫を咬むという諺があるように、鮭もいつもやられてばかりではないようです。現実としてはあり得ない光景ですが、フレキシブルな人間の頭脳にかかると…。

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 こんな感じ。


斬新!


 ダンボーもびっくりです。

 何なんですかね、コレ。。。その名も”喰われ熊”。どストレート!


鮭の中の人「モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的差でないことを、教えてやる!」


 こんな声が聞こえてきそう、かな?

 拡大しましょう。

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 もうちょい。

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 く、くいこんでおる。。。

 喉元にがっしりと。こいつ、手練か…!

 こりゃ痛そうですね。熊の悲壮かつ不意を食らったような表情が何とも言えません。

 しかもですね、この鮭が大きい!

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 実に美味しそうな…?食べがいがありそうでございます。鮭はハラスも美味しいですが、個人的には尻尾に近い部分が身のしまりが良くて好き。

 ちなみにこの置物、炭のパウダーが練りこまれているためお部屋の浄化作用もあるとのこと。

 食べられた熊の魂も浄化されるのでしょうか。
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