2009
05.24

この人、尿路感染症?

 McGee先生の”Evidence Based Physical Diagnosis”にはこのブログで度々ご登場いただいております。今回は尿路感染症について。非常にコモンなものですね。さて、どんな所見が…、と思ったら、この本には尿路感染症についてのページがありません!あら、どーすりゃ良いんでしょ。。。

 といっても探すしかないわけで、有名なJAMAのコーナー”The Rational Clinical Examination”の2002年から引っ張ってきました。

Does this woman have an acute uncomplicated urinary tract infection?


Symptom
Dysuria:LR+1.5、LR- 0.5
Frequency:LR+1.8、LR-0.6
Hematuria:LR+2.0、LR-0.9
Back pain:LR+1.6、LR-0.8
Vaginal discharge (absence):LR+3.1、LR-0.3
Vaginal irritation (absence):LR+2.7、LR-0.2
Low abdominal pain:LR+1.1、LR-0.9
Flank pain:LR+1.1、LR-0.9
Self-diagnosis:LR+4.0、LR-0.1

Sign
CVA tenderness:LR+1.7、LR-0.9
Vaginal discharge on examination (absence):LR+1.1、LR-0.7
Fever:LR+1.6、LR-0.9
Urine dipstick†:LR+4.2、LR-0.3

†:Positive was considered leukocyte esterase or nitrite and negative was considered both leukocyte esterase and nitrite negative.

 論文では、dysuria, frequency, hematuria, back pain, CVA tendernessが有意に可能性を押し上げるとしていますが、LR+はhematuriaでせいぜい2.0ですよね。。。LR+は3以上で有用性アリと判定することが多いので、これらはあんまり役に立たないのかも知れません。CVA tendernessは有名ですがLR+1.7でLR-0.9なので、貧弱なものです。スペランカーやアトランチスの謎の主人公といったところでしょうか(でも国試では大事)。ちなみに千葉大の生坂先生は右下葉の肺炎でもCVA tendernessが陽性になるとおっしゃっています。

 そして、可能性を押し下げるものにabsence of dysuria, absence of back pain, history of vaginal discharge, history of vaginal irritation, vaginal discharge on examinationがあるとしています。個々のもので優秀なのは、history of vaginal dischargeとhistory of vaginal irritationになっています。これらはUTIのLR-が0.3と0.2で、vaginitisやcervicitisなどをより示唆します。面白いのは、UTIの既往がある人では、患者さん自身の診断がLR+4.0と輝かしい成績を残していること。医者よりも診断能力高いですね。

 こういう時はやはりコンボが有用のようで、dysuria, frequency, vaginal discharge, vaginal irritationの4つを組み合わせたものを使っています。

 Dysuriaとfrequencyが陽性で、vaginal dischargeかvaginal irritationのどちらかが陰性の場合(the combination of dysuria and frequency but no vaginal discharge or irritation)が何とLR+24.6になってます!!!これは素晴らしい。Dysuriaがなく、vaginal dischargeかvaginal irritationのどちらかがあればLR+は0.3なので、可能性を下げる方に傾きます。

 この論文の結論。UTIの症状が1つ以上あればその確率は約50%であり、コンボ技(e.g. dysuria and frequency without vaginal discharge or irritation)があれば90%以上にまで押し上げ、効果的に病歴のみで診断にこぎつけられるとしています。対して患者さんが1つ以上の症状を示した時に、病歴・身体所見・スティックは検査後確率を除外できるレベルまでに下げることは出来ず、Rule outではちょっと頼りにならないな、と言ってます。スティックが空振りであればurine culture(培養)を追加すべきなのでしょう。また、腎盂腎炎らしかったり膣分泌物があったりした場合はより詳細な評価が必要で、pelvic examination, urinalysis, urine cultureを畳み掛けるべき。

 最近話題になっているのが間質性膀胱炎。これは他の疾患を除外することで診断を付けますが、基本的な基準はurinary frequency, urgency, or pain for at least six months without a diagnosable aetiologyとなっています。

 c.f. 尿培養の判定
・A pure growth of > 10^5 CFU/ml is diagnostic
・If result is < 10^5 CFU/ml and pyuria is indicated (> 20 white blood cells/mm3) or the patient has symptoms, the result may still be positive
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