2010
10.28

アイスクリーム頭痛

 1つ前の記事でちらっとお話した、BMJのアイスクリーム頭痛。少し詳しく、母校の先生から教えてもらいました。



 アイスクリーム等、冷たいものを急に食べると頭痛がします。何故??と言われると困ってしまうのですが、いくつか仮説があるようで。

★2つの勘違い(関連痛)
 2つの勘違い。
1.刺激が強すぎて三叉神経や舌咽神経で温痛覚の勘違いが生じる→冷たさを痛みと勘違い
2.その痛みの部位まで勘違い(関連痛というやつ)

★血管の炎症
 喉元が急激に冷えると解剖学的に近い位置にある頚動脈も急速に冷やされて収縮し→身体は体温を維持しようと血流up→逆に血管が伸展→血管の軽い炎症が一時的に生じる
 血管の急速な収縮と拡張によって炎症性物質が放出され、血管や硬膜などの血管周囲に分布する三叉神経を刺激して神経原性炎症を起こすということらしい(片頭痛の三叉神経血管説と同じ)
 ちなみにアイスクリーム頭痛と片頭痛との関連が言われていて、片頭痛患者ではアイスクリーム頭痛が多いらしい。。。

 確かにそう言われると納得してしまいそうな仮説たち。

 そして、冷たいものを一気に食べるとキーンって頭痛がするというエビデンスとなった論文がコチラ(質としては、どうかしら…?)


Ice cream evoked headaches (ICE-H) study: randomised trial of accelerated versus cautious ice cream eating regimen


 2002年のBMJから。何と著者はカナダの中学生!

Maya Kaczorowski, Janusz Kaczorowski

という著者欄からすると、実際に計算などしたのは多分お父さん。

 Full textを読むことができるので、気になった方は読んでみてください。論文自体もすごく短いし。

 臨床試験には、Funding(研究費)が記されています。ここって結構重要で、例えばA社という製薬会社の作ったaという薬。これがどんくらい効くか?という試験をA社がバックアップして(経済的な援助をして)行ったら、研究者は何とかしてaという薬が効果あるようにして論文を書こうとしてしまってバイアスが生まれます。有意差はなかったけど、aの方がちょっと成績が良いよ!とか、これこれこういう条件の下では、aの効果が高いよ!とか。色々頑張ってaに有利に論文を作ってしまいがちです。そういう大人な事情とは関係ないのですが、面白いのがこのアイスクリーム頭痛の論文のFuding。

Funding: This work was supported by an unrestricted grant from mum and dad.

 親御さん太っ腹だなぁ。



 ホントにBMJってこういうの好きですよね。自分も好きだけど。。。
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2010
10.21

寝る場所は大切よ

 子ブログに以前出したものですが、、、。

 CHESTという論文雑誌に、ちょっと不思議な論文が載りました。

Relationship Between ICU Design and Mortality
CHEST 2010; 137(5):1022–1027

 ICUの中で、看護師や医師から見えづらいベッドにいる患者は、そうでない患者と比べて死亡率が高いか?という研究。こんな研究あるのね。というか良くそういう発想が出来るなーと思います。

 またこういうのが載るっていうのも面白いです。BMJは割とこういうの好きですが。

 BMJは、内科医と外科医どっちがハンサムかとか、アイスクリーム頭痛とか(中学生がクラスメートを被験者にして論文にしてます!)、そんなのを軟派路線としてクリスマス特集として組んでいます。イギリス人の諧謔心を垣間見れる雑誌で好き。

 さて、この論文。方法としては、2008年に664人のコロンビア大学メディカルセンターICUに入室した患者をレトロスペクティブに検討。患者のアウトカムは、院内死亡率、ICU死亡率、ICU在室期間、人工呼吸器非装着期間。これを部屋別に検討(部屋別ってとこが斬新...)。ICUの中央ナースステーションから見ることができないベッドをlow-visible rooms (LVRs)と、それ以外のベッドをhigh-visible rooms (HVRs)としています。

 結果は、院内死亡率はLVRsとHVRsでは変わりなかったとしています。しかし、、きわめて重症の患者(APACHE II score>30)では、LVR患者では有意に院内死亡率が高かったとのこと(82.1% and 64.0%, n=39 and 75; P=.046)!!ICU死亡率も同様のパターンで有意。ICU在室期間、人工呼吸器非装着期間は有意な差がナシ。

 結論は、重症のICU患者では、看護師や医師から見えにくいベッドでは死亡率が高くなる。

 まさに、名実ともに死角となっているんですね。。。
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2010
10.12

ほどほどが大事、確かにね。。。

Category: ★本のお話
 最近は

昔読んだ本を読み直してみようキャンペーン

を個人的に実施中。

 池澤夏樹とか、連城三紀彦とか。

 もう長編を読む元気も時間もないですが、短編集ならちょっとした時間の合間にペラペラと。それが面白くて読みふけってしまい、診療の合間に読書をしているのか読書の合間に診療をしているのか??そんな調子(もちろん前者です、多分)。

 我らが梶井基次郎先生はやっぱり面白い。もっと作品作ってくれてればねー。

 村上春樹は残念ながら今でも十分に理解できず。自分が文系をあきらめたきっかけとなった作家です。。。ねじまき鳥は高校生の時読んで少し面白かったけど…。

 先程挙げた連城三紀彦ですが、「恋文」という短編集が秀逸。ちょっとトリックみたいなところもあって、でも少しぐっとさせて。心の惹きが実にうまいなーと感心。高校生の時に一回読んだのですが、この前読み返して良さが伝わってきました(やっぱり年取ったのかな)。表題作の「恋文」は言うに及ばず、「紅き唇」と「私の叔父さん」も、はっとさせられます。お金を払って本を買うだけの価値は十二分にあります。若い時に読んでもちょっと深いところに理解は届かないかも。

 短編、と言えば山川方夫。この人抜きでは語れません。若くして亡くなりましたが。「夏の葬列」は中学の教科書にもちょくちょく出てくる作品です。

 今やAmazonで文庫本の大人買い。幸田文と宮本輝の本がどさっと近々届く予定。

 とまあ、こんな調子で本を読んでいるので、


勉強してません


 勉強時間が激減も良いところ。恐ろしいことです。。。本分を忘れそう…。

 でも、年を取ってから読み直すと、あーなるほどねーと実感することが多いです。若かりし時に読んでみて分からない・つまらないと思った作品でも、今読んでみたら「おー」と思うかもしれません。

 今まだ分からなくとも、5年後や10年後に読みなおすのもありだねー、と思ってます。

 アニメもそうですよね。映画の銀河鉄道999なんてのは、老けこむ度に感動が増します。



 こういった良さが分かるなら、シワが増えるのも悪くない、かしら?
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