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2018
12.05

昔は元気があったのに

Category: ★研修医生活
 振り返ってみると、研修医の頃は元気でした。救急外来の当直は怖いながらも新鮮で勉強することがたくさんありましたし、当番じゃない日も顔を出してどんな患者さんが来ているのか、どんな診察や検査が行なわれているのか、いろいろと見ていたものです。何だかこう言ってしまうと軽躁病エピソードの聴取みたいですが…。

 当番以外の日に患者さんを診たら怒られてしまい、研修医になりたての頃はその理由がよく分かりませんでした。今でも確証はないのですが、あれは何かあった時の責任の所在がかかわっているのかも。当時は「労働時間が云々」ということで労基署が突撃するなんてことはない時代だったので、勤務時間という次元で怒られたわけではないはず。時間外手当てなんてなかったし(今もないけどね!)。

 怒られながらも顔を出していたのは、自分が強情だからでしょうね。もちろんメインに診ることはせず、手技などを行なっておりましたが。しかし元気であったなぁ、今では考えられないくらいに。基本的に研修医室に寝泊まりしており、救急車のサイレンが聞こえたら救急外来に降りてどんな患者さんか見てみる生活。特に研修医2年目は外来化学療法部というところをローテしたためルート確保のレベルが異様にアップしていたため、救急外来でも虚脱した患者さんのルート確保をよく行なっていました。研修した病院は、当時は救急外来で看護師さんがルート確保をすることはなく、ほぼすべて研修医がやっていました。今は看護師さんがやっているんですって! 時代は変わったなぁ。そういや精神科医になってからかれこれ3年くらいはルート確保してません…。今の病院に来てから一度もしてない。

 あと、自分で言うのもアレですが、研修医の頃はかなり勉強もしました。やっぱり勉強しないことで見落として患者さんに何かあったらどうしようという不安が強くてですね…。本を読んで、そして救急外来で体験して、という感じ。あ、ちなみに救急外来ならではという本で「役に立った!」と思った代表が『マイナーエマージェンシー』です。救急外来に1冊置いてあったので、クリティカルではないけれども「え…? これどうすりゃいいの?」という患者さんが来た時には読んでいました。

 そうだ、研修医になったら包帯の巻き方を覚えておくと良いですよ。自分はもう忘れちゃいましたが、一時期勉強してやたら綺麗に巻いていたことがありました。患者さんからは「やっぱ巻き方ちがうんですねー」という高評価。"医者らしさ" を出せる瞬間です。ヘボヘボな巻き方だとなんか残念。仲間内でちょっと練習するだけで見栄えが全然違うので、ぜひ。自分が読んで勉強になったのは『ビジュアル基本手技』の『骨折・脱臼・捻挫』だったかなぁ、確か。ちょっと記憶が薄いので自信がないです。今だとたぶんwebでも巻き方くらい載っているんでしょうね。

 精神科レジデントの頃もまだ多少なりとも元気、というか勉強への熱意はあったのです。患者さんを診ると「もしこの患者さんが自分じゃなくて上の先生が診ていたら、もっと良くなっていたんだろうな…」という思いがどうしても沸き立ってきて振り払えず、向精神薬や精神療法の勉強は今よりも確実にしていました。がむしゃらという言葉がぴったりだったかもしれません。

 最近、ふっと振り返ってみることがあるんです。

「当時よりも知識のある今なら、あの患者さんをもっとうまく治療できていただろうか…?」

 と。確かに知識量は今のほうが多い。でも、患者さんひとりひとりに対する、あの当時のような熱意が今はありません。良くも悪くも力が抜けている診療なのでしょうが、もう若くもないし根気が続かなくなってしまいました…。あと、今の外来患者さんの数を一日通して診るには、どうしても出力をミニマムにしていかないと途中でヘタレてしまいます。果たして、あの当時の一生懸命さは治療にどういう影響をもたらしていたのでしょうね。少なくとも漢方治療という点ではこの1-2年の方が何倍もうまくやれるのではないかと思ってはいますが。

 そのような熱意の有無はあるにせよ、今なら治療できていたはずの患者さんが、やっぱりいたはずです。自分の経験や勉強が治療水準に届かなかったがためにそうなってしまった、自分が診ていなければこの患者さんの人生はもっと良くなっていたのではないか、という恐怖感はとても大きいのです。それは今でも考えることであり、特に治療に難渋し苦しんでいる患者さんの診察を終えた時は押しつぶされそうになります。自分じゃなければ、もっと知識があれば。この繰り返しです。だからこそ色々と勉強はするのですが、その思いは拭いきれません。

 研修医時代の患者さん、精神科レジデント時代の患者さん、そして現在進行形の患者さん。彼らの影におびえながら、今後も医者としてやっていけるのか。最近、そんなことを思います。他者の犠牲のもとに自分は立っているのです。でもこれから立ち続けていくことは、正直なところ重荷にもなってきています。しかしそこから降りることは、その犠牲の軽視になっているかもしれない、とも考えてしまいます。

 「患者さんは私たちの先生である」と、医療者の間で言われています。患者さんに教えてもらいながら医者は成長するということ。確かにそうでしょう。しかし、未熟な医者に診られ、そして人生が不幸に傾いてしまった患者さんもいるはずです。彼らを "先生" という一言で済ませられるのか、とも考えるのです。自分ではない他の医者が診ていたら…と後悔する気持ちは誰しも持つでしょう。患者さんを「先生」と表現するのは、その気持ちを否認するためのものかもしれません。なぜなら、生徒を教える先生という立場は崩れないものであり、傷つかないものなのです。でも、実際の患者さんは医者の診療によって傷つき疲れ、人生にも苦しみ倒れ、立ち上がれなくなることもあるでしょう。
 
 む、こんな話になるような記事にするつもりはなかったのですが、暗くなっていったな…。人はどこか負い目を感じながら、罪を感じながら生きているのでしょうね。
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2018
02.03

研修医の先生に読んでもらう論文をいくつか:その2

Category: ★研修医生活
 以前、『研修医の先生に読んでもらう論文をいくつか』と題した記事を書きました( →コチラ)。そこで紹介した論文はWernicke脳症への注意と抗菌薬関連脳症とRestless Legs Syndromeについてでした。

 自分の勤めている病院には、たまに前期研修医の先生がやって来ます。研修している病院に精神科がなく、その科のローテの期間だけうちに来るというシステム。その間は前の記事にあるような論文を読んでもらっているのですが、今回は何と精神科2周目という奇特?な研修医がおり、ちがう論文を探すことになりました。

 ただし、2周目ということもあって精神科に少し慣れていると想定し、もう少し予診や初診の陪席を頑張ってもらおうということになりまして。よって、論文を読んでもらう時間はそんなに多くなくなったのであります。

 ということで、2本用意しました。どちらもNEJMのレビューですが。

・Marcantonio ER. Delirium in Hospitalized Older Adults. N Engl J Med. 2017 Oct 12 377(15) 1456-1466. PMID: 29020579

・Schuckit MA. Recognition and management of withdrawal delirium (delirium tremens). N Engl J Med. 2014 Nov 27 371(22) 2109-13. PMID: 25427113

 テーマは


"2つのせん妄"


 です。いずれも精神科以外でもお目にかかる超重要な病態。1つはフツーのせん妄、そしてもう一つは振戦せん妄 (離脱せん妄) です。薬剤的な対応が異なるため、しっかりと押さえておきましょう。ここではこの論文の概要を記事にします。決して逐語訳ではなく部分部分の拾い訳なので、ご了承ください。あと、少しですが註として自分のコメントを入れています。

 まずは上の論文、"入院中の高齢患者さんにおけるせん妄" です。

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 せん妄は注意と覚醒の障害であり、急速に進展し、かつ動揺性です。種々のメカニズムの最終共通経路であり、急性心不全と似ており "急性脳不全" とも言えます。入院中の高齢患者さんに非常に多く見られ、短期予後や長期予後と強く関連しています。

 せん妄は「暴れて大変!」というイメージかもしれませんが、それは25%とされています。多くは低活動型で静かな状態の時があります (註:この低活動型は本当に見つけにくいです…)。低活動型はより予後が悪く、それは部分的にはあまり認識されていないことによるのでしょう。せん妄の重症度には幅があり、より重症であればより経過が悪くなります。

 リスクファクターは2つのグループに分類されます。基盤となるbaselineの部分と、誘発因子となるacuteの部分です。前者には高齢、認知症 (臨床的に認識されないことが多いので注意)、身体能力の衰え、併存疾患などがあり、他には男性、視覚や聴覚の障害、抑うつ症状、MCI、検査データ異常、アルコール乱用も関連しています。後者は薬剤 (特に鎮静系、抗コリン作用を持つもの)、手術、麻酔、強い疼痛、貧血、感染症、急性疾患、慢性疾患の急性増悪などです。基盤の部分が多ければ多いほど、より少ない誘発因子でせん妄に至ってしまいます。

 以前は、せん妄は一時的なものであるとされていましたが、決してそうではありません。いつ発生してもおかしくなく長引くこともあり、合併症や入院期間の延長のリスクにもなります。また、死亡リスク、施設入所、認知症の発症にも関連しています。

 せん妄は見逃されやすく、診断はCAMや4ATなどを使用しましょう。認知症、うつ病、その他の急性発症の精神疾患は重要な鑑別診断でもあり、かつ併存もします。せん妄と診断された場合は、迅速で適切な評価が必要です。要因は一つと限らないので、Table 3のDELIRIUMのゴロ(上の Evaluate and treat common modifiable contributors to delirium の部分)に従ってすべての要素を調べるべきです。

せん妄Table3

 非薬剤的な介入については、医師、看護師、他の医療者、そして家族によるあらゆる視点からのケアが重要です。既に投与されている薬剤の調整は可変的な要因の中でもっともコモンなものであり、その対応もTable 4に示されています。

せん妄Table4

 環境要因や合併症の予防/管理も重要であり、それはTable 3の残りの部分に記載されています。

 せん妄の行動面の治療は薬剤が使用されるものの、有益性を示す十分なエビデンスがなく有害性が指摘されているため、
非薬剤的な介入が不可欠となります。患者さんの受傷リスク低減のために身体拘束が行われることもありますが、実際は受傷が多くなることが示されています。よって、拘束はゼロに、そうでないにしても最小限に留めるべきです。ICUでは拘束せざるを得ない時もありますが、常に受傷リスクをモニターし不必要と判断されれば速やかに解除すべきです(註:マンパワーがあれば…。それのない状況で頑張ると他の患者さんに割く時間や手間が取られるという現実的な部分があります)。

 薬剤治療は、患者さん自身が苦しみそれを言葉で安心させることが出来なかった場合、行動が患者さんや周囲の人々にとって危険である場合には必要かもしれません。ベンゾはアルコールによるせん妄やベンゾの離脱せん妄の時など特殊な場合に使用され、多くの場合は抗精神病薬が用いられます(註:日本では伝統的にトラゾドンなどの鎮静系抗うつ薬を用いることがありますね)。しかし、抗精神病薬はせん妄の期間や重症度を軽減せず、ICU在室や入院の期間も短縮せず、死亡率も改善しません。よって、使用するのであれば、その場の興奮や幻覚妄想を軽減することと薬剤による過鎮静や合併症を天秤にかけるべきです。効果はどの抗精神病薬も似たり寄ったりですが、ハロペリドールが最も鎮静が少ないもののEPSの発現が多く、クエチアピンがその逆となっています。反応には個人差があるため、どの薬剤を選ぶにしても低用量から開始すべき。追加するのであれば、目標達成まで30-60分毎とします。せん妄が長引く時は頓用ではなく定期服用とすべきですが、これも拘束と同様に可能な限り早期に中止しましょう。

 予防については、訓練されたボランティアが働きかけるものやコンサルテーションを用いたものなどがあり、いずれもせん妄の減少に成功しています。向精神薬の減量もこの2つの重要な側面です。予防における薬剤の有効性は確立されていません。抗精神病薬による予防は有用性を見いだせておらず、メラトニンやその薬剤であるラメルテオンはせん妄発症を減少させるかもしれませんが、はっきりとしたエビデンスに乏しいのが実情です (註:オレキシン受容体拮抗薬のスボレキサントがせん妄予防になるという論文が出ていましたね。追試待ちでしょうか)。

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 非薬物的介入を重視せよ、というのがこの論文のもっとも言いたいことだったかもしれません。そのためには人手がほしいなぁというのが自分の本音ではありますが…。抗精神病薬は低用量から開始することが大事で、論文ではハロペリドールの初回投与が0.25-0.5 mgとなっており、最大で3 mgでした。EPSもさることながら、特に静注だとQT延長も怖いですしね。オランザピンの最大が20 mgなのに対しクエチアピンの最大が50 mgと記載されていたのはちょっと「??」な気もします。鎮静ということを考えても、この用量比較だとオランザピンのほうがかなり鎮静がかかるのでは…。半減期も長く、自分はせん妄にオランザピンを第一選択では使用しません。

 次に、下の論文が『振戦せん妄 (アルコール離脱せん妄) の理解と管理』です。

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 アルコール使用障害患者さんのうち50%がアルコールを減らすもしくは中止する際に離脱症状を経験します。そのうち3-5%が大発作、せん妄、もしくはその両者を経験します。アルコールはベンゾやバルビツレートなどと同様にGABAの放出を速やかに促しGABA-A受容体に働きかけ、シナプス後部のNMDA受容体活性を阻害します。何度もアルコールに暴露すると、脳は受容体やその他のタンパクを変化させてアルコールに適応していきます。そうするとアルコールの効果は落ち、以前と同様の効果をもたらすにはより多くの量が必要となってしまいます。その後にアルコールの血中濃度が落ちると離脱症状が生じ、それには不眠、不安、心拍数や呼吸数の増加、体温や血圧の上昇、手指振戦などがあります。エタノールは作用時間が短いため、血中アルコール濃度が落ちてから8時間以内に症状を認めることが多く、72時間ほどで最大となります。そのままアルコールを摂取しなければ、5-7日で過ぎていきます。

 アルコール離脱症状の経過と重症度は厳格にモニターしなければなりません。CIWA-Arが用いられており(Table 1)、8点以下であれば軽度でありベンゾを使用することはほとんどありません。8-15点では中等度であり、ベンゾをある程度用います。15点を超えるようなら重度であり、けいれんや振戦せん妄を避けることが重要となります (註:これは1回やってオシマイではなく、4-8時間おきなど経時的にチェックします。あと、意識障害があると適切な評価ができません)。

離脱せん妄Table1

 振戦せん妄の診断基準はせん妄とアルコール離脱症状に分けられます。後者は、長期大量飲酒状態から急にやめるもしくは減らすこと、そして、8つの症状 (自律神経の過活動、手指振戦、不眠、嘔気嘔吐、一過性の幻覚、精神運動興奮、不安、全般性の強直間代発作) のうち少なくとも2つがアルコールを減らした後に見られることとなっています。振戦せん妄はアルコール離脱症状が出現してから約3日で始まり、1-8日もしくはそれ以上続きます (大抵は2-3日)。振戦せん妄で入院している患者さんの約1-4%が死亡しますが、適切にそしてタイムリーに診断され治療されれば、死亡率は低下するかもしれません。高体温、不整脈、けいれんの合併症、併存する疾患によって死亡することが多いとされます。

 振戦せん妄を発症するであろうと予想されるのは、CIWA-Arが15点を超える時(かつsBP>150やHR>100の時に多い)、離脱けいれんを最近経験した(20%に見られる)、振戦せん妄や離脱けいれんの既往、高齢、ベンゾやバルビツレートなどの不適切な使用、身体疾患 (電解質異常や血小板減少、呼吸器疾患、心疾患、消化器疾患など) の併存の場合などです。予防は、併存疾患や離脱症状を見つけて治療することがベスト。治療の目標は焦燥をコントロールし、けいれんのリスクを下げ、受傷や死亡リスクを下げることです。診察と検査によって併存疾患を同定し治療することで、より状態が悪化するのを防げるかもしれません。ケアはせん妄の時と同様のことを行なうべきですが、静脈路は確保しておきましょう。ただし、経静脈的治療の際には注意すべき点があります。例えばグルコースを投与する際にはWernicke脳症やチアミン欠乏による心筋症を避けねばならず、アルコールによって一時的に心機能が落ちていることもあるため輸液を過剰にしないことも重要です。チアミン (経静脈的に500 mgを30分以上かけて1日1-2回、3日間) とマルチビタミンは推奨されていますが、マグネシウムをルーチンで投与することは支持されていません。Wernicke脳症が疑われた場合はチアミンの投与量をさらに上げ (経静脈的に500 mgを1日3回、5日間)、加えてマルチビタミンの非経口投与が推奨されています (註:チアミンの適切な投与量は実際のところはっきりしていませんが、自分もこんな感じの量を入れています)。

 振戦せん妄の薬剤治療の主流はベンゾです。ベンゾの中でどれが良いかは不明ですが、ここでは半減期の長いものとしてジアゼパムが、短いものとしてロラゼパムが挙げられています (註:自分もこれらを使うことが多いです。肝機能障害があればやはりロラゼパムでしょうか)。投与量は患者さんによってかなり異なり、桁外れの使用量となることもあります (註:この文献では、最初の2日間にジアゼパム2000 mgという量が記載されていました! まじ…?)。その他の薬剤も離脱症状には使用されますが、振戦せん妄に対するデータは欠けています (フェノバルビタール、クロメチアゾール、ミダゾラム、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン)。高用量のベンゾに反応しない患者さん (特に挿管されている時) は、プロポフォールが使用されます。0.3-1.25mg/kgで、上限を4mg/kg/hr、48時間までとします。他にはデクスメデトミジンがあり、上限を0.7μg/kg/hrとして使用されます。これは心ブロックがあれば使用できず、血圧や心拍数を注意深くモニターしなければなりません。これらはベンゾよりも研究されていないため、危険性を常に考えましょう。

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 振戦せん妄は "起こさないように徹底的にリスク管理を!" ということなのだと思います。自分のいる病院ではアルコール関連の入院も多いですが、CIWA-Arが最初に低くてもドンドン急激に上がっていく患者さんが実に多く、そうなると後手に回ることもあります。そのため、大量かつ長期の飲酒であれば、8点以下でも入院後にまずはベンゾを服用してもらうことが多いです。可能な限り振戦せん妄を起こさないようにするのが大事。ICUのある総合病院なら違うのかも?

 このような内容の論文2本でした。薬剤的な介入がまったく異なるので、対比させて覚えましょう。どの科でも役立つ内容でございました。今回、自分は研修医の先生を2日間担当することとなっています。1日目はこれらの論文で、もう1日は少し論文を探しておこうかな?
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2017
09.09

事前確率とセットでね!

Category: ★研修医生活
 研修医の先生に論文を読んでもらって解説をしてますよーというお話を1つ前の記事でしました。その中で、時間がある時は事前確率の大切さを説くことがあります。もうすっかり尤度比の使い方も世の中に根付いたかと思っていたのですが、意外にもそうではないことに気づき、ちょっと解説するようにしました。自分が研修医の時は誰も教えてくれなかったしなぁ。

 例えば、この論文。

Antunez E, et al. Usefulness of CT and MR imaging in the diagnosis of acute Wernicke's encephalopathy. AJR Am J Roentgenol. 1998 Oct;171(4):1131-7. PMID: 9763009

 ここでは、Wernicke脳症に対するMRIの感度が53%、特異度が93%となっています。もっと感度が高いよ!とする論文もありますが、例としてこれを。研修医の先生にこの感度と特異度をどう思うか聞きますが、多くは「特異度が高いから診断に役立って、感度が低いから除外には向かない」と、バシッと答えてくれるのであります。感度や特異度というのは、例えば、感度80%の所見というのは”病気を持つ人”の80%に見られる所見だということを示します(Positive in desease)。いっぽう、特異度80%の所見というのは”健康な人(その病気を持たない人)”の80%に見られない所見だということを示します(Negative in health)。実は、自分はこの辺りをちょっと正確に理解していなかった時期があり、そのため過去の記事でも間違った記載が存在し、そこは修正を入れておきました。大事なので言い方を変えてお話しすると…

 感度とは、想定する病気を持っていると判明している人たち(患者さん)にその検査をした場合、どのくらいの割合で検査が陽性になるのか? という指標です。だからその病気を持っていない人(健康な人)にこの検査をしたらどうなるのかは、実は感度からだけでは分からないのです。健康な人でも陽性になる可能性が十分に考えられます(偽陽性)。

 特異度とは、想定する病気がないと判明している人たち(健康な人)にその検査をした場合、どのくらいの割合で検査が陰性になるのか? という指標です。だからその病気を持っている患者さんに検査をしたらどうなるのかは、実は特異度からだけでは分からないのです。患者さんでも陰性になる可能性が十分に考えられます(偽陰性)。

 そして、この感度と特異度は連動しているので、別々に見ると誤解を生むことがあります。特異度がものすごく高いけれども感度が著しく低い検査の有用性などは、盛んに指摘されていますね。感度5%、特異度98%の検査があったとして、それが陽性なら「特異度の高い検査が陽性! Rule Inだ!」と考えがちですが、決してそうではない。特異度はあくまで”病気がない人の中でその検査が陰性になる割合を示すもの”なのです。”特異度が高いからRule In” ”感度が高いからRule out” というのは、多くの場合はそれで問題ないことが多いのですが、実際はちょっと早計なのでございます! 感度と特異度は別個に考えてはいけない。自分は研修医の時、ここを完全に勘違いしておりました…。

 「あくまで病気がない人の中での話で、患者さんに当てはめられない??」と頭がこんがらがってきそうなので、要は感度と特異度っていうのは、単独ではなくつなげて考えねばならないのだと言うことにして、そのためのツールである”尤度比”のお話に移りましょう。

 感度と特異度をがちゃがちゃ計算して出て来る”尤度比”ですが、研修医の先生に尋ねると

自分「感度と特異度をバラバラに見ると間違うから、尤度比にしてみようか。尤度比って知ってる?」
研修医「…」

 となることが稀ならずあり、尤度比をしっかり教えることも大事やなぁと考えるに至ったのであります。それが今回の記事をつくるきっかけになりました。計算してもらい数字を弾き出してもらうと、感度53%、特異度93%はだいたい

陽性尤度比:7.6
陰性尤度比:0.5

 となります。計算式は”陽性尤度比=感度÷(1-特異度)”であり、”陰性尤度比=(1-感度)÷特異度”です。尤度比というのは尤もらしさ(もっともらしさ)を示すものですが、英語の Likelihood Ratio の方が分かりやすいかもしれませんね。Likely な度合いを示します。陽性尤度比は”所見が陽性の時の尤もらしさ”を、陰性尤度比は”所見が陰性の時の尤もらしさ”を意味しています。尤度比が1というのは尤もらしさを全く動かしません。感度50%、特異度50%というやつですね。大まかな動き方は

10:尤もらしさぐぐっとup!
5:尤もらしさちょっとup
1:ピクリとも動かない
0.2:尤もらしさちょっとdown
0.1:尤もらしさぐぐっとdown!

 となります。例えば、陽性尤度比5、陰性尤度比0.1の検査があったとすると、その検査が陽性の時は、ある病気の尤もらしさがちょっとupし、陰性の時は尤もらしさがぐぐっとdownするということになります。

 「おー、尤度比は便利だな」と思うかもしれません。しかししかし、感度だけ、特異度だけで物事を見てはいけないのと同様に、尤度比だけで考えても間違いのモトになってしまいます(めんどくせぇ)。尤度比を運用するために欠かせないのが”事前確率”でして、「この検査をする前の段階で、患者さんがこの病気である確率はどれくらいだろう?」というのが代表例。この”見積もり”いかんによっては、尤度比のインパクトもだいぶ変わってきてしまいます。「尤度比だけで物事は決められない」と覚えておきましょう。

 役に立つのがノモグラム(nomogram)というもので、これを使うと事前確率の大切さがひしひしと伝わってくるのではないでしょうか。

nomogram.png

 ある検査を想定すると、左側のバーが検査前確率、真ん中のバーが尤度比、右側のバーが検査後確率。検査前確率と尤度比をつないだ線をぴーっと延長して右側のバーにぶつけると、検査後確率が判明するというスグレモノ。分かりやすいように、感度99%、特異度99%というものすごく優秀な検査を想定しましょう。ELISAによるHIV抗体検査が実はこれ以上に優秀な検査であり、確か国試の公衆衛生でも出てきたような?? で、この尤度比を計算すると、

陽性尤度比:99
陰性尤度比:0.01

 これはすごい! この検査が陽性なら必ずその病気をRule in、陰性なら必ずRule outにできそうな気がしてきます。しかし、ここでちょっと冷静になりましょう。検査前確率が0.1%というややレアな病気(鑑別でほぼ想定していない病気という意味)の場合はどうでしょうか。それでもそんなに興奮できるかどうか。

 とある病気の検査前確率0.1%という時、この陽性尤度比99という検査をしてばっちり陽性になった。さて本当に「この病気だ!」と言い切れるのか? nomogramを使ってみると…

nomogram 2

 なんと、検査後確率はほぼ10%なのです! ハイパーに優れた検査が陽性でも、こんな結果だなんて…。

 これから分かるように、検査(診察も)をする時は、「この患者さんがこの病気を持っている確率はどんなもんだろう?」という”見積もり”をできるだけ正確に行なう必要があるのです。このセッティングを疎かにして絨毯爆撃的に検査をしてしまったら、いざ陽性になった時にミスリードとなってしまいますし、陰性でも同じこと。

 では最初に戻り、Wernicke脳症に対するMRI(陽性尤度比:7.6、陰性尤度比:0.5)を見てみましょう。アルコール依存症で、ここ1ヶ月ほど食事もあまり摂取しておらず、そういえば歩き方が何となく変だな…と思った時、Wernicke脳症の検査前確率はかなり高そうです。80%と見積もってみましょう。「これはWernicke脳症っぽいなぁ。MRIだなこれは」と思って撮りました。結果は特に異常所見なし。さて、Wernicke脳症を否定できるかどうか。

 同じくnomogramを使うと…

nomogram 3

 あれ、検査後確率が80→70%程度に下がっただけ。全然否定できません! 検査前確率を50%と考えても、検査後確率は30%以上残っています。この例えをすると、研修医の先生は「おー」と感心してくれることが多くてですね、教え甲斐があるなぁと実感するのでございます。よって、闇雲に診察や検査をするのではなく、常にその一歩手前の確率、診察前確率や検査前確率といった事前確率をできるだけ正確に考えることが大切です。常に事前確率とセットで尤度比を考える、そこを忘れないようにしましょう。すなわち、検査をするなら問診と診察で、診察をするなら問診でそれぞれきちんと鑑別疾患の事前確率を想定しましょうね、ということなのです。

 ちなみに、McGee先生の本にはnomogramではなく以下のような足し算方式が載っており、それを眼にしたことのある研修医の先生もいるかもしれません。

0.1:-45%
0.2:-30%
0.5:-15%
1:動かず
2:+15%
5:+30%
10:+45%

 これは事前確率が10-90%、言い換えれば救急外来や一般外来の初期に鑑別に挙がってくるような病気の時に使うことができます。「この患者さん、肺炎の検査前確率は40%くらいかなぁ」と思った時に、陽性尤度比5の検査が陽性になったら、40+30で検査後確率は70%と考えることができます。「この病気の可能性はかなり低いなぁ」という時はnomogramを使用しましょう。

 ただし、検査前確率というのは”見積もり”なので、正確無比ではありません。患者さんの病歴や診察などから「この病気の確率はこんなもんかな…?」という感覚的な確率(言い方は変ですが)なのであります。よって、特に初期研修医1年目のうちは事前確率を”なさそう””あるかも””ありそう”の3段階くらいにまずは分けてみて、その上で尤度比を10、5、0.2、0.1くらいを目安にこれまた感覚的に検査後確率を推定していく、というやり方が良いのかなと思っています。もっと勉強して経験して種々の病気のゲシュタルト(岩田先生風に?)が分かってくると、患者さんの像とのつながり具合からもっと事前確率が細かく、例えば5段階くらいに分かれてくるようにも考えています。そうしたら、尤度比ももっと緻密に運用できるかもしれませんね。

 ということで、感度、特異度、尤度比のお話でした。これらだけで診断をしてはならず、常に一歩前の確率を考えましょう、というのがいちばん大事なところではありますが。
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2017
09.03

研修医の先生に読んでもらう論文をいくつか

Category: ★研修医生活
 自分が勤めている病院に研修医の先生が2週間やって来ることがあります。研修医の先生がいる病院に精神科がなく、それで精神科のタームの時だけこちらに来るというシステム。若い先生を見ると、昔の自分を思い出しますね。

 多くの研修医の先生は精神科に興味がないので、こちらも色々教えるというよりは「せん妄の対処は知っておこう!」くらいの立ち位置になります。しかもローテーションも2週間だし、出来ることは限られている。ちなみに精神科志望であればなおさら「今のうちに身体疾患の勉強をしておこう!」と言うことにしています。

 研修医の先生に一緒に診てもらう患者さんは他の先生がたが紹介しているので、自分は午前中に論文を何本か読んでもらって午後にその内容でお話をする、というスタイルにしています。座学も大切ですし、自分自身がリハビリ出勤なので省エネにしているというのも否めず。読んでもらう論文は大体決まっておりまして…

・Galvin R, et al. EFNS guidelines for diagnosis, therapy and prevention of Wernicke encephalopathy. Eur J Neurol. 2010 Dec;17(12):1408-18. PMID: 20642790

・Isenberg-Grzeda E, et al. Wernicke-Korsakoff syndrome in patients with cancer: a systematic review. Lancet Oncol. 2016 Apr;17(4):e142-8. PMID: 27300674

・Bhattacharyya S, et al. Antibiotic-associated encephalopathy. Neurology. 2016 Mar 8;86(10):963-71. PMID: 26888997

・Turrini A, et al. Not only limbs in atypical restless legs syndrome. Sleep Med Rev. 2017 Apr 4. pii: S1087-0792(17)30080-1. [Epub ahead of print] PMID: 28559087

 こんな感じ。人によって読むスピードは異なるので、全部読めなくてもO.K.です。あとは志望科によってそれと関係する論文を1つ付けるかどうか。

 これら論文を読んでもらう狙いとして

「Wernicke脳症を見逃すな!」
「がん患者さんのWernicke脳症だとモヤッとした症状もあるぞ!」
「抗菌薬で脳症が起きるぞ!」
「restless "legs" だけじゃないぞ!不定愁訴と片付ける前にちらっと疑え!」

 という強いメッセージがあるのです。精神科以外を志望しているのであれば、統合失調症の精神病理学とかを話してもあまり意味はないので、他の切り口にしているのでした。これら論文の内容を踏まえて研修医の先生に話す内容はですね…

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 Wernicke脳症はとても見逃されており、有名な3徴は16%にしか見られない。国試的には「Wernicke脳症といえばアルコール依存症、アルコール依存症といえばWernicke脳症」であるが、決してそれだけでない。アルコール依存症以外でも見られることは覚えておくべきであり、その内訳では、がん患者さん(特に血液腫瘍や消化管腫瘍)、消化管手術、妊娠悪阻、飢餓(神経性やせ症も注意)でアルコール依存症以外において発症するWernicke脳症の50%以上を占める。そして、がん患者さんでは頭痛、無気力、脱力といった ”モヤッとした” 症状を来たすことがある。「がんだし無気力にもなるよなぁ」「がんだしあまり動かず寝ているとアタマも痛くなるよなぁ」と過剰に了解することなく、「ひょっとしたらWernicke…?」と考えてまず治療をしてみるというのも大事。検査はMRIが有名だが、感度や特異度はスタディによってまちまちで、基本的にはRule inのために用いる補助と考えておこう。よって、所見がなくても治療してみるという勇気も必要。治療にはビタミンB1の経静脈的投与が行われるが、安価でありゆっくり投与すれば大きな副作用も大きなものはないので、疑ったら治療開始の気持ちで。ただ、投与量や投与期間にコンセンサスはない。

 抗菌薬の副作用で脳症が起きることもある。これらは大きく3つのグループに分けられる。開始後数日で発症し、けいれんやミオクローヌスが多く生じ脳波異常も見られやすいグループが1つ。これはペニシリン系とセフェム系に多く、特にセフェム系は腎機能が悪いと起こりやすい(セフェピムは特に有名)。別のグループは精神病症状が多いもので、これも開始後数日で発症する。脳波は異常がそれほど多くなく、プロカインペニシリン、スルホンアミド、キノロン、マクロライドで生じやすい。精神病症状だからと言ってすぐ精神科に!ではなく、これら抗菌薬を使用していればそれによる脳症かを考えよう(だから精神科医もそのことを知っておく必要がある)。別のグループはメトロニダゾールによるもので、投与後数週間してから発症する。小脳症状が多く、脳波は非特異的異常所見を示し、MRIでも異常所見(小脳歯状核がT2強調で高信号、脳梁膨大部が拡散強調で高信号)が見られる。最近、日本でも偽膜性腸炎(CDAD)の治療薬として静注のメトロニダゾールが承認されたので、こういった例が増えるかも? イソニアジドはいずれのグループにも入らない。発症は数週から数ヶ月で、精神病症状がコモン。脳波は異常を示すが非特異的である。

 Restless legs syndrome(RLS)は見逃されやすい疾患であるが、"legs" ではなく腕、他にも会陰部や膀胱、腹部、後背部、顔や口など様々な部位にも生じることが分かってきた。IRLSSGの診断基準は以下だが、それを身体の各部位に当てはめて疑うことが大切である。「変な症状だな。不定愁訴か」と括ってしまう前に、鑑別を考えよう。ドパミンアゴニストで速やかに改善することが多い(でもフェリチン低値なら鉄剤投与が優先かな…)。

IRLSSG 診断基準
1: 脚を動かしたくてたまらない衝動と不快感
2: 安静時に悪化
3: 脚の運動により不快感が軽減ないし消失
4: 夕方から夜に悪化
5: これらの特徴を持つ症状が,他の疾患・習慣的行動で説明できない

 ちなみに、日本語では”むずむず脚症候群”というが、”むずむず”では引っ掛けられないことが多い。”ちくちく””そわそわ””虫が這うような””お布団を蹴っ飛ばしたくなるような感じ””落ち着かない”など様々な訴えである。まさに"restless"なので、”むずむず”に引っ張られないように! 後は、「落ち着かないから眠れない」のではなく、「眠れないから落ち着かない」と患者さんは考えることがある。そうなると患者さんは「眠れない」としか言わないので、こちらから積極的に問うことが大事。

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 と、このような感じ。どれも精神科以外で遭遇しやすいので、こういう知識を入れておくのはムダではない、はず(覚えておいてくれれば)。こういった論文の中には検査方法の感度や特異度も記載されているものがある(Wernicke脳症に対するMRIなど)ので、時間があれば尤度比のお話もしています。今度はそれを記事にしようかな?

 そう言えば、以前は名古屋大学で研修医の先生がた相手に朝の勉強会を行なっていたんですが、他の科も勉強会をすることが多くなったそうで、研修医の先生から「朝は忙しいから夜にしてくれ」と言われ、しょうがないなーと思って夜にずらしたは良いけれども今度は「夜に集まるのは困難です」と言われ、何と2015年の7月(だったかな?)を最後に中止に追い込まれた苦々しい過去があります…。その時は「随分と身勝手な研修医だな…」と実は怒っていたんですが、まぁでも魅力のある面白い勉強会ならみんな来てくれていたんだろうと思うと、まだまだ自分も勉強不足だなと(今になってようやく)考えております。教えるっていうのは難しいものですね。
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2017
03.26

あとでまわれ

Category: ★研修医生活
 研修医の先生方は4月から色んな科をローテすることになりますね。そこで言えるのは、


行きたい科や好きな科は最初に廻らないようにしよう!


 ということ。もう遅いよ、廻る順番決めちゃったよ、という声も聞こえてきそうですが。。。

 なぜかって言うと、最初は研修病院のシステムに慣れることで精一杯だからなんです。病院のどこに何があって、どんな電子カルテ(紙カルテでも記載の方法など)を導入していてどんな操作をするのか、上級医の先生や看護師さんたちとどうやってコミュニケーションをとって、そして何より患者さんとどう話をしていくか、などなど。。。こういうことにまず慣れる必要性があり、それは最初にローテする科の体験の中で学んでいくことが多いのではないでしょうか。他にも、どこにスーパーがあるとか、どこに食べるところがあるとか、新しく住むところに馴染むとか、どんな同期や2年次がいるとか。
 
 自分は学生の時、神経内科の推理っぽさが好きでした。それもあって「好きな科を最初に回ってモチベーションアップや!」と思っていたら、カルテの使い方と病院の構造を理解するまでに2週間を要してしまい、あまり神経内科を肌で感じられなかった経験があります。バタバタと慣れていくうちに研修する期間の半分が過ぎてしまいました。指導医の先生も「最初だからまずカルテの使い方から勉強してね」という感じで。論文の調べ方もあんまり知らず、見やすいパワポの作り方も全然分からず、しかも患者さんとお話しするのも慣れてなくてね…。今では口先で商売する感じになってますけど。

 なので、好きな科があれば、そして出身校の附属病院でなければ(附属病院ならポリクリで廻ってるので勝手知ってるはず)、最初に回るのは”あんまり興味のない科”にした方が良いでしょう。自分だったら消化器内科とかかな…(すんません)。

 ちなみに自分は腎臓内科も好きで、それは2年次研修医の時に廻りました。そこでは深く学べたなぁと実感してます。たしか3ヶ月か4ヶ月くらい?廻ったはず。2年次ローテでは腎臓内科とICTを集中的に選択して楽しかったなぁ。感染症ってすごく大事で、どの科でも遭遇します(精神科でもね)。そこで適切な診断と適切な検査と適切な抗菌薬の選択が出来るようになれれば、やっぱり良いもんです。特に感染症に関しては上の年代の先生方はみっちり勉強してないので、若手が一本取れるチャンスでもありますよ。こういう成功体験ってやっぱり健全な自己愛を満たすために大切だと思ってます。

 ということでね、廻る科の順番は、科そのものの興味では決められないというお話でした。
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