2009
08.25

夏の余韻

 ゆらゆらと聞こえていたセミの鳴き声も、いつのまにか風景から消えてなくなり、最近は鈴虫がちらちらと、羽根を爪弾いています。



 今日の朝はさわやかな空気でした。涼しい、晴れやかな、天井を感じさせない青空。夏から秋へ、徐々に自然は移ろいでいるようです。

 仕事をしていると生活の変化が印象にないのですが、ふとこうやって周りの流れる様を思うと、夏って終わるのね!と実感します。

 余韻を残し、去るもの。序章を奏で、現れるもの。彼らの円環が時を成しているんですね。

 ただ、過ぎた時に対して胸を張って、自分は成長したと言えるか?時間を過ごしたに見合うだけの努力をしたか?そう考えると言葉に詰まってしまうのも否めない事実。

 風景のグラデーションは、ついさまざまな思いを流れに乗せてしまう作用があるようです。

 ですが、後悔はしても良い。そこから、次への努力が生まれるならば。そう信じています。



 病棟業務で手が一杯でしたが、これからはもうちょい気合い入れて自分の勉強もしないとな。と思い直しました。

 さー、がんばりますか。
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2009
08.08

中耳炎に抗菌薬は...

 初期の急性副鼻腔炎には抗菌薬を投与しないようにする、というのが世界的な流れになっています。日本でも少しづつそのようになってきているハズ。自分は救急で出さないようにはしてますが、抗菌薬への信仰著しい患者さんへは説明をきちんとしないといけません。

 対して中耳炎はどうなのか?ふとそう思ってしまいました。ぽいっとアモキシシリンを出していますが、はたしてそれは愚考であったのか?ちと調べてみようということで。。。

 今回ご紹介するのはみんな大好きBMJから。

Recurrence up to 3.5 years after antibiotic treatment of acute otitis media in very young Dutch children: survey of trial participants. BMJ. 2009 Jun 30;338:b2525. doi: 10.1136/bmj.b2525.

 子供の初期中耳炎に対して抗菌薬治療をすると再発が多くなるよ、というものです。しかも3年以上追跡しているというストーカーっぷり。

 再発したのはアモキシシリン群は63%、プラセボ群は43%であったとのこと。抗菌薬を使うと耐性菌のコロナイゼーションを作ってしまう可能性があり、それが感染を繰り返しているのではないか、というのが説明になっています。

 手術までに至ったのはアモキシシリン群は21%、プラセボ群は30%となっています(この解釈が評価の分かれ目かしら?)。

 中耳炎に関しては前にも色々このような試験がされていて、結果はバラバラ。抗菌薬使った方が良いよ、と言っているものもあり、使っても使わなくっても同じだよと結論付けているものもあり。。。副鼻腔炎もそうなんですけどね。

 臨床屋からすると、どっちが良いんだ!と泣きたくなる状況ですが、慢性の滲出性中耳炎であれば、日本においては漢方も活躍しています。体格が中等なら柴苓湯や、虚弱児なら補中益気湯がメジャー。小柴胡湯加桔梗石膏は嚥下痛や咽頭炎を併発した子に(抗菌薬との併用多し)。初期の滲出性中耳炎なら代表格は小青竜湯で、アレルギー性鼻炎を合併していれば良い適応です。

 個人的には、中耳炎への抗菌薬はやはり患者さんの像を見て決めるべきなのかな、と思っています。子供+中耳炎=アモキシシリン!ではなく、軽症例ならアセトアミノフェンでしばらく様子を見てもらう、重症例・遷延例なら抗菌薬。こんな感じでしょうか。。。
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2009
08.03

名古屋大学医学部附属病院前期研修の紹介

Category: ★研修医生活
 6年生はマッチングや国試のことで色々と忙しい。5年生は病院見学で駆け回る。4年生はそういう先輩を見て「俺らも来年は...」と考えているかもしれません。

 そこで、名古屋大学医学部附属病院の研修を少しでも良いので考えてくれている方へ、自分の分かる範囲でちょっとイイトコワルイトコをご紹介します。



【2015年5月に少し改訂しましたが、研修プログラムが結構変わっているので自分の頭が追いついていません。プログラムそのものについては名大病院のつくっている資料を直接見たほうが良いかと思います】
・簡単なパンフレット(PDF)→コチラ
・卒後臨床研修・キャリア形成支援センターのサイト→コチラ



 名大病院は当然のことながら大学病院。ご存じのようにそれなりの欠点があります。皆さんが気になる点は恐らく...

☆お給料が安いのでは?→大学病院にしては頑張ってます。日給が9000円ちょっとで、祝日があるとその分引かれます。休めるのは嬉しいけどお給料が...というジレンマ。ボーナスに関しては聞かないでください…。月に一度”外勤”というものがあり、献血ルームや健康診断などで働きます。それである程度のお金が入るので、そこは嬉しいところ(外勤はどの病院でもやってますが)。寄宿舎もあるので家賃はお安く済みます。そして2010年から当直手当も出るようになりました。大まかに言って、外勤の手当も併せると、手取りで30万ちょっと。

☆扱う疾患が専門的すぎるのでは?→これは名大に限らず、大学病院の宿命とでも言いましょうか。。。特に小児科は再生不良性貧血と白血病が殆ど。小児血液内科と考えた方が良いです。じゃあコモンな病気を診ること出来ないんじゃ?いえいえ、そうでもないのです。最近は、小児科も2年次研修医になると希望者は市中病院で4週間ほど学ばせてもらえるようになり、名大病院の弱点を補えるようになりました。これには自分もびっくり。

☆仕事が少ないのでは?→大学病院は市中に比べて確かに少ないところがあります。でも自分から希望を出せば結構叶えてくれますよ。本人の意思次第であり、1年次で虫垂炎の手術させてもらった研修医もいました。忙しくしようと思えばいくらでも忙しくできます。でも、怠けようと思えばいくらでも怠けることができます(怠けすぎは厳禁ですよ)。

 TOP3はこんな感じだと思います。他にも名大病院ならではの欠点?を出してみますと...

☆麻酔科ローテが3ヶ月→これを欠点ととるか利点ととるかは皆さん次第。自分は精神科志望なので欠点に映りましたが、外科志望でしたら雰囲気が合うかもです。また、この科ほど研修医に色々させてくれる科はないので、基本手技を習得するチャンスでもあります。挿管なんて怖くないよ!分離肺換気だって出来ちゃうよ!!

☆外科の選択が消化器しかない→外科志望でなければどうでもいいかも知れませんが。。。ま、研修医ですることは鈎引きと縫合、採血当番くらいなものなので、胸部だろうが腹部だろうがあまり変わらないかもしれません(外科の先生が聞いたら怒りそう...)。自分の外科に対するモチベーションが著しく低かったというのもあるでしょうけど。

☆救急の患者さんが少ない→愛知県の中では確かに少ない方。でも全国で考えると決して少なくはありません。年間の救急外来受診患者さんは約10000人であり、そのうち救急車は2000人以上。体制としては、研修医1人の判断で患者さんを返すシステムではなく、どんな軽症患者さんでも上級医の許可を得ることになります。

☆外傷に強くなれない→名大病院は基本的に2011年1月の段階では多発外傷を受け入れていません。これから増えるとは言え外傷の患者さんも少ないので、やはりそこは欠点と言えるでしょう。


 今度は利点も考えてみましょう。といっても欠点と利点は表裏一体。その事実を勘案すると...

★扱う疾患が専門的→専門医になって高度な技術を得たいのであれば、大学病院はまさにうってつけ。

★仕事が少ない→自分のように体力のない人も大歓迎。時間が空いたら自身できちんと勉強することが大切です。でも適度に休むことも大事。仕事が少ないと手技が…と思われるかもしれませんが、基本的な手技は麻酔科3ヶ月ローテでイヤってくらいしますし、意外に産婦人科でもぴしっと練習できます。救急のことについては、じっくりとひとりひとりの患者さんを掘り下げるとたくさん勉強できるものです。患者さんが多くないと学べないということは決してない、と自分は思います。

★学生がいる→何となく親近感あり。学食があるのも大学病院ならでは。

★救急の患者さんが少ない→当直は月に3-4回。他の大学病院よりは患者さんが多く、愛知の市中よりは少ないという中庸をひた走るこの病院。個人的には良いバランスだと思っていますが。2011年6月からはmedical ICUも稼動し、救急も充実してきました。特に救急科の教授である松田直之先生は敗血症の治療において最先端を走っています。

★外傷患者さんが少ない→外傷はちょっと、、、。将来的にも外傷系は考えてないし、、、。とお考えの方にピッタリです。ちょっとした縫合はしますよ、でも。松田教授はいずれは外傷もたくさん取りたいと仰っておりました。

★意外とコモンな疾患も!→必修となっている老年科では高血圧や糖尿病、脳梗塞などを大量に診ることができます。その他のありふれた疾患は救急で診ることに。大学病院の割には結構ありふれた疾患に遭遇できます。名大病院の救急は時間外診療と思ってきている患者さんが多いのでしょうか。。。コモンディジーズを多く診られるというのは、大学病院の中でも名大の特徴であります。咽頭炎から大動脈解離まで、幅広く学べます。これが個人的にポイント高い。


 こんな感じ。欠点の焼き直しか!と言われそうですが、焼き直しです。

 ちなみに1年の研修内容は、総合診療科2ターム(1ターム4週間です)、老年科1ターム、麻酔科3ターム、消化器外科(第一or第二)2ターム、産婦人科1ターム、小児科1タームが必修。残り3タームを呼吸器内科・循環器内科・消化器内科・血液内科・糖尿病内科・腎臓内科・神経内科などから選びます(希望が複数人で重なると抽選に)。個人的には腎臓内科オススメ。総合診療科と麻酔科、外科が忙しい科の3人衆となっています。

 2年次では地域医療があり、開業医さんのところに1タームお世話になります。原則自由に選べるタームが8くらいあり、将来を考えて科を組み合わせられます。総合診療科は必修ではありませんが、選択すると外来も担当させてもらえます。腎臓内科も必修ではありませんが、内科の中ではやりごたえのある科でして、研修医の判断が正しければポンと背中を押してくれます。自分は2年次の時に4ターム腎臓内科を選択しましたが、実に楽しかったです。ちなみにICUローテが2011年度から必須になりました(2年次で廻るようです)。

 研修プログラムは知らないうちに大々的に変わったようで、2015年度からはなんと

・基本プログラム(基本的に名大病院で研修。希望すれば2年次で科によって市中病院での研修も)
・周産期プログラム(小児科と産婦人科を重点的に)
・ハイブリッドプログラム(基本コース:2年次のうち8ヶ月を市中病院で  チャレンジコース:2年次全体を市中病院で)

 という、大学病院のみでの研修でどうしても生じてしまう欠点を補おう!という強い意思が見られています。自分が研修していた頃よりも随分と良くなりましたねー。

 そして名大病院近辺は治安も良く安心!名古屋では港区や中村区が治安にやや不安ありますが、ここ辺りは大丈夫です。女性も安心して研修できますよ。

 立地条件も良いですしね。ちょっと歩けば繁華街。JRと地下鉄の駅もすぐ近く。飲み屋も多いし、向かいは公園で春は桜がキレイ。歩いて数分のところに24時間営業のイオンがあるので、帰りが遅くなっても食料品に困りません。コレ結構大事。

 自己評価表・症例レポート・EPOCなど、こんなんやらなくても別に良いのに...というものもありますが、大学病院という性質上逃れられませんね。また、科によって大変なところと楽なところの温度差がありますが、全体を均せば忙しすぎずヒマすぎず、という感じの名大病院。

 感じとしては≪大学病院と市中病院の中間≫をイメージすれば良いでしょうか。だから自分としては絶妙のバランスだと思っているんです、密かに。

 院内も結構新しく、研修医室は2年次と1年次で一緒(研修医室も新しくて綺麗)。

 あ、研修医の出身大学は見事にバラバラで、どこかを贔屓すると言うことは一切ありません。本当にウェルカム状態です。もともと名大の学生さんは、研修では外病院に行くと言う歴史がある様で、そのせいか名大病院の研修医において名大出身者は非常に少なくなっています。地域の縄張りを感じさせません。ここは本当に良い点だと思います。

 市中病院とのたすき掛け研修も始まり、両方のイイトコロを学べる病院だと思います。百聞は一見に如かずというので、一度見学に来てみてはいかがでしょう??研修医一同、お待ちしてます。
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