2012
06.26

鶏に及び腰

 先日、何を思ったか熱田神宮に行ってみました。名古屋に来てかれこれ4年目ですが、今回が初!

 随分と古いらしく、出来たのが西暦113年とのこと。と言うことは2013年にちょうど1900歳になるんですね。そんな熱田神宮は木々に囲まれていて、少し涼しい印象でした。

 本宮がこちら。この時期はあまり混まないんでしょうか。お正月に行ったらすごいことになりそうですが。

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 お参りを済ませて帰ろうとした時に、年のせいか久々に外出したせいか、階段で少し足を滑らせて転びそうになりました。。。不吉だったので授与所で”身体守”をいただきました(800円也)。相方は”吉報守”を選びましたが、オールインワン的なお守りですね、吉報守って。コミコミプランみたいな。

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 そこではおばちゃんがお守りについて熱心に巫女さんに質問していました。”厄除け”と”災難除け”の2種類のお守りについて色々どう違うのかとかを細々と。巫女さんも最初は1つ1つお話ししていたんですが、おばちゃんは少し分からなかったのか、同じ様な質問をして堂々巡り。巫女さん、少しうんざりしたのか最後には

「結局は気の持ちようですね」


工工エエエエ(´Д`)エエエエ工工


 お守りでそれ言っちゃっちゃあ…。でも何かおばちゃん納得してました。。。

 さて、帰ろうとしたその時、何と鶏さん発見。

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 結構ガタイが良くて、眼光鋭い。近づくと突っつかれそうな感じがありましたが、そろーっと近づいて撮影。

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 もっと近づいて撮りたかったのですが、気づいたらどこからか出現した1羽に背後をとられていたので退散。

 しかし、なぜ鶏??伊勢神宮では神様の遣いで神鶏(しんけい)と言われているようですが、ここの鶏さんもそうなのかしら?野良鶏という話も聞きますが。。。

 帰りの途中、何故か一部のみトロピカルな感じでした。

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 たまの外出は良いですね。帰ってからは疲れて思いっきり寝ましたけど。。。いつかは調子に乗って豊川稲荷にでも行ってみようかしら。
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2012
06.22

中国のLuxはお相撲さんが使うらしい

 シャンプーやコンディショナーの1つに”Lux(ラックス)”というのがあり、中国でももちろん販売されています。

 中国は漢字の国。日本はカタカナというものを使って外国語をそのまま表記していますが、中国語はその商品の意味合いを残しつつ漢字を当て字的に使うことも。代表例は


可口可楽(コカ・コーラ)


 口が楽しくなるというような雰囲気を醸し出していますね。もう1つは


開杯楽(カップヌードル)


 何となく読み方も合っていそうで、かつ字が素晴らしい。3分待って開けるとやっぱり楽しい、というのが読んでて伝わりますね。カップヌードルの大好きな人が考えたんでしょうなぁ。

 さて、では中国版Luxは?

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 ちょっと拡大すると、、、

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え???


力士??


 力士、りきし、りっきし、らっくす、ラックス、Lux…?


 そ、そーか。お相撲さんのあのマゲを結いなす黒髪は、Luxのおかげだったのか…。

 これは何ともかんともな感じ(漢字)ですな。。。

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2012
06.19

旧世代抗うつ薬のまとめ

Category: ★精神科生活
 以下は旧世代抗うつ薬の覚え書きの様なものです。このグループの薬剤は第一選択として使う頻度がどうしても低いため、なかなか覚えられず。。。なので、作りました。あくまでも自分用でして、他の先生方にお勧めできるような内容ではございません。また、科学的な根拠に全て基づいているということは決してありません。

 旧世代、特に三環系は精神病院においてまだまだ抗うつ薬としての存在感が強いと思われます。SSRI以降の新世代は重大な副作用こそ旧世代より軽いのですが、やはり重度のうつ病患者さんへの効果という点では旧世代に劣るでしょうか。セロトニンやノルアドレナリンの再取り込み作用阻害以上のものを感じさせる、奥行きのある薬剤が旧世代。特筆すべきは抗炎症作用で、うつ病のメカニズムの1つとして慢性炎症が言われており、治療抵抗性の患者さんほどその炎症の関与が大きいのではないか、なんて言われてます。三環系はそこにも効いてくれるので、治療効果が高いんじゃないかなと思っています。自分の三環系・四環系の使用経験はもちろんSSRIなどの新世代に比べればかなり少ないですが、アンプリット、ルジオミール、テシプールなんかはその中でも使うことが多い気がします。

三環系:アモキサピン(アモキサン®)、ロフェプラミン(アンプリット®)、クロミプラミン(アナフラニール®)、イミプラミン(トフラニール®)、アミトリプチリン(トリプタノール®)、ノルトリプチリン(ノリトレン®)など

 アモキサンはセロトニンよりもノルアドレナリンの再取り込み阻害の方が強いです。いわゆるアップ系でして、浮上させる力は強いですが同時に躁転も起こしやすいとされます。効果の速さと切れ味は鋭く、また体感異常を伴ったり妄想を伴ったりする様な患者さんに使用できます。使うとしたら最大で200mgくらいまで。これを300mgまで使うとちょっと身体が持たない気がします。また、代謝物はD2受容体の阻害作用を持つため高用量で錐体外路症状が出ることも。けいれんの副作用あり。

 アンプリットはおとなしいタイプ。再取り込み阻害はノルアドレナリンのみですが、代謝物のデシプラミンがセロトニンに作用します。三環系の中では安全な方で、高齢者にも処方しやすいと言われます。後述のルジオミールの眠気と抗うつ効果を軽くして服用しやすくした感じと形容されます。効果はやや弱めで150mgまで使用することも。

 アナフラニールは不安の強いうつや慢性疲労に効果的であんまり眠くなりません。セロトニンの再取り込み阻害作用がより強く、効果発現は早め。けいれんの副作用ありです。静注用の製剤もあり、錠剤とは別物というくらいのすばらしい効果を示し、点滴初日に自覚症状が改善する人も多く見られます。疼痛にも有効とされます。点滴は施行前に心電図でQT延長なきことを必ず確認しておきましょう。静注製剤は、初回は1/3-1/2Aくらいの量を1時間半から2時間以上で点滴するのが無難。嘔気や違和感が強ければ途中で中止しても良く、その場合は次からは1/4Aくらいに。最初に1/2Aを用いても効果がなく、数日続けても効果も副作用もなければ少し量を増やして1-2Aで継続(出来れば2A)。点滴を開始した時から内服も始めますが、別にアナフラニール錠剤にしなくても良いようです。

 トフラニールはノルアドレナリン再取り込み阻害の方が強いです(代謝産物のデシプラミンの作用もあって)。エビデンスとしてはほとんど無いのですが、疼痛に使われることもあります。眠さが比較的少なくて、ナルコレプシーや周期性傾眠症など、眠くなるような疾患に使えるとされます。

 トリプタノールは最強!ノルアドレナリンよりセロトニンの再取り込み阻害の方がやや強いです。自律神経系の副作用は出やすく、またH1受容体阻害のため太りやすいのが欠点。α1阻害もあるので鎮静的に働きます。投与量は150mgまで行くこともしばしば。抗うつ薬の中で、疼痛に対しても最も信頼性の高い薬剤です。

 ノリトレンはトリプタノールの代謝物。アップ系で馬力が出ます。セロトニンよりノルアドレナリンの再取り込みを阻害。焦燥感を起こすことが少なく、副作用が他の三環系よりも少なめで高齢者にも使える様です。治療域の範囲が狭く、処方量の設定が難しいのがちょっと難点。疼痛に関しては、トリプタノールの代謝物なので効いても良いはず。


四環系:ミアンセリン(テトラミド®)、マプロチリン(ルジオミール®)、テシプール(セチプチリン®)など

 テトラミドはモノアミンの再取り込み阻害作用がありません。シナプス前α2受容体遮断でノルアドレナリンの作用を強めます。抗コリン作用は少ないので使いやすい。60mgまでの処方となっていますが、この量では力不足で結局効く感じがしないまま終了してしまうことも。鎮静は結構強くて異様に眠くなります。神田橋條治先生は、双極性障害のうつ状態にテトラミドやフルボキサミンを使用するようです。

 テシプールもモノアミンの再取り込み阻害作用がなく、シナプス前α2受容体遮断でノルアドレナリンの作用を強めます。抗コリン作用は四環系の中でも少ない。テトラミドよりも抗うつ作用はやや強く、鎮静はやや弱いとされます。高齢者にはまだまだ使える薬剤。

 ルジオミールは、再取り込み阻害作用としてノルアドレナリン系のみに作用するという特徴を持ちます。セロトニン系の賦活で焦燥感や希死念慮が増強してしまう患者に向きます。消化器系副作用と傾眠、その他に“けいれん”の副作用を持ちます。穏やかな効き味で鎮静的。疼痛や異常感覚にもかなり有効です。四環系の中では抗うつ作用をはっきりと持つ珍しいタイプ。遷延性のうつにも“低め安定”をつくる感じで適しており、寂しくてナースコールを押すような高齢者にも向くなどとも言われます。


非三環非四環系:トラゾドン(レスリン®)

 抗うつ薬としては超が付くほど非力。眠りの質を改善し、深い睡眠を増やしてくれます(SSRIは深い睡眠を減らしてしまう)。睡眠薬やベンゾジアゼピン離脱の際の置換として使用することの方が圧倒的に多いです。焦燥感の強い患者には向くことは向きますが、これのみで立ち向かうのは不可能でしょう。



 こんな感じにまとめました。日本にはドパミンを賦活するタイプの薬剤が非常に少なく、そこがうつ病治療を少し難しくしているかもしれません。海外で使用されることのあるMAO阻害薬はセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン全てを賦活する薬剤として有名ですね。また、特に三環系は精神科医の腕の見せ所的なところがありますが、薬剤相互作用が随分と多いこと、そして抗コリン作用による認知機能低下の恐れがあること、心血管リスクとなること、などから十分な注意が必要であります。
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2012
06.17

がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会

 2012年6月16-17日の2日間にかけて、名大病院にて緩和ケア研修会を受けてきました。

 1日目が13時から20時過ぎ、2日目が9時から17時過ぎまでという長い時間でして、終わってどっと疲れが出てしまいました。結構年配の先生方も多く、某科の教授のお姿まで!今回、自分が最年少でした。

 この会ではお互いを「~先生」ではなく「~さん」と呼ぶように言われまして、かなり気が引けますね…。教授を「○○さん」とか呼ぶなんて、忘年会で酔っ払っても言えませんわ。。。どんな罰ゲームなんでしょ。

 結構この会はロールプレイが多く、ものすごく苦痛でした。自分はこういうのが苦手で苦手で。避けられるものならば避けたい。基本的に人と話すのは好きではないです(精神科なのに)。特にロールプレイなんてのは相手は初対面ですし役になりきらなければいけませんし。完全に不適応を起こしました。汗をかくしドキドキするし頭は真っ白になるし。何回やっても慣れないものでございます。。。前もってインデラルでも飲むと良いのかもしれません。

 しかもそのロールプレイでは医者役で「難治性のがんであることを伝える」というのがあるんですが、普段精神科がそんな責任あることをするはずもなく、ロールプレイとはいえ伝えることの難しさを肌で感じました。内科や外科の先生はこういう大変な仕事をしているんだなと実感。精神科の出番は告知が終了してからになるので、今回で他の科の先生の気持ちをかいま見ました。

 それに、精神科は結構”黙る”ことに慣れてまして、自分は診察でも「ここは黙ることが大事だな」と思ったら数十分とか待ちますし、患者さんとの根競べになることも。でもやっぱり今回のような場ではあんまり長い沈黙は不安を煽りますし、セッティングそのものが違いますしね。純粋な身体疾患と、精神疾患や身体疾患の精神症状とではやっぱりこちらの勝手はかなり違ってきます。状況が状況ですし、相応の配慮が必要になりますね。。。

 自分もロールプレイで患者さん役をしましたが、やっぱり役とはいえ医者から知らされるのはドキッとします。実際の患者さんの心の暗さは計り知れないことでしょう。両方の役を経験することは大きな印象を残しました。

 2日間の日程を終えて、最後に患者さん向けの本を2冊もらいました。

『患者必携 がんになったら手にとるガイド』
『患者必携 もしも、がんが再発したら』

 専門用語もやさしく解説してくれてますし、患者さんにやさしい作りになっています。疾患について知るというのは必要不可欠なことですが、なかなか外来は忙しいので医者からすべての説明は時間的に難しいかも。そういう時は薬剤師さんや看護師さんからの説明も大事ですし、こういった本で患者さん自らが学ぶというのも必要になってきます。もちろん、告知されたすぐに読むというのは荷が重いと思います。患者さん1人1人が「立ち向かうためにも自分もきちんと知っておこう」と思ったその時に、読んでみると良いのではないでしょうか。

患者必携 がんになったら手にとるガイド患者必携 がんになったら手にとるガイド
(2011/03/02)
国立がん研究センター がん対策情報センター

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もしも、がんが再発したら――[患者必携]本人と家族に伝えたいこともしも、がんが再発したら――[患者必携]本人と家族に伝えたいこと
(2012/03/06)
国立がん研究センター がん対策情報センター

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2012
06.09

ALIよさらば

 遅ればせながら、ARDS定義変更について。2011年には既に話題になっており、ようやっとonlineに載りました。

 なんて言うと「もう知ってたぜ」的な雰囲気を醸し出していますが




去年話題になってたなんて知りませんでした




 これが精神科の怖さですよ。。。専門外もきちんと勉強しようと思って、特に呼吸器系や敗血症関連は注意していたんですが、何か洩れちゃってましたね…。お恥ずかしい///

 先月にJAMAのサイト見てたら「あれっ」みたいな感じになって焦りました。こうやってどんどん取り残されていくんでしょうか(単なる勉強不足)。

Acute Respiratory Distress Syndrome The Berlin Definition. The ARDS Definition Task Force; JAMA. 2012 doi:10.1001/jama.2012.5669

 無料でfull text読めますので、是非。これまでのAECC definitionの問題点と、それを改善した今回のBerlin definitionの特徴が記載されています。AECCの問題点は結構前から指摘されていまして、”急性”の定義ですとか、P/F ratioとPEEPの合致性のなさは特に言われていました。

 大きなポイントとしては、ALIがなくなったこと!そしてARDSをmild(軽症)、moderate(中等症)、severe(重症)の3段階に分けています。こうしたことで死亡率の信頼性が高くなり、予後予測にも妥当性が出てきたようです。

定義

 3段階を見てみると、PEEPがきちんと考慮されていることが分かりますね。

Mild~200mmHg < PaO2/FIO2 ≤ 300mmHg with PEEP or CPAP ≥ 5cmH2O
Moderate~100mmHg < PaO2/FIO2 ≤ 200mmHg with PEEP ≥ 5cmH2O
Severe~PaO2/FIO2 ≤ 100mmHg with PEEP ≥ 5cmH2O

 これまでの定義はPEEPを考慮していませんでした。PEEPは高く設定するとP/F ratioとレントゲン所見が改善することがありまして、AECCの定義に則ると診断上はARDSからALIになったりALIにもはまらなくなったり。そのためPEEPの値を考慮して重症度を見ていくのが良いのだとの意見が多く、それを解決したいなという欲求がこのベルリンさんからは見て取れます。

 ということで、ALI/ARDSと記していたのが何となく寂しくなりますが、世の中変わっていくものだなと実感してしまいます。
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2012
06.05

精神科薬剤治療~3つのスパイスと組み合わせ

Category: ★精神科生活
 ラモトリギン(ラミクタール®)、トピラマート(トピナ®)、プレガバリン(リリカ®)は、精神科領域でも使われる新規抗てんかん薬(この”精神科領域”に、てんかんは含めていません)。

 この3つは何らかの形でグルタミン酸系に働いてくれまして、症状の荒波を穏やかにしてくれます。それは躁うつであっても統合失調症であっても神経症であっても。この中で気分安定薬と呼べるだけの作用を持つのはラミクタールだけでしょうが、トピナもリリカも他の面を支えてくれることで良い働きをしてくれます。

 具体的には、以下の効果を持つような印象。

ラミクタール:認知機能の上昇、過敏性の緩和、抗うつ作用、強迫の緩和、器質性幻覚の緩和、気分の賦活
トピナ:依存脱却、過食の抑制、衝動性の緩和、認知機能は落としてしまう傾向
リリカ:抗不安、プチ抗うつ、強迫の緩和、疼痛の緩和、慢性疲労の緩和、認知機能は落としてしまう傾向

 ラミクタールは双極性障害の維持にも使われるように、抗うつ作用を持ちます。また、重めの単極型うつにも効果があるような印象を持っています。他は発達障害に見られる知覚過敏や強迫傾向、引きこもりにも効くのでは?と言われていますが、RCTでは発達障害に対して残念ながらプラセボと有意差が出ていません(効く人は効きますけどね…)。後は強迫性障害にも有効ですし、解離性障害やDLBの関与する幻覚などにも他の薬に付加することで効果的です。統合失調症の患者さんにおいては、表情を良くしてくれますし、自閉的な部分が改善することも。もちろん上手くいかないことも多いですが。。。文献的には、クロザピン(クロザリル®)に抵抗性の統合失調症に付加することで症状が軽くなったという報告があります(他の薬への付加では効果がなかったようですが)。三兄弟の中では副作用に最も気をつける薬剤で、特に皮疹は出たら中止にしましょう(日本での出現頻度は1割ほど)。自分は安全志向で、バルプロ酸(デパケン®/セレニカ®)を併用していなくても25mgの隔日投与から始めています。それでも皮疹が出た患者さんもいて、その時ばかりは「何やこの薬は…」と思ってしまいました。。。ちなみに、自分は皮疹が出た場合はプレドニン®を20mg飲んでもらってます(3日間くらい)。結構これで速やかに消失しますよ。

 トピナは薬物依存や過食、自傷などの衝動性に効くため”何らかを欲してグッと行動してしまう”というような状態を和らげてくれる印象を持ちます。”精神的渇望に効く”と評した先生もいらっしゃって「なるほど、上手いな」と感心してしまいました。このあたりはゾニサミド(エクセグラン®)も似たような働きでしょうか。他には過敏に反応してしまう部分を穏やかにする作用があるため、PTSDに使われることもあります(ただ、十分なエビデンスはありません)。抗うつや抗不安という点では自分はちょっと分からないため、それを狙って出すことはないです。悪化することも多いみたいですし。認知機能という点では経験的に若干悪化する感じ。比較的処方されるのは、オランザピン(ジプレキサ®)を使っていて過食ががんがん出てしまった患者さん。症状はジプレキサで上手く抑えられているから変えたくないけど、過食が、、、と言う時にトピナを噛ませることがあります。自分は家庭内暴力など衝動行為のある患者さんに使うことがあります。痛みにも効くんじゃない?と最近は言われていますね。

 一番かわいらしい名前のリリカは、抗うつ作用は軽いものの抗不安と抗強迫はすばらしい。”痛み”に効くというのは有名ですが、治療抵抗性の強迫性障害や全般性不安障害に使うと大逆転を起こしてくれることがあります。統合失調症患者さんはかなり強い不安(それも漠然としたもの)を訴えることが多いのですが、それにも効果あり。慢性疲労症候群への使用についても改善の可能性が言われています。認知機能は落としてしまい、暗算能力や注意力が散漫になります。車の運転は禁止(事故を起こすことアリ)。お年寄りなら少なめの量から開始しましょう。一般成人でも150mgから開始するのはちょっと多いため、25-50mgからが妥当でしょうか。あまり精神科医は注目しないかもしれませんが、このリリカには浮腫や心不全(!)という副作用があります。リリカ内服中で「体重が増えてきた、むくんできた、最近歩くと息切れがする」という患者さんがいたら要注意です。強迫や不安が強い患者さんには、自分ならリリカに飛ぶよりもまず漢方薬を併用することで勝負をかけてます。

 さて、精神科の薬剤というものは、モノアミン(ここではセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン)に関与する薬剤が抗精神病薬・抗うつ薬として存在します。どれを増やすか/減らすか、脳のどの部位にどう作用するかといった個性を精神科医は気にします。例えばオランザピンはドパミン受容体の拮抗薬ですが、5-HT2cの阻害により前頭前野ではドパミンを増やしてくれます。精神科の疾患はモノアミンだけでは説明が付きませんが、それでもモノアミンが脳の部位によってアンバランスになっているという考えは必要です。

 抗精神病薬は基本的にはドパミン(D2)を抑える働きですが、その中でアリピプラゾール(エビリファイ®)はパーシャルアゴニストと言われており、抑制の一辺倒ではありません。ただ、ドパミンで全て解決するというわけではなく、最も優れているというクロザピンは色んな受容体にくっつきます。ドパミンへの作用はあまり強くなく、実に不思議な薬剤。ドパミン拮抗だけじゃいかんよという事実を覚えておくのは重要なところです。他に抗精神病薬の切り口としては、”重い”か”軽い”かで分けるのも良いかもしれません。オランザピンは多くの受容体にビタっとくっついて重い感じ。リスペリドン(リスパダール®)はそれほど多くないですが、長い間くっついているのでこれも重い感じ。クエチアピン(セロクエル®)は多くの受容体にくっつきますが、すぐ離れるためそんなに重くないです。ハロペリドール(セレネース®/リントン®)も少量ならそんなに重い印象を自分は持っていません。軽いのはペロスピロン(ルーラン®)、ブロナンセリン(ロナセン®)、アリピプラゾール(エビリファイ®)などでしょうか。こういう軽いのは受容体の敏感な患者さんにも使いやすい部類に属しますし、他にも軽いもの同士や重い薬剤と併用することもします。抗精神病薬は単剤にしろと言われていますが、単剤でゴリ押しするよりもある程度の視野を持って何種類か組み合わせるという考え方もあって良いのではないかなと思います。

 抗うつ薬に関して言うと、薬剤によってセロトニンにより関与するかノルアドレナリンにより関与するかというので分けられることが多いです(効果はあまり変わらないですが)。古典的な三環系はセロトニン・ノルアドレナリンの再取り込み阻害では説明の付かない”奥行き”というのを持っており、それが三環系の効果の強さを示しており、まだまだ活躍の場を保っています。残念ながら日本にはドパミン系を賦活するような薬剤が少なく、うつ病治療の広がりが乏しい印象。いわゆる新型うつと呼ばれるタイプはドパミンをぐぐっと上げる薬剤が有効ではないかと言われており、日本にはないMAO阻害薬が一定の効果を示すのもそれを裏付けるものと言われます。そういう点では、日本で治療するならデュロキセチン(サインバルタ®)とオランザピン少量の併せ技が効くかも(両者とも前頭前野でのドパミンを賦活します)。ミルタザピン(リフレックス®/レメロン®)は再取り込み機序を持たない薬剤でして、これもドパミンを上げてくれますが長持ちせず、それが腰折れ現象に関係しています。

 抗精神病薬と抗うつ薬の併用。これはうつ病に主に使われますが統合失調症でも最近は研究が進んでいます。機序が反対というイメージがあるので、この2つの併用と聞くと「何をしたいんだ?」と他科の先生は思うかもしれませんが、これは前頭前野を何とかしたいという考えから来ています。統合失調症であれうつ病であれ、前頭前野の機能不全がその陰性症状、意欲低下につながっています。ここのドパミンを増やしたいというのがイメージとしてあります。例えばサインバルタとジプレキサの併用を上で挙げましたが、これはサインバルタのNET/NAT(ノルアドレナリントランスポーター)阻害作用とジプレキサの5-HT2c阻害作用の相乗効果を狙っています。非定型抗精神病薬にリフレックスを加えるのは、リフレックスの持つα2の阻害作用や5-HT1A結合促進作用をプラスすることを考えて行われています。こういうのを考えると、ジプレキサにリフレックスを加えることでクロザピンの受容体プロフィールに近づくことが分かりますね。

 後は、クロニジン(カタプレス®)といったα2アゴニストは衝動性や過緊張症状の改善に一役買ってくれます。脳を冷ましてくれる、というイメージ?ADHDや精神遅滞の突発的な暴力行為、PTSDにおける緊張症状といったものを改善しますね。幻覚妄想といった副作用を来すこともあるのでそこは注意を要しますが。

 モノアミンに作用する薬剤は、抗うつ薬、抗精神病薬という分け方もありますが、再取り込み阻害・各種受容体遮断/刺激といった視点で分けて考えてみるとまた一味違ってきます。

 こういった神経伝達物質に作用する薬剤の他に、気分安定薬と言われるリチウム(リーマス®)、バルプロ酸(デパケン®/セレニカ®)、カルバマゼピン(テグレトール®)といった面々が存在します。彼らは抗精神病薬と抗うつ薬とは違ったメカニズムで脳に作用するため、併用することで更なる効果が期待出来ます。気分安定薬はGABAやNMDAやAMPAといった受容体を介し、グルタミン酸による作用を調節してくれるのではないか?と言われています。リチウムは謎(GSK-3への関与がメインらしいです)。クロナゼパム(リボトリール®/ランドセン®)はベンゾジアゼピン系ですが、気分安定薬として機能する部分も。

 そこに新たに加わったのが今回取り上げた三兄弟。彼らもグルタミン酸に関与しますが、古典的な気分安定薬とはちょっと違う雰囲気。同じグループにはなかなか入らない印象を持っています。上述の効果を意識して、必要に応じて付加という形。新規抗てんかん薬を入れることで大きなBreakthroughが生まれることもあります。

 更に漢方について言及すると、個人的な印象では特に柴胡剤は気分安定薬的な働きをしてくれます(たぶん。桂枝や半夏も穏和な気分安定化作用があるかも)。機序は不明ですが。。。補中益気湯や十全大補湯といった補剤は穏和な抗うつ薬のような印象。不安の強い患者さんには、良く「四逆散+柴胡加竜骨牡蛎湯」の組み合わせを用いますし、抑うつ的な患者さんには「四逆散+半夏厚朴湯/香蘇散」を使います。四逆散は柴胡剤の1つで、自分は精神科の漢方治療ではベースとして用いることが多いです。他には多訴的な患者さんでは加味逍遥散もベースにします。ポイントは投与量を多くする、でしょうか。エキス剤の3包/dayではなかなか効果が。。。

 他のサプリメントはちょっと不勉強で分かりませんが、亜鉛は何やら良い働きをしてくれるみたいですね(The efficacy of zinc supplementation in depression: Systematic review of randomised controlled trials; Journal of Affective Disorders, Volume 136, Issue 1, Pages e31-e39, January 2012)。プロバイオティクスですとか、統合失調症ではD-セリンとかも研究されています。サプリは怪しげな印象を持つかもしれませんが、効くのであれば、そして身体に害がなければ、使っても悪くないような気がします。

 最近の話題ではHPA系(視床下部-下垂体-副腎皮質)や海馬神経新生、炎症性サイトカインなど。抗副腎皮質ホルモン剤であるミフェプリストンが精神病性うつの治療に効果的ではないかと言われていますし、リチウムは海馬の神経新生に関与している可能性が示唆されています。サイトカインも熱心に研究されていますね。治療抵抗性の統合失調症にセレコキシブ(COX-2阻害薬)を加えたり、スタチンやEPAの持つ抗炎症作用が期待されたり。これからは何らかの進展が生まれそうです。

 向精神薬を選ぶ時は、こういった視点を持って複数のお薬を組み合わせていくというのが時に必要かと思います。抗精神病薬も”多剤=悪”のような考え方はいかがなものかと。組み合わせることでかえってCP換算が低く抑えられることもありますし。もちろん副作用がバリバリ出てそれによって患者さんが苦しんでいるのなら話は別ですが。

 モノアミンを考えて、その中でも併用の可能性を考えて、そして気分安定薬、新規抗てんかん薬、漢方といったものを考えて(将来的には免疫/抗炎症の軸?)。複数の思考の軸を持っておいた方が、治療が手詰まりになる可能性は低くなるのではないかと考えています。



☆三兄弟についての参考文献
Lamotrigine therapy for autistic disorder: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial; J Autism Dev Disord. 2001 Apr;31(2):175-81.
Lamotrigine augmentation of serotonin reuptake inhibitors in treatment-resistant obsessive–compulsive disorder: a double-blind, placebo-controlled study; J Psychopharmacol. 2012 Feb 20.
Pregabalin augmentation in treatment-resistant obsessive-compulsive disorder; Int Clin Psychopharmacol. 2011 Jul;26(4):221-4.
Adjunctive therapy with pregabalin in generalized anxiety disorder patients with partial response to SSRI or SNRI treatment; Int Clin Psychopharmacol. 2012 May;27(3):142-50.
Clozapine plus lamotrigine in treatment-resistant schizophrenia; Arch Gen Psychiatry. 1999 Oct;56(10):950.
The efficacy of lamotrigine in clozapine-resistant schizophrenia: a systematic review and meta-analysis; Schizophr Res. 2009 Apr;109(1-3):10-4. Epub 2009 Jan 30.
Lamotrigine as add-on therapy in schizophrenia: results of 2 placebo-controlled trials; J Clin Psychopharmacol. 2007 Dec;27(6):582-9.
Augmenting antipsychotic treatment with lamotrigine or topiramate in patients with treatment-resistant schizophrenia: a naturalistic case-series outcome study; J Psychopharmacol. 2001 Dec;15(4):297-301.
Topiramate treatment for SSRI-induced weight gain in anxiety disorders; J Clin Psychiatry. 2002 Nov;63(11):981-4.
Topiramate for prevention of olanzapine associated weightgain and metabolic dysfunction in schizophrenia: A double-blind, placebo-controlled trial; Schizophr Res. 2010 May;118(1-3):218-23. Epub 2010 Mar 7.
Augmentation with pregabalin in schizophrenia; J Clin Psychopharmacol. 2010 Aug;30(4):437-40.
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2012
06.03

気遣いの円卓

 昨日は勤めている病院の歓送迎会が某ホテルにてありました。

 中華料理屋さんでして、中華ときたらあのターンテーブルが付いている円卓でございます。これって日本発祥なんですってね。昨日はアレに苦しめられました。

 あの円卓は、対他配慮・協調性を具現化したものだと思います。周りの様子を的確に観察し、独特の間合いでちょろちょろと動かす。疲れますね。。。日本生まれというのも何となく納得してしまう。アレに気を張っていたら胸がいっぱいになってしまって全然ご飯が入りませんでした…。半夏厚朴湯が必要そうです。

 困るのは、こっちがお料理を小皿に移している時に動かされると


”とっとっと、、、。まだ取ってる取ってる”


 意外に気付いてもらえず、自分の腰も椅子から浮いてお料理と一緒の方向に動いてしまう。。。操られているような・・・?

 他には、ターンテーブルに乗っているお箸とかスプーンとかがぴょろっと頭を出していて、テーブルを回すとそれらがビール瓶とかお皿とかに”かちん”っと引っかかって、それに気付かず回しているとお箸なんかは転がっていってしまうことも。幅広い視野が求められます。しかもそのお箸とかが向こう側で遭難していたら、近くの人に気付いてもらわないと事態は膠着状態に。

 気付き、気遣いというのがキーワードですね。

 そんなこんなであのターンテーブルには懲り懲りでした。
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2012
06.02

料理長のお手並み

Category: ★精神科生活
 勤務しているどこぞの病院の食堂。当直しているとそこでお夕飯になるのですが、大体は遅い時間なので誰もいません。さて、そんな食堂でこのようなポスターを見かけました。

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 なんだ?と思って近づくと。。。

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 何と!6/7木曜のお昼は料理長が目の前で調理をしてくれるそうです!”おいしそうな香りと音で、いつもと一味違う食事をどうぞお楽しみください!!”とあるからには、かなり期待して良いのでしょう。その日は残念ながら他の病院にいるため自分は堪能できませんが、患者さんにとって楽しみなものになるのでしょう。

 どんな料理かしら?せっかく目の前で作るんだから見た目にも「おおっ」となるものが良いですよね。フランベとかしちゃったりして?

 想像をふくらませながらポスター下段に目をやると。。。

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( ゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ
  _, ._
(;゚ Д゚)


ソース焼きそば



 りょ、料理長・・・?そんなシェフの格好して、焼きそば?





めっちゃ屋台のおっちゃんじゃないすか





 確かにソースの香りとじゅーじゅーと焼ける音。宣伝文句に嘘偽りはなかったが。料理長がすることなのだろうか・・・??




 そんなこんなで、我々の中では”料理長は実は料理が出来ないんじゃないか疑惑”が密かに巻き起こっています。
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